中小企業も帳票の電子化が始めやすくなる
徹底解説: 2017年1月から領収書のスマホ撮影をスタートするために準備すること(2/2 ページ)
実務への影響と留意点
今回の取扱通達の公表に伴って、中小企業でもより容易に電子帳簿保存法への取組みが可能になった。実務上の留意点は以下の通り。
- 申請届け出のスケジュール
- スキャナー機材の選定(スマートデバイスなど)
- データ管理ルールの検討
- 経理プロセスの再検討(検査体制の整備含む)
申請届け出のスケジュール
本改正は、「2016年9月30日」以降に申請した法人の国税関係帳簿書類について適用される。最速では申請から3カ月後に当たる「2017年1月1日」以降から運用を開始できることになる。なお、上記より前に申請した期間に掛かる国税関係書類については、従前の規定が適用される点には注意してほしい。
スキャナー機材の選定(スマートデバイスなど)
2016年改正の運用に当たっては、BYOD(Bring Your Own Device、私的なデバイスの活用)を前提とした設計で特に支障はない。市場に流通しているスマートフォンやタブレットなど、古くてスペックの低い端末を除けば大きな制約を受けることはないだろう。
従前認められていたスキャナー端末(フラットベッドスキャナー、ハンディースキャナーなど)に加えて、どのような要件をスキャン端末として採用するのかを自社のガイドラインとして定める必要がある。具体的には「画素数」「保存ファイル形式」「データ保存サイズ」などをガイドラインに反映する。
データ管理ルールの検討
2016年改正は電子帳簿保存法準拠を容易にしたが、適切なルールを定めて社内に展開する必要がある点は従前から変化はない。次のような点については、社内ルールを定めてガイドラインに反映する。
- 「社内向け電子文書キャビネット」「社内ファイルサーバ」「クラウドストレージ」などのうちどのような環境でデータを管理するのか
- データの世代管理をどうするか
- 将来の紙データの破棄も想定しつつ、バックアップをどうするか
経理プロセスの再検討(検査体制の整備を含む)
2016年改正における「検査者」は、実務上は税務顧問として関わる公認会計士や税理士が該当する。これらを適切に選定した上で、電磁的記録により保存した国税関係帳簿書類をどのように作成・保存するのか業務ルールを再検討する。
特に、顧問税理士は常時社内にいるわけではないため、どのタイミングで国税関係帳簿書類をチェックしてもらうかを明確に決める。例えば「週次」「月次」といったタイミングで入力期限とチェック期限を定めて、国税関係帳簿書類についてのチェック状況を常に共有するのが肝要である。クラウド会計ソフトのように、会計データを常時共有できる環境があれば、検査者による検査の効率化が可能だ。
まとめ
本改正による実務が本格的に展開するのは2017年になってからだろう。しかし、運用開始までの業務設計やトライアル運用の期間を考えるとすぐに新しい制度に基づいた申請をするのは難しいだろう。2016年9月ごろには検討に着手し、適用の申請をした上で3カ月程度の準備期間を設けるのが標準的なスケジュールになるだろう。
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