中小企業も帳票の電子化が始めやすくなる
徹底解説: 2017年1月から領収書のスマホ撮影をスタートするために準備すること(1/2 ページ)
スキャナー保存制度の要件がさらに緩和され、2016年9月30日以降の申請分からは領収書のスマホ撮影が可能になる。この他、法律の改正点と実務運用で気を付けるべきポイントを解説する。
2016年7月6日、国税庁Webサイトに以下の2文書が公表された。
- 「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達) ※以下「取扱通達」と表記
- 「電子帳簿保存法関係申請書等の様式の制定について」の一部改正について(法令解釈通達) ※以下「申請書等の様式」と表記
これらの文書は、2016年3月31日の省令による「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」の改正(以下「2016年改正」と表記)を受けての法令解釈を示したものだ。
受領した請求書や領収書などの国税関係書類をスキャナー保存する要件に関して、2015年改正に引き続いて大きく規制緩和が行われた。これらは中堅・中小企業が今後ペーパーレス会計を実現するに当たり、無視できない動向といえる。
そこで、今回の2016年改正の概要と実務への影響について解説する。なお2015年改正の概要については、連載「今度こそ会計業務のペーパーレス化」を参照してほしい。
併せて読みたいお勧め記事
連載「今度こそ会計業務のペーパーレス化」
- 電子帳簿保存法改正、スキャナー保存できる文書とは?
- ペーパーレス経理業務フローを整備しよう――3カ月の準備期間で用意する4ステップ
- 「電子帳簿保存法Q&A」徹底解説:中小企業のペーパーレス会計、こんな時はどうする?
電子帳簿保存法改正とスキャナー保存制度
2016年改正における主な変更点
2016年改正における主要な変更点は以下の通り。なお国税庁Webサイトにも、2016年9月30日以降に申請した場合の新たな要件をまとめたリーフレットがPDFで公開されている。併せて参照してほしい。
参考
- リーフレット「電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正されました」(国税庁)
- スキャナー保存における適用要件の変更
- スキャナーの意義
- 国税関係書類の受領をする者の取り扱い
- 「特に速やかに行う」ことの意義
- 書類解像度の意義
- 定期的な検査を行う体制の意義
- スキャナー保存の承認申請書、記載要領の改定
スキャナー保存における適用要件の変更
スキャナー保存における適用要件の変更について、項目ごとに解説する。
1.スキャナーの意義
取扱通達4-19において、以下の記述が新設となった(太字は筆者による。以下同じ)。
規則第3条第4項に規定する「スキャナ」とは、書面の国税関係書類を電磁的記録に変換する入力装置をいう。したがって、例えば、スマートフォンやデジタルカメラ等も、上記の入力装置に該当すれば、同項に規定する「スキャナ」に含まれることに留意する。
この規定により、従来フラットベッドスキャナーに限定していたスキャン端末や環境の間口を、より広げたことになる。
2.国税関係書類の受領をする者の取り扱い
取扱通達4-22において、以下の記述が新設となった。
規則第3条第5項の規定の適用に当たり、郵送等により送付された国税関係書類のうち、郵便受箱等に投函されることにより受領が行われるなど、対面で授受が行われない場合における国税関係書類の取扱いについては、読み取りを行う者のいずれを問わず、当該国税関係書類の受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合に該当するものとして差し支えないものとする。
この規定により、国税関係書類を受領する者の扱いを「スキャナーで読み取りをする者」についても受け入れ、より広く解釈することになる。
3.「特に速やかに行う」ことの意義
取扱通達4-23において、以下の記述が新設となった。
「特に速やかに」の適用に当たり、国税関係書類の作成又は受領後3日以内にタイムスタンプを付している場合には、特に速やかに付しているものとして取り扱う。
従前では「速やかに」とは、おおむね取引の発生から「1週間以内」という解釈が一般的だった。そのため業務処理サイクルが「週次」であれば最長で「1週間+1週間」となり、「月次」であれば「1カ月+1週間」が入力の期限だったが、タイムスタンプ付与については、2015年改正の時点では特に期限を設定していなかった。改正後は、取引の発生から3日以内にタイムスタンプの付与を義務付けたことで、法人にとっては入力の期限と併せてタイムスタンプ付与の期限を想定した運用が必要になる。
4.書類解像度の意義
取扱通達4-28において、以下の記述が新設となった。
「当該国税関係書類の作成又は受領する者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合において、当該国税関係書類の大きさが日本工業規格A列4番以下であるとき」における、(中略)「解像度に関する情報」の保存については、当該国税関係書類の電磁的記録に係る画素数を保存すれば足りることに留意する。
2015年改正の時点では国税関係書類をスキャナーで読み取る場合に「解像度および階調に関する情報」「大きさに関する情報」の保存を求めていたが、2016年改正ではスキャン端末で想定する画素数以上の規制を加えていない。
5.定期的な検査を行う体制の意義
取扱通達4-35において、以下の記述が新設となった。
なお、スキャナ保存を行った国税関係書類の書面については、当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の確認等に際して原本確認が必要となった場合に、速やかに確認できるよう、定期的な検査が行われるまでの間、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものにおいて管理する必要があることに留意する。
本改正において小規模事業者についての役割が緩和した(「入力担当者」と「検査者」を手当てし、税務代理人が検査者となることで会社における相互けん制を不要とした)。この記述は、税務代理人による定期的な検査が実施されるまでの会社側の管理上の要請を想定したものだ。
スキャナー保存の承認申請書、記載要領の改定
申請書等の様式において、以下が改正となった。いずれも取扱通達の改正を受けての様式変更だ。
- 「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」の記載要領において、「国税関係書類を受領者等が読み取る場合の措置」として「受領等後、受領者等が署名の上、3日以内にタイムスタンプを付す」という記述が追加
- 「小規模企業者の特例の適用」において、「小規模企業者である」「定期的なチェックを税務代理人が行う」のチェック項目が追加(ここで小規模企業者とは「おおむね常時使用する従業員の数が20人<商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人>以下の事業者」のことを指す)
上記の改正点をまとめると以下(表)のようになる。
| 2015年改正前 | 2015年改正 | 2016年改正 | |
|---|---|---|---|
| 対象書類 | 3万円未満に限定 | 3万円以上の取引も対象 | 同左 |
| 電子署名 | 必要 | 不要(ただし入力者に関する情報を確認できる必要あり) | 同左 |
| 国税関係帳簿にかかる「電磁的記録等」による保存制度の承認 | 必要 | 不要 | 同左 |
| 適正事務処理要件 | なし | 新設(入力担当者、入力チェック者、検査者の3つの役割が必要) | 改正(小規模事業者の場合は入力担当者、検査者の2つの役割で足りる) |
| 適時入力方式 | 書類の大きさ情報の保存が必要。グレースケールは不可 | 書類の大きさ情報の保存は不要。グレースケールも可 | 書類の大きさ情報の保存は不要。グレースケールも可。読み取り後3日以内のタイムスタンプ付与が必要 |
| スキャナー | 原稿台と一体に限る | 原稿台と一体に限る | 原稿台と一体に限らない。スマートフォンなどのカメラにも対応 |
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