なぜ日本の学校にITが必要なのか【後編】
なぜ学校は「タブレット」「無線LAN」の導入で満足してはいけないのか(1/3 ページ)
ITが日本の教育に必要な理由とは何なのか。教育機関は今後、何を目指してIT活用やIT教育に取り組んでいくべきなのか。国内外の過去と現状を見据えて考察する。
教育機関のIT導入熱がここ数年で急速に高まる一方、「日本の教育のIT化は今後どうなっていくのか」という疑問が、頭の中で渦巻いている教育関係者も少なくないだろう。後編では「なぜ日本の学校にITが必要なのか」と題した連載のまとめとして、このことに関する私の考えを記していく。
未来のことを予測し尽すことは難しい。だが教育分野を含めた世界の情勢と日本の現状を把握し、教育がITで何を目指すかを理解していけば、少なくとも日本がなぜ教育にITが必要としているかは理解できる。そして必要性が理解できれば、将来のあるべき姿もその延長線上に見えてくるはずだ。
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なぜ日本の学校にITが必要なのか
それでも悩ましい学校タブレット/無線LANの問題
日本と海外の教育ITの違い
教育機関のIT導入は概して、日本よりも海外の方が進んでいる。英国のように2000年代初頭から電子黒板が普及し始めた国もあるぐらいだ。ただしIT導入時期の早さだけをもって「海外は日本よりも先進的だ」とは言い切れない。なぜなら海外の教育機関の場合、社会インフラの未整備を補うためにITを導入することが少なくなかったからだ。
日本の国土は広くなく、しかも国土面積に占める可住地面積の割合は約3割しかない。これに明治期から現代に至る経済成長の歴史もあり、人が住んでいるところであれば社会インフラの整備が比較的容易であった。この社会インフラには、学校の校舎施設や教材の物流、教員の配置などの教育インフラを含む。
海外の中には、そうはいかない国もある。国土が広い上に学校の設備はもちろん、紙の教科書を国全体に行き渡らせる物流網が整備しきれていない国も少なくない。だからこそ、それらを補完するためにIT活用の機運が高まったのだろう。学校の施設や教員の指導レベル、その他の未整備な環境を補完するためのツールとしてITが便利だったのだ。
日本はIT活用が本格化する以前に、教育インフラが基本的にそろっていた。そのため「教育インフラ補完」という目的では、IT活用が遅れたというよりも、そもそも活用する必要がなかったのだ。政府が2013年6月に発表した「世界最先端IT国家創造宣言」では、日本は教育環境のIT化によって「学力の向上」と「ITリテラシーの向上」を図るという明確な記載がある。つまり「電子黒板導入」「タブレット導入」など一口にいっても、日本が教育IT活用やIT教育で目指すものは、教育インフラ整備自体を目的とする国とは大きく異なるのだ(図1)。
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なぜ日本の学校にITが必要なのか
日本の教育機関が今、IT活用やIT教育への注力を迫られているのはなぜなのか。海外の動向にも触れながら、その背景を探る。
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