事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策【第1回】
どう防ぐ? 標的型攻撃:「メールの添付ファイルを開いたあと、PCが重い気がする」(1/3 ページ)
中堅・中小企業を狙うサイバー攻撃は年々増加し、実被害に遭遇するケースも増えています。例えば「スピアフィッシング」による標的型攻撃は、どのように仕掛けられ、どう対策すればいいのでしょうか?
連載について
情報セキュリティ対策をしたくても、ITに詳しい人が社内外にいなくて困っている中堅・中小企業は多いのではないでしょうか。「知識不足」と「ヒト、モノ、カネ不足」の問題が目の前にあっても、対策は待ったなしの状況。予算を握る上司を説得するために、サイバー攻撃の事例を紹介しながら、その効果的な対策につながる情報セキュリティ製品を分かりやすく解説します。
2016年も中盤に差し掛かっていますが、依然としてサイバー攻撃による被害や、内部からの情報漏えいなどの被害は後を絶たず、連日のようにニュースで流れてきます。標的型攻撃による情報漏えい、インターネットバンキングの不正送金被害、身代金ウイルス(ランサムウェア)によるデータの喪失、Webサイト改ざんや脆弱(ぜいじゃく)性を突いた攻撃による個人情報漏えい、内部からの情報持ち出しによる被害……。
これらのサイバー被害情報に対して、中堅・中小企業の経営者が敏感に反応し「これはまずいぞ、うちの会社は大丈夫かな」と心配になり、トップダウンで具体的な対策を指示する……というケースがどれだけあるでしょうか。ほとんど(と言っては失礼ですが)サイバー被害にまつわるニュースや記事情報を対岸の火事のように捉えてしまい、トップ率先で自社のセキュリティ対策強化に取り組むケースはまれです。そのため、少ない人数でセキュリティ対策を一任されている情報システム管理者から「どうやったら社長にセキュリティの重要性を分かってもらえるでしょうか……」と筆者が相談を受けたケースは一度や二度ではありません。
中堅・中小企業へのサイバー攻撃被害が急増している理由とは
2016年上半期「中堅・中小企業とIT」記事ランキング(2016年1月1日~2016年6月20日)
1位 iPhone搭載の「iOS」を好む人と、「Android」が大好きな人の違い
2位 「iPhone SE」と9.7インチ「iPad Pro」の登場を悔しがる人々の本音
3位 「Windows 10」の“気味の悪さ”、ユーザーデータ収集に不安は?
「セキュリティ対策なんて分からないものに金を掛けるのはもったいない。それよりもウチの売り上げを上げる取り組み(販促施策など)にお金を掛けた方がいいでしょ」――、中小企業の経営者からよく耳にする言葉です。確かに、セキュリティ対策を施したからといって、売り上げがすぐに向上したり、コスト削減に貢献でき利益が拡大したりするような、業績に直結するケースはまれです。そのため経営者の関心事になりにくいのもうなずけます。
しかし中堅・中小企業がターゲットになるサイバー攻撃は年々増加しており、実被害に遭遇するケースも増えているため注意が必要なのです。
ではなぜ、攻撃者は中堅・中小企業への攻撃を拡大しているのでしょうか。それには次の3つの理由があります。
- 穴だらけで簡単に侵入できる
- サプライチェーンの上流に攻撃の幅を拡大する足掛かりにできる
- カネになる
中堅・中小企業は、大手企業ほどにセキュリティ対策にお金や時間、設備などのコストをかけていなかったり、従業員に対するセキュリティ教育を実施していなかったりするので、攻撃側にとっては比較的簡単に侵入することができます。中堅・中小企業の脆弱なエンドポイントを不正に乗っ取った後、サプライチェーンの上流(本当に狙いたい大手取引先企業など)に攻撃の幅を広げていくことも可能です。
大手の取引先から重要な機密情報を預かっており(その情報が重要情報である、という認識があるなしにかかわらず)、パスワードもかけていないクライアントPCやNAS(ネットワークのファイルサーバ)に保存しているケースも見受けられます。PCを1台乗っ取ってしまえば、遠隔操作でネットワークに転がっている重要情報を探すのは簡単です。
最近では、攻撃者は中堅・中小企業を攻撃することが「カネになる」ということを理解しています。アンダーグラウンドのWebサイトでは、機密情報や個人情報といった重要情報が売買されています。インターネットバンキングの不正送金は中堅・中小企業の被害が激増していますが、こちらも直接的にカネになります。さらにランサムウェア被害を受けた中堅・中小企業が、特に重要なデータが破壊されていた場合、いちかばちかでデータの復元を試みるために、攻撃者側にカネを支払うケースもあるでしょう(復元のための鍵が入手できるかどうかは不明なので、いちかばちかなのです)。
一昔前のサイバー攻撃は「愉快的犯行」が主流でした。しかし、現在は「金銭搾取」に攻撃の目的が変わっているのです。「カネになる」ということが分かれば、サイバー攻撃がビジネス化するのは当然でしょう。このような世の中の変化をしっかりと見定めた上で、中堅・中小企業でもリスク対策に備えなくてはいけません。
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事例で分かる、中堅・中小企業のセキュリティ対策
情報セキュリティ対策をしたくても、ITに詳しい人が社内外にいなくて困っている中堅・中小企業は多いのではないでしょうか。「知識不足」と「ヒト、モノ、カネ不足」の問題が目の前にあっても、対策は待ったなしの状況。予算を握る上司を説得するために、サイバー攻撃の事例を紹介しながら、その効果的な対策につながる情報セキュリティ製品を分かりやすく解説します。
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