テレワークの運用ルールと評価制度を考える【第5回】
徹底解説:中小企業経営者の背中を押すテレワーク助成金制度とは(2/2 ページ)
職場意識改善助成金(テレワークコース)の助成対象や助成額
実現したいシステムなどの要件や機能がまとまってきた段階で、いよいよ必要な機器やサービスを導入するフェーズになる。その際、テレワーク導入に伴って要した費用の一部を厚生労働省が助成する「職場意識改善助成金(テレワークコース)」という制度がある。その助成対象や具体的な助成額を見ていこう。
参考リンク
職場意識改善助成金(テレワークコース)(厚生労働省)
助成対象と額
対象経費と助成額は、以下の通り。
対象経費
- 謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装備などの購入費、委託費
- 契約形態がリース契約、ライセンス契約、サービス利用契約などで「評価期間」を超える場合は、「評価期間」に掛かる経費のみが対象となる
助成額
- 対象経費の合計額×補助率
- 上限額[※]を超える場合は上限額が付く
※「1人当たりの上限額」×対象労働者数または「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額。
対象事業主
以下の表のAまたはBの要件を満たす企業が助成金の対象事業主となる。
| 業種 | A.資本または出費額 | B.常時使用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
助成の対象となる取り組み
助成対象となる取り組みの具体例を挙げる。
- テレワーク用通信機器の導入、運用(PC、タブレット、スマートフォンは対象にならない)
- 保守サポートや通信サービスの使用
- 就業規則、労使協定などの作成や変更
- 労務管理担当者や労働者に対する研修、周知、啓発
- クラウドサービスの使用
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)による導入のためのコンサルティング
助成金の支給額
次の成果目標の達成状況により、補助率や上限額が変わる。
成果目標の条件
- 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、終日、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる
- 評価期間において、対象労働者が終日、在宅またはサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した日数の週間平均を、1日以上とする
| 成果目標ごとの補助率、上限額 | ||
| 1と2を両方満たした場合(達成) | 左記以外(未達成) | |
| 補助率 | 4分の3 | 2分の1 |
| 1人当たりの上限額 | 15万円 | 10万円 |
| 1企業当たりの上限額 | 150万円 | 100万円 |
職場意識改善助成金(テレワークコース)の助成事例
実際に、職場意識改善助成金(テレワークコース)はどのようなケースで、どのくらいの金額を助成するのか。2つのケースで具体的に見ていこう。
ケース1
従業員10人の企業で、対象労働者3人に、(1)研修の実施、(2)就業規則の変更および在宅勤務規定の作成を社会保険労務士に依頼する場合、対象経費と助成額は以下の通り。
対象経費
- (1)謝金5万円+(2)経費15万円=20万円
助成額
- 1人当たりの上限額(3人×15万円=45万円)を超えないため、目標達成の場合は、20万円×4分の3=15万円を助成
ただし目標未達成の場合は、20万円×2分の1=10万円の助成となる。
ケース2
従業員100人の企業で、総務・経理部門8人に(1)テレワーク導入にかかるシステム改修および(2)遠隔操作機器を購入する場合、対象経費と助成額は以下の通り。
対象経費
- (1)改修費140万円+(2)購入費40万円=180万円
助成額
- 「180万円×4分の3=135万円」となるが、1人当たりの金額が135万円÷8人=約17万円となり上限額(15万円)を超えるため、目標達成の場合は15万円×8人=120万円を助成
ただし目標未達成の場合は、10万円×8人=80万円の助成となる。
各官公庁でもさまざまな取り組み
厚生労働省の取組制度を中心に紹介をしてきたが、他にも総務省Webサイト「テレワークの推進」にも役立つ情報が掲載されている。
総務省は2015年度にテレワークの普及促進に向けた調査研究として、30社に対して導入コンサルティングを実施し、事例集として取りまとめたPDF冊子「テレワーク導入支援事例集」がある。テレワーク未導入、または拡大予定の企業を支援する活動の一環だ。
テレワーク導入支援事例集には、テレワークを導入した企業の制度の概要、システム、業務の見直し、マネジメント、企業風土などについて記載されている。特にシステムについての記載は、システム概要図とともに、課題、施策、効果を中心に事例を示しており、自社のシステムを検討するに当たって参考になる情報が多い。
参考リンク
- テレワークの推進(総務省)
- テレワーク導入支援事例集(pdf)(総務省)
以上のように、官公庁においてもテレワーク普及促進のためのさまざまな取り組みがなされている。自社の導入に当たって、何か相談ごとや困りごとなどがあれば、まずはテレワーク相談センターに相談し、自社で活用できる支援制度などを把握することをお勧めしたい。
日本テレワーク協会
2000年の設立から一貫してテレワークという新しい働き方の調査研究・普及推進活動を展開してきた国内唯一のテレワーク普及推進活動団体。ワークスタイル変革には欠かせない、多様な働き方を実現するツールであるテレワークの普及によって持続的発展が可能な社会の実現を目指す。
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テレワークの運用ルールと評価制度を考える
本連載ではTechTargetジャパンの読者である情報システム部門の読者に対して 、中堅・中小企業におけるテレワークの導入をテーマに、ICT以外も含めた包括的な情報をお届けする。「日本の現状」「企業事例」「導入までのプロセス」「労務管理上の留意点」「行政の支援制度」「関連製品/サービス」と、全6回の連載で各項目を解説する。
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