ハイパーコンバージドの2大勢力「Nutanix」と「Evo:Rail」、違いを比較Software-Definedへ向かうインフラの選択【後編】(1/2 ページ)

ハイパーコンバージド製品として注目される「Nutanix」と「Evo:Rail」。それぞれどのような特徴があるのか。

2015年09月07日 08時00分 公開
[五味明子]

関連キーワード

Software-Defined Data Center | VMware | x86 | x86サーバ


 前編「バズワードで終わるのか? アナリストに聞く“ハイパーコンバージド”の意義」では、垂直統合型システムからハイパーコンバージドインフラへの流れについて解説した。後編でも、引き続きIDC Japanでインフラ部門を担当する2人のアナリスト――サーバーグループマネージャー 福冨里志氏とリサーチ第1ユニット(ストレージ/サーバ/HPC/PCs)グループディレクター 森山正秋氏のインタビューをお伝えする。

サーバ&ストレージ ナビ

ハイパーコンバージドインフラ


ハイパーコンバージドインフラの2大勢力――NutanixとEVO:RAIL

 現在、ハイパーコンバージドインフラを提供するベンダーとして最も注目を集めているのが米Nutanixの「Nutanix」だ。なぜNutanixは急速にこの市場で頭角を現すことに成功したのか。福冨氏は「Nutanixはアプライアンスを提供しながらもハードウェアのビジネスにフォーカスしているわけではない」ところが既存のオールドベンダーにない特徴だと指摘する。

 「サイロ型のシステムを新しいアーキテクチャに乗り換えただけの製品だったらNutanixはこんなに伸びていなかったはず。ユーザー企業が求める運用負荷の軽減やコストリダクションを実現するために何ができるのかを突き詰めた結果、専用ストレージをなくし、無償のハイパーバイザーや管理ソフトの提供につなげている。こうした発想は自社でハードやシステムインテグレーション(SI)を提供している既存のベンダーにはなかったものだったといっていい」(福冨氏)

 一方、Nutanixの対抗馬として2014年のリリース以来、次第に存在感を増しているのが米VMwareの「VMware EVO:RAIL」だ。仮想化基盤のトップベンダーであるVMwareが初めて提供するアプライアンスとして注目されたが、福冨氏は「EVO:RAILもNutanix同様にハードウェアに特化したビジネスではない」点がこれまでの統合型インフラとは大きく異なっているという。

 特に重要なのは、VMwareの“Software-Defined Storage”(SDS)技術である「VMware Virtual SAN」(VSAN)を実装している点で、これによって専用ストレージを必要とすることなく、サーバ内蔵のディスクを共有ストレージとして利用できる。ストレージはサーバに比べ“VM単位で管理する”という感覚がまだベンダーにもユーザーにも乏しい。EVO:RAILはこうしたハードルを超えるためのVMwareならではのソリューションともいえる。

 「EVO:RAILは基本的にVMwareから各パートナー企業に対してOEMとして提供される。サーバやストレージをVMwareが提供するわけではなく、(VMwareの指定する仕様に準拠していれば)OEMパートナーは自由にハードを選択し、ユニークなEVO:RAILを顧客に対して販売できる。今後はEVO:RAILにおけるデータサービスやサポートなども差別化の要因になってくるだろう」(森山氏)

 NutanixとEVO:RAILの最大の違いはサポートするハイパーバイザーにある。「VMware vSphere」だけをサポートするEVO:RAILに対し、Nutanixはマルチハイパーバイザーをうたっており、その中には当然vSphereも含まれる。NutanixにとってVMwareは競合でもあるが、重要なパートナーでもあるのだ。「ユーザーがどのハイパーバイザーを使いたいかという点は、これからのハイパーコンバージドインフラ市場で重要な指標になるはず」(森山氏)

       1|2 次のページへ

ITmedia マーケティング新着記事

news193.jpg

IASがブランドセーフティーの計測を拡張 誤報に関するレポートを追加
IASは、ブランドセーフティーと適合性の計測ソリューションを拡張し、誤報とともに広告が...

news047.png

【Googleが公式見解を発表】中古ドメインを絶対に使ってはいけない理由とは?
Googleが中古ドメインの不正利用を禁止を公式に発表しました。その理由や今後の対応につ...

news115.jpg

「TikTok禁止法案」に米大統領が署名 気になるこれからにまつわる5つの疑問
米連邦上院が、安全保障上の理由からTikTokの米国事業の売却を要求する法案を可決し、バ...