設定変更でプライバシーは守れる
「Windows 10」の“気味の悪さ”、ユーザーデータ収集に不安は?
「Windows 10」は大量のユーザーデータを収集している。Microsoftに言わせれば、その目的は全て、ユーザーに最適な使用感を実現することにある。その背景と、設定の変え方のポイントを解説する。
HBO(米国のケーブルテレビ放送局)が放送していた非常に評判のいいドラマ「The Wire」(注:“The Wire”は盗聴、盗聴器のこと)で、オマール・リトルという登場人物が自分の犯行を正当化する時に言うせりふがある。「何でもありのゲーム(It's all in the game)」。オマールはボルティモアの麻薬取引のことを言っているのだが、このせりふは「Windows 10」のデータ収集を巡る批判にも当てはまる。
Windows 10はテレメトリや個人設定、サービス、そして広告に関する情報をMicrosoftのサーバに送信する。だがWindows 10の「Cortana」などの機能をフル活用したければ、ユーザーはそれを引き換えに受け入れなければならない。現実として、Appleの「iOS」や「Mac OS X」、Googleの「Chrome OS」や「Android」も同じように情報を収集している。何事にも完全なプライバシーはあり得ない。何でもありのゲームなのだ。
Windows 10のデータ収集で想定すべきこと
併せて読みたいお勧め記事
Windows 10は“個人情報ダダ漏れ”なのか?
Windows 10アップグレード関連記事
まず基本として、Windows 10ではセキュリティ設定やメモリスナップショット、クラッシュやアプリケーション利用といったテレメトリデータを収集する。Microsoftのプライバシー声明によれば、Windows 10ではさらに、電子メール、テキストメッセージ、連絡先、パスワード、ユーザー名、IPアドレス、Web閲覧履歴、検索用語、ソフトウェア使用に関する情報も収集する。さらにはGPSやWi-Fiホットスポットを通じてユーザーの居所まで追跡する。Cortanaは検索エンジンの「Bing」と連係してユーザーの検索履歴や通信履歴を追跡する。
驚いただろうか。
だが実はそれほどひどいわけではない。Microsoftはユーザーの通信内容をスキャンしたりはしない。このデータを使ったターゲット広告の配信も行わない。センシティブなデータや個人情報は全てMicrosoftのサーバのバックエンドに格納され、匿名化されて、データを提供した個々のユーザーをMicrosoftが特定できないようになっている。
Microsoftが情報を収集する理由
MicrosoftはWindows 10のプライバシー不安に対し、Windows 10でデータを収集する目的は全て、ユーザーエクスペリエンスの最適化にあると弁明している。
例えばテレメトリ情報は全て、Windows 10の安定した性能を保つため、Microsoftが同OSの問題を見つけて修正する助けになる。Windows 10はまた、本質的にデータ収集を必要とするCortanaや「Outlook」などのサービスが満載されている。そうしたプログラムが適切に機能するためには、ユーザー設定やファイルにアクセスする必要がある。ユーザーがもしCortanaを真のパーソナルアシスタントとして活用したければ、予定表や電子メールなどへのアクセスを許可する必要もある。
情報収集を止める方法
Windows 10のエディション「Windows10 Enterprise」と「Windows10 Education」では、テレメトリデータの収集を止めることは可能だ。テレメトリ設定は「基本」「完全」「拡張」の3種類から選択できる。初期設定は「拡張」になっていて、ほとんどの情報が送信される。どのWindows 10のユーザーもこの3つの選択肢の中から選ぶことは可能だが、EnterpriseエディションとEducationエディションの場合、ユーザーがテレメトリデータの収集を完全に無効にできる。
同OSに収集されるデータを制限し、そしてWindows 10のプライバシー問題の一部も制限する別の方法として、プライバシー設定を変更してデータ共有を無効にしたり、グループポリシーの設定を変更して端末にロックをかけることもできる。ユーザーがプライバシー設定を調整して、オンラインとオフラインの両方の検索データがWindows 10からMicrosoftに送られないようにすることも可能だ。
データの流れを制限する上で最大の問題は、Microsoftがそれをあまり簡単にできるようにはしていないことにある。例えばアップグレードの過程で「デフォルトのプライバシーを受け入れる」という大きなボタンが現れる。プライバシー設定をカスタマイズするための選択肢は小さくて見つけにくい。また、Microsoftのプライバシーポリシーは1万2000語を超す長さで、ほとんどのユーザーの頭には入ってこない法律専門用語のオンパレードだ。多くの場合、プライバシー設定からオプトアウトするためにユーザーが行動しなければならないことに問題がある。
Wi-Fi Senseの使い方
Wi-Fiセンサーの「Wi-Fi Sense」はWi-Fiパスワード共有の手間を省いてくれる。Wi-Fiの所有者がそのネットワークを共有可能な状態にするだけで、Wi-Fi Senseからそのネットワークにアクセスしようとする他のユーザーに、暗号化されたファイルが送信される。他のユーザーがこれに接続するためにはWi-Fiの圏内にいて、位置情報サービスを有効にしておく必要がある。他のユーザーがWi-Fiのパスワードを見ることはない。これは特に、Wi-Fiの所有者が同じパスワードを別の場所でも使い回している場合の助けになる。無線LANの共有はいつでも解除でき、ゲストユーザーがそのネットワークの別のデバイス、例えばプリンタなどにアクセスすることはできない。ゲストがそのネットワークを他のユーザーと共有することもできない。
企業におけるWi-Fi Senseには明らかに、ある程度のプライバシー不安が付きまとう。ユーザーが自分の好きな相手にWi-Fiへのアクセスを許可することを、IT管理者は一般的に望まない。幸いなことに、802.1X規格のWi-Fiネットワークを使っている企業では、Wi-Fi Senseは機能しない。この規格を使っていない企業でも、管理者がネットワークの名称に「_optout」を付ければ、Wi-Fi Senseはそのネットワークを無視してくれる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー