なぜ日本の学校にITが必要なのか【中編】
小学校の「プログラミング教育必修化」が必要なこれだけの理由(1/3 ページ)
小学校での必修化の検討が進む「プログラミング教育」。なぜ必修化が必要なのか。世界の動向も含めてプログラミング教育を取り巻く状況を整理し、その理由を探る。
2016年4月19日、文部科学省は「小学校のプログラミング教育の必修化を検討する」と発表した。2020年度からの新学習指導要領にプログラミングを盛り込む方向で議論するとのことで、2016年5月に有識者会議を開くなど、その実現に向けて動き出しているようだ。
既に高等学校では教科「情報」を必修化しており、中学校では2012年に教科「技術・家庭」でプログラミング教育を始めている。これに小学校が加わることによって、日本の初等中等教育にプログラミングが必須だという流れが、ある程度定まってきたと捉えることができる。
だが実際にプログラミング教育を実施する教育現場では、そもそもなぜ小学校からプログラミング教育が必要なのかという“そもそも論”は理解されていないだろう。今回は前編「『学校IT活用・IT教育』が日本の“救世主”になり得る理由」に続く中編として、このプログラミング教育必修化について整理する。
2016年上半期「教育IT」記事ランキング(2016年1月1日~2016年6月20日)
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海外でのプログラミング教育事情
プログラミング教育の必修化は文部科学省の発表なので、日本の教育政策として必要だと考えられていることに議論の余地はないだろう。ではなぜプログラミング教育が必要だという考えが出てきたのか。その答えは国内だけを見ていても分からない。海外でのプログラミング教育事情に目を向けることで、背景が理解できる。
結論からいうと、既に海外の複数の国でプログラミング教育の流れが加速していることが、プログラミング教育の必要性を高めている。日本はこうした海外の国々に負けないように、小学校からのプログラミング教育必修化を検討しているのだ。
プログラミング教育の先進国の取り組みを見ていこう。まずはバルト三国の1国に数えられるエストニア。人口は約130万人というから、日本でいうと青森県と同じくらいだ。この欧州北部の小国は、ビデオ会議/チャットツールの「Skype」を生んだことで有名で、IT教育も盛んだ。既に2012年には小学校でのプログラミング教育の必修化を発表しており、パイロット校においてプログラミング教育を開始している。
英国もプログラミング教育に力を入れており、2014年9月の教育カリキュラム改訂で5~16歳のプログラミング教育を必修化した。特徴的なのは指導者へのプログラミング教育を併せて推進したことだ。エストニアと比較すると、国家規模も大陸近くの島国という点でも、日本と英国とは類似点が多く、参考にすべき点は多い。
人口約800万人の小さな国であるイスラエル。日本では「常に火種がくすぶっている中東の戦争地域」というイメージが強いが、IT産業の集積地でもあるのをご存じだろうか。IT企業の上場が目立つNASDAQ市場への上場数は、米国に次ぐ2位という驚くべき実績を誇る。2000年には高等学校におけるプログラミング教育を必修化し、現在は中学校への導入を検討しているという。
世界最高のIT先進国といえる米国はというと、現状ではプログラミング教育を必修化しているわけではない。ただし2013年にはバラク・オバマ大統領が、非営利団体Code.orgのプログラミング教育の普及キャンペーン「Hour of Code」を奨励する動画に出演し、プログラミング教育の必要性を訴えた。今後、米国でもプログラミング教育必修化の動きが加速していく可能性がある。
この他にも、幾つもの国がプログラミング教育を推進している(図1)。国土が小さく資源もなく、工業などの技術力で国力を拡大してきた日本。各国がプログラミング教育を加速させる中、この流れに乗り遅れると死活問題となりかねない。こうした状況が、文部科学省や政府が小学校からのプログラミング教育の必修化を進める背景にある。
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なぜ日本の学校にITが必要なのか
日本の教育機関が今、IT活用やIT教育への注力を迫られているのはなぜなのか。海外の動向にも触れながら、その背景を探る。
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