川田大輔のクラウド解体新書【第2回:サマリー版】
クラウド“ビッグ4”のデータセンターは、どのくらいビッグで複雑なのか?(3/3 ページ)
複雑さの壁をIoTとAIで乗り越えるGoogle
データセンターのファシリティ基準を定める米国の民間団体Uptime Instituteによると、2014年のデータセンターの平均自己申告PUE(データセンターの電力効率。1.0に近いほど電力効率が高い)は1.7にとどまる(それでも2011年当時の1.89からみれば改善している)。Googleのデータセンターは業界平均を大幅に下回るPUE 1.12を実現している。とはいえ、AWSやMicrosoft、Facebookなどの企業は軒並みGoogleと同等水準を実現しているので、Googleが際立ってすごいというわけではない。さしものGoogleも2012年にPUE 1.12を達成してから3年もの間、記録が伸び悩んでいた。グラフを見ると正攻法でのPUE改善は既に限界に来ているかのようだった。
ところが2016年7月20日にGoogleは囲碁プログラムAlphaGoのバックエンドとして一躍有名になったAI技術「DeepMind」を利用して、自社の持つ膨大な計算資源が消費する電力の消費量を、PUE 15%削減に相当する冷却用電力40%の削減に成功したと発表した。これは120個もの変数を持つ数千のセンサーを利用して収集した膨大なデータをDeepMindに学習させ、動的な組み合わせ、最適化を実現するシステム(フレームワーク)を育て上げることで実現したという。しかもDeepMindで育てたフレームワークは、特定のデータセンター専用モデルではなく、Googleが保有するさまざまな世代にわたる多様なデザインのデータセンターに適用可能な一般モデルとして動作する。
温度、電源、ポンプ速度から果ては窓の開閉に至る多数の要素の相互作用を「理解」して適応的に制御し、刻々と変わる天候や内部稼働率などに対応して設定を変更し続けるだけで、従来の(それも業界トップレベルの)管理手法と比べて40%もの電力消費量削減を実現して見せたのだ。複雑すぎて人力では到底不可能だとご理解いただけるだろう。
Googleのデータセンターは現時点で高度にIoT化されており、そのデータセンター内でCPSを実現しているということだ。Googleは今後、発送電や半導体製造、水使用量などの分野に向けても機械学習を利用した最適化フレームワークを構築し効率化を進めていくという。
本稿は、連載「川田大輔のクラウド解体新書」第2回のサマリーを掲載したものです。完全版は以下からダウンロードしてご覧ください(会員限定/無料)。
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成長を続けるクラウド“ビッグ4”は、それぞれが単独で2000年代初頭のインターネット全体に匹敵する規模に達している。膨れ上がる「複雑さ」をより低コストに取り扱うためには「人工知能」(AI)が欠かせない。CPS利用と組み合わせ複雑さを増すクラウドはこれからますます「賢く」なっていく。
一方、AIという言葉は勝手に独り歩きし、仕事を奪われるとおびえる極端からユートピアの到来を夢見る極端までさまざまな妄想が広まっている。規制・振興当局ですら野良ロボットが参政権を要求するかもしれないと真面目に議論しているありさまだが、もう少し落ち着いてほしい。世界はこれまでも変化し続けてきたし人々はいつの時代もなんだかんだいいながら変化する環境に適応し続けてきたのだ。何がどのように変化していくのかを落ち着いて観察していけば変化自体は恐ろしくない。むしろチャンスですらある。
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