注目が高まるハイパーコンバージド
仮想デスクトップに最適な「HCI」、これから伸びるベンダーは?
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)とVDI(仮想デスクトップインフラ)は、切っても切れない関係だ。VDI利用企業はHCIの導入をどう判断すべきか? VMware vExpertが解説する。
データセンターの革命児となっているハイパーコンバージドインフラで、最も一般的なユースケースの1つは、VDIの効率とスケーラビリティの向上だ。
ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を導入するには、巨額の投資が必要になる。だが、市場には、中規模から大規模業向けのHCI製品しかないのが現状だ。ただし、正しくセットアップすれば、企業はデータセンターの効率化とエンドポイントのパフォーマンスの安定というメリットを享受できる。HCIでは、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、仮想化のリソースが1つのシステムにまとまっている。
サーバ&ストレージ ナビ
デスクトップとサーバ仮想化の専門家であるアラステア・クーク氏によると、VDIを利用している企業は、利用可能な製品に加えて、HCIの長所と短所も独自に調査する必要があるという。以下では、クーク氏がHCIと従来のインフラの違いについて説明している。さらに、HCIベンダーのNutanixとSimpliVityを他のHICベンダーも交えて比較し、VDIを導入している企業でHCIが適しているケースについて解説する。
――HCIに移行した場合、VDI管理者にとって最も大きな違いは何でしょうか。
クーク氏:それは、インフラが圧倒的にシンプルになることです。HCIでは、レガシーインフラのように、LAN上のデータストアに関するストレージの制約がありません。そのため、HCIではLAN上の仮想マシンの数に関する懸念事項がかなり少なくなります。
HCIでは、全てのリソースを追加することでインフラを拡大します。つまり、ノードを1台追加するたびに、コンピューティング、CPUメモリ、ディスク容量とパフォーマンス、ネットワークスループットの全てが追加されます。従来のインフラでは、より多くのデスクトップPCを利用するために十分なコンピューティング容量を購入した結果、ストレージアレイが十分なIOPSを確保できないという問題に陥ることがありました。つまり、VDI環境を増強する際には、従来のインフラと同じボトルネックに悩まされることはありません。
――HCIを使用するのが適していないVDI環境は、どんな環境ですか。
クーク氏:HCIで重要なのは、大半のソリューションの規模が最小でも3つのハイパーバイザーホストで構成される点です。言い換えれば、最低でもデスクトップPCが数百台という規模になります。ハイパーバイザーホストは全てVDIに適した大きさの構成要素(16~32ノード)まで拡張します。ただし、どのホストも、非常に小規模な環境に合わせて、これ以上規模を縮小することはできません。
HCIにおけるもう1つの制約は、ほとんどのソリューションで、大量のGPUカードの追加をサポートしていない点です。デスクトップ仮想マシンを実行しているノードへのGPUカードの追加を全くサポートしていないソリューションもあります。そのため、高度な3Dグラフィックス処理が重要な場合、HCIに関する選択肢は狭まります。
――HCIは、どれくらい普及すると思いますか。
クーク氏:VDIの展開方法として最も一般的なものの1つになるでしょう。HCIはVDIのユースケースと非常に上手く適合するため、VDIを使って最先端を行くHCIベンダーが見られます。リソースの適切なバランスが取れれば、全てのリソースを同時にスケーリングできる点と、そこから得られる容量は非常に有益です。
――NutanixとSimpliVityのHCI製品は比較してどうですか。
クーク氏:Nutanixについては、数百のNutanixノードで構成される1つのデータセンターを運用するクライアントからスケーリングに関してかなり高い評価が寄せられています。また、複数のハイパーバイザーの利用についても好評を博しています。VMwareの「VMware vSphere」やMicrosoftの「Hyper-V」以外のハイパーバイザー上で実行されているVDIは多くありません。ただし、KVM(Kernel-based Virtual Machine)ハイパーバイザーをサポートし、ハイパーバイザーのライセンスコストを免除するVDI製品が見られるようになれば、市場にも一定の変化が現れる可能性があります。
SimpliVityはデータ効率全般に定評があります。これまでSimpliVityはVDI分野において大きな勢力は持っていませんでした。その理由は単純で最近までVDIのデータ効率があまり話題にならなかったからです。ただし、SimpliVityは、2015年に同社のノードでそれぞれ実行可能なデスクトップPCの台数について、非常に優れた合計値とLogin VSIのベンチマークツール「Login VSI」のベンチマークデータを発表しました。SimpliVityがVDIの経済的な側面を変え、同社のプラットフォームで運用するVDIを他のベンダーより安い価格帯に設定する可能性は十分にあります。
――IT部門が前述の2社以外に検討すべきHCIベンダーはどこでしょうか。
クーク氏:VMwareの「Virtual SAN」は、同社の一部製品と同程度にハイパーコンバージド化されているにもかかわらず、HCI製品として位置付けられていないのは興味深いことです。データ統合機能は完備されておらず、リリースには時期尚早である感は否めないが、バージョン6.2ではデータ統合機能が搭載される予定です。
それから思わぬ伏兵に注意してください。Cisco Systemsは、Springpathからライセンスを受けたHCI製品とともにハイパーコンバージド市場に参入したばかりです。HP(Hewlett-Packard Enterprise)やSuperMicroなどのハードウェアベンダーを通じて間もなく市場に投入されるAtlantis Computingのハイパーコンバージドアーキテクチャには、幾つかの非常に興味深い要素が見られます。その重要な要素の1つは、オールフラッシュ構成であることです。一般的にオールフラッシュはVDIの運用に適しています。
HCIの市場で複数のベンダーについて検討する時間的な余裕があるなら、現在の市場で高いシェアを占めるNutanixとSimpliVityだけでなく、もっと広い視野で検討することをお勧めします。
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