なぜ日本の学校にITが必要なのか【後編】
なぜ学校は「タブレット」「無線LAN」の導入で満足してはいけないのか(2/3 ページ)
日本の教育ITの課題
前述の通り、学力の向上とITリテラシーの向上という2つの目的を掲げる日本。だが現状では、目的達成に向けて取り組むべき課題は多い。
「学力の向上」の課題
1つ目の学力の向上に取り組む上での課題は、各教科の学力向上のためのデジタル教材がそろっていないことだ。ここ数年で電子黒板やプロジェクター、無線LAN、タブレットといった基本的なIT製品は、国内の教育機関でも少しずつだが確実に普及してきた。だがこれらは、あくまでも基盤であり、IT活用を進めるための下地にすぎない。
肝心のデジタル教材については、本格的な整備はこれからといった状況だ。「デジタル教科書」さえも、正式な検定済み教科書として配布できるものは存在しない。仮にデジタル教科書が正式な教科書として認められるようになった後、紙の教科書を廃止するのか、それとも両者を併用するのかなども決まっていない。このようにデジタル教材やその利用方針が十分に整備されていない状況では、ITを利用した学力向上の可否を語ることはできない。
デジタル教材の整備が遅れている最大の問題は、学力の向上のためにどのようなデジタル教材を作成すればよいかについて、十分なノウハウがないことだ。タブレットや電子黒板といったハードウェアの導入が進んでも、具体的な学習に直結するデジタル教材が充実していない現状では、IT導入が学力の向上にもたらす影響は限られる。これらを総合すると残念ながら、現時点で教育機関のIT活用による学力の向上の実現は、まだ絵に描いた餅にすらなっていない状況だといえる。
「ITリテラシーの向上」の課題
2つ目のITリテラシーの向上も、当然ながら一朝一夕にはできない。中編「小学校の『プログラミング教育必修化』が必要なこれだけの理由」で、プログラミング教育が今後の日本の命運を左右する存在になる可能性と、この取り組みに総論として賛成する旨を述べた。だが現実を見ると、成功は非常に厳しいと言わざるを得ない。それはなぜかというと、情報分野の教員が圧倒的に少ないからだ。
現在でも高等高校で教科「情報」が必修になったとはいえ、必修なのは2単位と少ない。小規模な高校の場合、情報専任の教員を何人も置くことは難しいだろう。実際、他の科目と兼任している教員しかいない高校も多いという。
情報はもともと新しい教科なのだから、他の歴史ある科目と比べて指導内容が洗練されていないのは仕方がない。しかも扱うのは、いまだに進化を続けているIT分野だ。クラウドコンピューティングや仮想化技術、モノのインターネット(IoT)など、IT分野では多くの新しいテーマが日々生まれている。これらのトレンドを追いながら、それを分かりやすく説明し、学習者のITリテラシーを向上させるのは非常に難しい。
そもそも日本が教育機関のIT活用やIT教育で設定した目的は、諸外国と比較しても格段に達成が難しい。一足飛びに理想形を具現化するのが難しいのは当然だといえる。それでも人を育てる以外に日本が勝ち残るすべがなさそうな現状では、何とかしてIT活用やIT教育による学力の向上、ITリテラシーの向上を実現する必要があるのだ。
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なぜ日本の学校にITが必要なのか
日本の教育機関が今、IT活用やIT教育への注力を迫られているのはなぜなのか。海外の動向にも触れながら、その背景を探る。
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