CSAJ「テレワークとクラウド」セミナーリポート
“在宅勤務あるある”の課題を解決、中堅・中小企業が本気でテレワークを導入するには?(1/2 ページ)
スマートデバイスやリモートアクセス技術、クラウドサービスの普及で、オフィスにとらわれず自由な場所で働ける環境の実現は困難ではなくなった。しかし企業がテレワーク制度を導入するとなると話は別のようだ。
「Dropbox」「Evernote」などのクラウドサービスをはじめ、テレワークの推進に役立つIT製品/サービスが充実しつつある。ただし、いざ企業がテレワーク制度を導入するとなると、セキュリティ対策や予算の確保などさまざまな懸念が生じ、制度の整備に二の足を踏んでしまうケースは珍しくない。
企業がテレワークの制度と環境を用意することは、従業員の生産性向上に貢献するだけでなく、人材の確保や流出防止にも役立つだろう。しかしながら、多くの中堅・中小企業で、制度としてのテレワークの導入が進まない要因は何だろうか。ソフトウェア業界団体のコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)クラウドビジネス研究会が2015年11月に開催した「テレワークとクラウド」セミナーの講演から、中堅・中小企業の抱える業務課題と解決策について迫る。
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テレワークが企業にもたらす5つの効果
場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するテレワーク。在宅勤務だけではなく、サテライトオフィス勤務といった施設利用型テレワークや出張、移動中のモバイルワークなど、テレワークのスタイルはさまざまだ。
日本テレワーク協会の篠崎俊哉氏は、中堅・中小企業の経営課題のトップ3に「営業・販売力の強化」「人材の確保・育成」「販売価格引き上げ、コストダウン」を挙げ、これらの解決にテレワークが有効であると語る。
企業のテレワーク導入の効果として期待されるのは、次の5項目だ。中でも東日本大震災以降は、事業継続計画(BCP)の一環としてテレワークに注目したり、節電への効果を意識したりする企業が増えているという。
| 項目 | 期待される効果 |
|---|---|
| 業務生産性向上 | ・顧客への迅速・的確な対応(営業職) ・集中による知的生産性向上(研究・開発職、スタッフ職、営業職など) |
| 従業員の意識改革 | ・働き方の変革による意識の変革 ・いつでもどこでも誰とでも協力して働ける企業に変革 |
| 従業員のワークライフバランス向上 | ・育児・介護を担う優秀な従業員の継続雇用(日本では第1子出産後に62%の女性が離職:内閣府調査) ・障害者の在宅勤務による雇用(法定雇用率2%、50人以上の企業) ・ワークライフバランス向上による優秀な人材の新規雇用 |
| コスト削減、節電 | ・オフィスのフリーアドレス化によるオフィスコスト削減 ・地方営業所をなくし直行直帰にすることによるコスト削減 ・在宅勤務によるオフィスの電力使用量の削減 |
| 事業継続性確保(BCP) | ・新型インフルエンザ発生や自然災害対応時も在宅勤務で事業継続 ・在宅勤務できる安価なシステムを全従業員に配布する企業も出現 |
テレワーク関連のコンサルティングを手掛けるテレワークマネジメントの田澤由利氏は、安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」でもテレワークの導入と普及を重要視していると説く。2015年10月28日の内閣府規制改革会議の「雇用ワーキング・グループ」では、多様な働き方の実現に向けて、場所と時間を自由に使えるよう在宅勤務に関する規制の緩和や、労働時間規制の見直しなどが検討された。
IDC Japanの調査によると、国内のテレワーク関連IT市場は、2012年から2017年の年間平均成長率は6.6%。2017年の市場規模は1兆962億5000万円になると、同社は予測する。
テレワークは企業、就業者、社会の「三方良し」
テレワークがメリットをもたらすのは企業だけではない。従業員にとっては、勤務時間や勤務場所を選びやすくなるためワークライフバランスが取りやすくなり、通勤時間を有効に使うことができるようになるだろう。社会貢献の観点においてもテレワークの普及は、高齢社会の重大な問題である労働力人口減少への対策に役立つ。テレワークの制度が広がることで、都市部の業務を地方の人材が請け負うといった、新たな雇用の創出や地域活性化にもつながることが期待できる。
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