エンタープライズモバイルセキュリティの悩ましい問題
生体認証だけでも危険、やっぱり2要素認証を薦める理由
セキュリティには完璧ということがない。2要素認証も完璧とはいえないが、生体認証などの1要素だけに依存するより安全性は高まる。
セキュリティ戦略において、認証は物理セキュリティやインテグリティ(完全性)管理、暗号化、権限管理と並ぶ重要項目だ。
従来は単一の要素に基づく認証方式が一般的だった。もし私が「私の名前はクレイグだ」と言ったとして、それが真実かどうかどうやって確認すればよいだろうか。エンタープライズモバイルセキュリティにおいては、本人の自己申告をそのまま信頼するわけにはいかない。
現在、膨大な件数の処理がパスワードという1要素の認証に基づいている。企業が認証によって暗号キーを配布し、ユーザーが使うモバイル端末は紛失しやすいということを考えると、1要素認証だけでは安全とはいえない。モバイルセキュリティには2要素認証が不可欠だ。
指紋などの生体情報を利用する生体認証もある。指紋認証はかなり以前から利用されており、最近ではSamsung Electronicsの「Galaxy Note7」のように虹彩認証機能を搭載した新しいスマートフォンも登場した。指紋や虹彩は一人一人違うので、生体認証は完璧な方式のように思える。
ところが、実はそうでもない。指紋や虹彩は人によって異なるし、パスワードと違って複製は困難だが、それでも生体認証だけでは不十分だ。
指紋はあちこちに残っているから複製可能だ。顔認識も、ひげなどで容貌が変われば使えなくなる。DNAなら理想的な気がするが、DNA検出は複雑で費用や時間を要する。
生体認証でも不十分ならどうすればいいか
今のところ完璧なセキュリティは存在せず、今後もそれは変わらないだろう。それでも2要素認証や多要素認証を使えばセキュリティを大きく高めることができる。2要素認証や多要素認証では、本人だけが所有しているものと、本人だけが知っているものを組み合わせて身元確認を行う。例えば、物理的な端末と、人間の記憶の組み合わせだ。
本人だけが所有しているものとは、指紋や虹彩でもいいし、携帯電話などのハードウェアでもいい。携帯電話が認証手段として十分なら生体認証は必要ない。生体情報は、さらに高度なセキュリティを必要とする状況で3番目や4番目の認証要素として使うこともできるが、常に必要というわけではない。
IT管理者は、生体認証システムだけでは不十分であることに注意すべきだ。どのような方式であれ、1要素認証が脆弱であることに変わりはない。ベンダー各社も、どれほど高精度の認証方式であろうと最低限でも2要素認証が必要であることを認識するようになっていくだろう。指紋認証だけでは安全ではなく、Galaxy Note7の虹彩認証も単独では安全といえない。
さらに、2要素認証でもバグや操作エラー、新しい脅威は数多く発生する。IT管理者は、セキュリティ戦略の各認証要素の有効性と潜在的脆弱性をよく検討する必要がある。今まさに2要素認証の整備を重要課題とすべきときが来ている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
AIで人を減らした企業がもう心変わり 「AIブーメラン現象」の実態
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー