「機械学習」「ビッグデータ」が変えるセキュリティ対策【第2回】
データ駆動型セキュリティの鍵、「SIEM」を見極める3つのポイント(1/3 ページ)
対症療法的なセキュリティ対策が有効だといえた時代は終わった。根本的なセキュリティ対策には、社内外のデータの活用が重要だ。その現実的な手段である「SIEM」選定のポイントを示す。
連載第1回「『ビッグデータ』を制する者がセキュリティを制する時代へ」では、サイバー攻撃に対抗するためのセキュリティ対策を進める第一歩として、「攻撃」「防御」の両面で現状把握を進めることの重要性を指摘した。今回は具体的な対策を進める際の課題と、その解決策の現状を解説する。
併せて読みたいお勧め記事
ビッグデータ時代のセキュリティ対策
「SIEM」「ログ管理」の可能性
セキュリティ対策を無に帰す“ゼロ”
最低限必要な機能のみを利用するようにハードウェアやソフトウェアを設定・構成して安全性を高める「ハードニング」、セキュリティ対策の必要度に応じてサーバやネットワーク機器を集約して領域を設定する「セキュリティゾーニング」、安全性を確認できた端末だけにネットワークを利用させる「検疫ネットワーク」、そして対症療法としてのセキュリティデバイスの実装――。企業ではこうしたさまざまなセキュリティ対策が遂行されている。一方でセキュリティ侵害も減ることはなく、増加の一途をたどっているのもまた事実だ。
脅威の検知や対処に役立つセキュリティ製品は多数存在する。だがサイバー攻撃では、どこかに隠れた不備があるとそこから問題が入り込み、内部まで浸透してしまう。
どんな大きな数にゼロを掛けてもゼロになる。セキュリティ対策の現場でも同様で、あらゆる対策を無に帰して“ゼロ”にしてしまう不備は、さまざまなところで発生している。
検疫ネットワークを導入し、USBのセキュリティ対策やローカルセキュリティポリシーは万全。システムは定期的にアップデートしているし、暗号化も実装済み――。十分なセキュリティ対策を施しているように見えるこうした組織でも、多くの非正規雇用者が利用する共用端末は検疫ネットワークの例外にしてしまっていたりする。こうした不備を放置すると、せっかくのセキュリティ対策も台無しになってしまう。
「データ活用」が根本的な対策の鍵に
脅威やリスクが顕在化するたびに、隠れた不備が組織体のどこにあるかを探すといった場当たり的、対症療法的な対策は長続きしない。根本的な対策を進める有力な手段とは何か。ログをはじめ、組織内に存在するさまざまなシステムが出力するデータ(以下、マシンデータ)を活用して全体像を把握したり、アセスメントや相関関係の分析を通じて脅威をあぶり出したりすることが、その有力な候補となる。
認証情報やアプリケーション情報、データベースのアクセス履歴、それに付随するアクセス成功・失敗履歴など、セキュリティ分析に役立つマシンデータは大量に存在する。単一の情報からピンポイントで脅威が分かるものもあるが、複数の情報を組み合わせて分析することで、時間経過とともに広がるリスク全体を把握できる可能性がある。これらのマシンデータを侮ってはならないし、企業のさまざまなシステムから得られる脅威情報である「セキュリティインテリジェンス」の基礎データとなり得る。
ログの消去に備える
仮にサーバやミドルウェア、アプリケーションのログが取得できていても、攻撃者はそのログを消そうと考えるだろう。ログを残しておくことはすなわち、悪意のある行為の痕跡を残すことになるからだ。“指紋”は拭き取るのが、犯罪者の常である。
パケットキャプチャーが可能な侵入検知システム(IDS)を利用すれば、ビデオカメラのように攻撃者の通信情報を確実に記録でき、データ消去や改ざんのリスクを軽減できる。IDSをステルスモード(ネットワークインタフェースにIPアドレスを振らない動作モード)で動作させれば、攻撃者からIDSの存在を隠すこともできる。またIDSは、攻撃に関するデータや記録を主体とした監査ログの取得も可能である。
“攻撃かどうか分からないイベント”がより重要に
許容量以上のデータを送り付けてシステムの誤動作を引き起こす「バッファオーバーフロー」に代表されるリモート攻撃、「クロスサイトスクリプティング」「SQLインジェクション」といったWebアプリケーションの脆弱(ぜいじゃく)性を突いた攻撃、IDを執ように探ろうとする「ブルートフォースアタック」などは、明らかな攻撃として認識できる。
中には、攻撃かどうかがすぐには分からないイベントもある。攻撃イベントではなく、監査イベントとして保管すべき行動や情報には、以下のようなものがある。
- DNS(ドメインネームシステム)の正引き(ドメイン名からIPアドレスを調査)のクエリ
- DNSの逆引き(IPアドレスからドメイン名を調査)のクエリ
- FTP(ファイル転送プロトコル)のコマンド
- Webブラウザのユーザーエージェント(UA)
- ログインに利用されたユーザー名
ファイアウォールに関して言えば、通信を遮断(deny)したイベントよりも、許可(accept)したイベントの方がより重要だ。プロキシサーバもまたしかり。マルウェアやボットが、正常通信の中に不正な活動を潜り込ませていることは少なくない。こうした状況を考えれば、正常の通信やマシンデータ、監査ログから脅威を特定し続ける意味は大きいし、その必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「機械学習」「ビッグデータ」が変えるセキュリティ対策
「ビッグデータ」「機械学習」といった技術の活用で、セキュリティ対策の在り方はどう変わるのか。技術や製品分野の変遷を振り返りながら、その実像を探る。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー