今度こそ会計業務のペーパーレス化【第2回】
ペーパーレス経理業務フローを整備しよう――3カ月の準備期間で用意する4ステップ(1/2 ページ)
電子帳簿保存法改正のポイントと実務について解説する本連載の第2回では、「書類をスキャナー保存する行動を、経理業務フローにどのように落とし込むか」という観点で、準備作業や運用フローについて解説する。
会計業務のペーパーレス化を推進する上での留意点にはどのようなことがあるだろうか。本連載の第2回では「書類をスキャナー保存する行動を、経理業務フローにどのように落とし込むか」という観点で、準備作業や運用フローについて解説する。
スキャナー保存業務の導入
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電子帳簿保存法に対応した課税文書のスキャナー保存業務について、導入ステップの全体像を示すと図1のようになる。なお、これはあくまで一例であり、規定体系やスピード感によって変動する。
導入は以下の4ステップからなる。
- 導入に当たっての事務手続き
- 環境手配
- スキャナー保存のルール定義
- スキャナー保存業務のトライアル運用
1.導入に当たっての事務手続
最初のステップでは、当局への申請書面として「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」を作成し、運用を開始する3カ月前までに提出する。申請書の記載例については国税庁Webサイトを参照されたい。
この申請に当たっては、スキャン対象となる書類の範囲を定義する必要がある。最初からやみくもに範囲を広げてしまうと運用が混乱する事態に陥るリスクがあるため、最初は「請求書」「領収書」など、最小限の範囲にとどめるのが望ましい。文書を作成する「場所」や「部署」「区分」といった範囲も定義する。
次に、書類の電子化をする前提として、社内規定の整備や見直しを行う。規定の体系にもよるが、一例として以下を整備する。
「文書管理規定」は既存の規定を見直し、電磁的保存に対応できる内容に更新する。「(適正)事務処理規定」は導入に当たって新たに作成する規定である。以下の項目を網羅する必要がある。
- 適用範囲
- 管理責任者
- 相互けん制のルール
- モニタリングのルール
- 再発防止策のルール
2.環境手配
このステップでは、書類の電子化のためのスキャナーを調達する。機能的に考慮が必要になる点を以下に示す。
- 書類の解像度については「25.4ミリメートル当たり200ドット以上」とされており、A4サイズの書類であれば約388万画素以上になる。
- タイムスタンプ機能は必須となる。
- 書類のサイズについては、適時に入力するかぎりにおいては「大きさ」の情報を保存する必要がなくなり、グレースケールでの保存もできるようになった。
機器について、規制緩和前は高額なフラットベッドスキャナーである必要があったが、規制緩和後は比較的安価なポータブルスキャナーでも対応できるようになった。価格帯も3万~5万円で必要な機能をクリアしている機種が多い。主要なメーカーが販売しているドキュメントスキャナーの一例を以下に示すので参考にされたい。
| メーカー | 主な機種 |
|---|---|
| PFU | ScanSnap iX500、ScanSnap iX100 |
| キヤノン | DR-C240、DR-M140、DR-225W |
| セイコーエプソン | DS-560、DS-510、DS-40 |
| ブラザー工業 | ADS-2500W、ADS-1500W |
スキャナーを調達したら、書類スキャン作業を常時できる環境を構築する。簡易な環境であればPC1台と、常時接続されたスキャナーが固定された場所に備置されていれば十分である。
3.スキャナー保存のルール定義
このステップでは、書類の電子化を行うために以下の基本ルールや手順を定義し、「スキャナー保存ルール」として文書化する。
- 書類をスキャンしたい時の社内申請
- 書類のスキャンとデータ保存
- スキャンされた書類に基づく承認作業
- 会計データの登録(承認された電子データに基づく「会計取引」の作成)
- 申請後の電子化書類の保管
これらのルールはあくまで「利用者(ユーザー)」の視点に基づいて作成することが肝要である。ユーザーは書類のスキャンと保存それ自体を目的に日々の仕事をしているわけではないので、あくまでも日常業務を円滑に進めることを前提に書類の電子化を合理的に組み込んでいく。そのため、ルールには「どのような書類を」「いつまでに」「誰が」運用するのかを明記する必要がある。これらのルールを文書化したものは「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」の申請に当たって必要になる審査書類でもあるので、相応の社内リソースを割いて対応したいところだ。
4.スキャナー保存業務のトライアル運用
スキャナー保存ルールの最初のバージョンが完成したら、運用開始までの2~3カ月の期間を使って「トライアル運用」を行う。会計ソフトへの連係を含めて実際にスキャン保存による業務運用をする。識別されたルールの不備や改善点を継続的に反映しつつ、運用サイクルを2~3週間程度で回してみて、スキャナー保存ルールを3~4回は更新することを想定して進めよう。
このようなトライアル運用のプロセスを経て、申請書類提出後3カ月程度で本番運用フローを回すことを目指していく。混乱を少なく導入するため、スキャナー保存の対象書類として最初は「請求書」「領収書」など最小範囲を想定して進めるのが望ましい。
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