スマートフォンがPCに“変身”
Windows 10 Mobileの注目機能「Continuum」に期待し過ぎる人々
スマートフォンは誕生以来、大きな進化を遂げてきた。電子メールやワープロ、動画の撮影に編集。多くのモバイルユーザーは「こうした端末がもうすぐPCに取って代われる!」と期待する……が。
Microsoftの「電話用Continuum」(Continuum for Phone。以下、Continuum)は、Windows 10 Mobile導入デバイスを有線接続のドッキングステーション、または、Miracastアダプター経由で外付けのディスプレイに接続可能にするソフトウェアだ。
データを大型ディスプレイに表示したり、デュアルディスプレイ環境を実現したりするために利用できる。ささいなことだと思うかもしれないが、モバイルデバイスで扱うデータを仕事のしやすい環境(キーボードとマウスも使える)にミラーリングできることは、大きな意義を持つ可能性がある。
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Continuumが大きな可能性を秘めているのは確かだが、一方で注意すべき点もある。第1に、現段階のContinuumは、スマートフォンの処理能力を高めるものではないことだ。コンテンツを大型ディスプレイに複製表示しているのにすぎない。以前のモデルと比べてスマートフォンの処理能力は大きく向上しているが、それでも、ミドルレンジモデル以下の処理能力では、業務のプレゼンテーションで使う複雑なPowerPointファイルを作成したり、高度な表計算をリアルタイムで実行したりするのにパワーが足りない。Hewlett Packard Enterpriseは、開発中の新製品でそうしたタスクをこなせると考えている。しかし、開発段階の製品なので評価は保留しておこう。
Continuumによって、Windows 10 Mobileデバイスがデスクトップアプリケーションを実行できるわけではないことにも注意が必要だ。Continuumによって変わるのは、Windows 10 Mobileデバイスのアプリケーションを外付けの大型ディスプレイに表示するだけにとどまる。Windows PCで使える豊富なアプリケーションの選択肢(大部分はレガシーソフトウェア)は、Windows 10 Mobileデバイスユーザーには無縁だ。彼らが使えるのはWindows 10 Mobileのアプリストアで提供しているアプリケーションだけだ。そして、そのラインアップの少なさにユーザーから不満が出ている。
Windows 10 Mobileデバイスで外付けのキーボードやマウス、ディスプレイを利用するにはコストも掛かる。ContinuumはWindows 10 Mobileで導入しているが、対応する周辺機器は全て自分で用意する必要がある。、HDMI入力を備えたものが必要だ。キーボードとマウスを使う場合は、それらも必要になる。Windows 10 Mobileデバイスのディスプレイをそのまま使うという手もあるが、スマートフォンクラスのデバイスに搭載した5~6型のディスプレイを見続けていては疲れてしまう。スマートフォンではPCアプリケーションが動かないことを考えれば場合によっては、デバイスに最初から付属する以外のWindows 10 Mobileアプリケーションも購入する必要がある。
そもそも、Continuumを利用するには、Windows 10 Mobileデバイスを入手しなければならない。Googleの「Android」やAppleのiOSデバイスからWindows 10 Mobileデバイスに乗り換えたユーザーもここにきて少数ながら存在する。とはいえ、調査会社comScoreによる2015年12月の調査によるスマートフォン市場において、Android搭載デバイスとiOS搭載デバイスの2強が90%以上のシェアを占め、Windows 10 Mobile搭載デバイスは続く3位とはいえ、そのシェアは2%台と大きく下回っている。
Continuumが成功するには、Windows 10 Mobileアプリケーションの充実が不可欠だ。しかし、アプリケーション開発者にとって、このOS向けに開発する動機が乏しい。大多数のユーザーはAndroidやiOSを搭載したデバイスを使うからだ。
Continuumは大胆なアイデアだが、ContinuumによってWindows 10 Mobile搭載デバイスが、生産性の高いメインのデバイスとして仕事に使えるようになるためには、多くの課題をクリアしなければならない。その日が来ない、ということではないが、2016年の4月時点において、PCの代わりとなるだけの実力はまだない。
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