学習ポータルサイトとしてグループウェアを活用
立命館宇治中高が「無料グループウェア」でアクティブラーニングに挑戦、その中身とは?(3/3 ページ)
アクティブラーニングに積極活用
立命館宇治におけるサイボウズLiveの活用をみていこう。同校はクラス単位やコース単位でグループを作成し、各グループ内のタイムライン、掲示板、ToDoリスト、チャットなどの機能を用いて情報を共有、発信している。生徒が教員へ質問するのはもちろん、教員が授業中に話せなかった内容を掲示板で共有したり、ToDoリストで生徒に自学自習を促したりしている。
小澤教諭は自身が担当する国語の授業で、生徒の主体的な学びを促すアクティブラーニングのツールとしてサイボウズLiveを生かす。中でもチャット機能は「アクティブラーニングと相性がよく、グループ内でディスカッションする際に頻繁に活用している」(同教諭)という。ディスカッションの際、グループごとの議事録係がチャットを使って内容を記録する。後から他のグループとディスカッション内容を共有して見比べたり、グループの議事録を黒板に投影したりして理解を深めている。
「教員にとって、時間内に全てのグループを机間巡視(学習者の机を巡回すること)することは難しい。チャット機能でディスカッションの記録を残しておけば、内容の後追いがしやすくなる」と小澤教諭は語る(写真2)。以前はディスカッション内容を黒板に書き、生徒はその内容を板書する必要があったが、チャットの利用でこうした手間が軽減でき、よりディスカッションに時間が割けるようになったという。
小澤教諭はディスカッションにサイボウズLiveの掲示板機能を利用することもあるという。テーマごとにトピックが作成できる掲示板を使えば、複数テーマのディスカッションを並行して進める場合に、混乱を避けることができるからだ。掲示板の文字書式を変更できるので、生徒は自分の強調したい部分をマークしたり、色を変えたりできる。「掲示板の画面をそのままホワイトボードへ投影して、書き込みながらプレゼンテーションすることもある」と同教諭は語る。
もう1つの効果的な活用例が、学校を休んだ生徒に対するリアルタイムの情報共有だ。立命館宇治では病欠する生徒の他に、部活動の遠征や短期留学などで授業に出席できない生徒も少なくない。こうした生徒に対していつでもどこでも、授業の内容について双方向なやりとりができるようにするためにサイボウズLiveを活用している。小澤教諭は「学校外での学習の質を高め、結果として教員の負担軽減やペーパレスにもつながった」と評価する。
限られたデータ容量が課題に
サイボウズLiveの機能を積極的に活用する立命館宇治。現在のところサイボウズLiveには大きな不満点はないものの、「ファイル1個当たりの容量が25MB以内に制限されていることがネック」だと小澤教諭は説明する。
サイボウズLiveは現在のところ、ファイル容量の制限を撤廃する有料オプションを提供していない。そのため立命館宇治は、動画など大容量ファイルのアップロードが必要な場合は他のオンラインサービスを使い、ファイルのURLを限定公開で共有する形を取っている。
校外につながる足掛かりに
今後は校外とのつながりを広げる活動にもサイボウズLiveを役立てたい考えだ。例えばチャット機能を使ったディスカッションに、大学の教授や有識者を招いて参加してもらうなど、生徒のモチベーション向上や多様な議論の促進につながる取り組みを進めていくという。
「生徒のより活発な意見交換を可能にするには、チャットや掲示板はよりオープンにするのが望ましい」と小竹教諭は述べる。一方で、掲示板への書き込み方や情報の伝え方、共有の仕方といった情報リテラシー/ITリテラシー、情報モラルの向上も課題となる。
生徒が校外の人とつながり、学ぶ意味や必要性をよりリアルに感じる。現実では築くことが難しいこうしたコミュニティーの実現を、立命館宇治は目指している。生徒がよりアクティブになれる学びを目指して、同校は今後もITを生かしていく。
執筆者紹介
神谷加代(かみや かよ)
教育ITライター。「教育×IT」をキーワードに教育機関で進むタブレット導入事例やIT活用、子ども向けプログラミング教育、EdTech関連の話題などを、Webメディア、書籍、雑誌などで執筆。著書に『iPad教育活用 7つの秘訣』(共著、ウイネット)、『こどもプログラミング読本――「未来をつくる力」を育てる』(共著、技術評論社)、『子どもにプログラミングを学ばせるべき6つの理由 「21世紀型スキル」で社会を生き抜く』(共著、インプレス)。
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