クラウドベースのメリットとデメリットは
オフィスソフトを「Office 365」「Google Apps」へ移行、検討すべきは“失う機能”
オフィスソフトウェアをクラウドへ移行する前に、移行によって何を失い、何を得るのかを考える必要がある。
オンプレミスのオフィスソフトウェア(電子メールやワープロ、メッセージングなど)をクラウド型グループウェア(「Office 365」や「Google Apps for Work」など)へ移行しようと考えているCIO(最高情報責任者)は、2つの質問を自問するとよいだろうと調査会社Gartnerのアナリスト、ガイ・クリース氏はアドバイスする。質問の1つは、「クラウドへの移行でどのような機能を失うか」だ。
例えばMicrosoftのオンプレミスのメッセージングプラットフォーム「Exchange Server」に対しては、Office 365にバンドルされているオンライン版「Exchange Online」がある。Exchange ServerとExchange Onlineはほぼ同じだとクリース氏は語る。
「ドキュメントを細部まで読めば違いがあることは分かる。だがそれは誰も気にしないような違いだ」(クリース氏)
「Skype for Business Online」はそれとは異なり、「Skype for Business Server 2015」よりも大幅に機能を縮小している。「前もって機能を精査しておかないと、幻滅する羽目になる」とクリース氏は語る。
Google Apps for Workに移行する企業は大抵の場合、MicrosoftのOfficeスイートからの乗り換え組だ。Google Apps for Workは、「Microsoft Excel」に相当する「Googleスプレッドシート」を用意しているが、財務部門だけはOfficeスイートでないと困るかもしれない。「CFO(最高財務責任者)が15年間使ってきたExcelマクロがあっても、それらはGoogle Appsでは使えない」(クリース氏)
クラウド型オフィスソフトを評価する際に自問すべきもう1つの質問は、「クラウドでどのような機能が新たに得られるか」だ。クリース氏によると、1~2年前までは、このことはあまり考えられてこなかったという。「クラウドは、オンプレミスと比べて常に機能が劣っていたからだ。だが、もうそんなことはない」
「Office 365グループ」を例に取ろう。Office 365グループは、Exchange Serverのコラボレーションツール「配布リスト」を強化したオンライン版だ。ユーザーは配布リストを使って、電子メールや招待を多数のアドレスに一斉に送信できる。だが、配布リストはExchangeでしか使えないと、クリース氏は説明する。Office 365グループでは、ユーザーは同僚を招待し、Office 365の電子メールプログラムを使ってプロジェクトの共同作業を行ったり、カレンダーを共有してミーティングをスケジュールしたり、Skypeを使ったビデオチャットを行ったりできる。
MicrosoftはOffice 365グループを、「Delve」や「Yammer」を含むOffice 365の全製品に統合することも計画している。Delveは、Facebook風のビジネスペルソナを作成して同僚に公開し、自分に関する情報、ブログ、作業中のコンテンツを共有できるアプリケーションだ。クリース氏によると、Office 365グループに関するこの計画は1年程度で実現する見通しという。
「Microsoftから最新、最強の製品を買ってオンプレミスで運用しても、こうした機能は何も利用できない」(クリース氏)
Google Apps for Workでは、ユーザー同士がドキュメントの共同編集のような作業をしながら、コミュニケーションプラットフォームの「Googleハングアウト」ですぐにビデオ通話を始めるといったコラボレーションが可能だ。物理サーバのソフトウェアでは、こうした運用は難しい。
クラウド型オフィスソフトの評価や、以上の2つの質問に対する答えを比較検討する上で重要なのは、バランスの取れた視点だとクリース氏は語る。
「まず、妥協しすぎないようにすべきだ。その一方で、『これまでと違う新しい方法で仕事ができるわけではないものの、かなり良い環境が得られるかもしれない』という認識も必要だ。実際、クラウドに目を向ける大きな理由はそこにある」(クリース氏)
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