原因分析で見えてきたこと
まさかの「トランプ氏当選」で面目丸つぶれのデータサイエンティスト、米大統領選の予想はなぜ外れた?(1/2 ページ)
米大統領選挙では、ほぼ全ての予測モデリングアルゴリズムが勝者予想を外した。その原因にデータサイエンティストが注意を払わなければ、今後あらゆる予測分析プロジェクトを迷走させてしまう恐れがある。
2016年米大統領選挙の前まで、ほぼ誰もが(Webサイト「FiveThirtyEight」を運営するデータサイエンスの権威ネイト・シルバー氏から、「The New York Times」まで)、ヒラリー・クリントン氏が楽勝する可能性が極めて高いと予想していた。そして彼らのモデルは崩壊した。
こうした予想者の失敗の原因となった問題は、今回の選挙に固有のものではない。分析チームがまた同じ轍(てつ)を踏むと、あらゆる予測モデリングや予測プロジェクトが迷走する恐れがある。その問題には、過信、データの質の低さ、および統計的な可能性を揺るぎない確実性と取り違えていたことが含まれ、これらが複合的な問題となっていた。
「残念なことに、予想者はこうした予想数字を小数点第1位まで求める。すると、科学的な式に基づいているように聞こえるが、実はそうではない」。エール大学医療インフォマティクスセンターでアソシエートリサーチサイエンティストを務めるプラディープ・ムタリク氏はそう語った。同氏は「Quanta Magazine」のために選挙に関するブログを運営している。
「予想者は確実性をアピールしすぎていた。そして面目が丸つぶれになってしまった」とムタリク氏は語る。
予測できないことを予測する
大統領選の前日、「The New York Times」は選挙予想をまとめた特設コーナー「The Upshot」で、クリントン氏が当選する確率を85%と報じた。「Huffington Post」のモデルは、クリントン氏の当選確率を98%と算出した。クリントン氏の勝算を71.4%としたFiveThirtyEightの予想は最も控えめな部類に入る。
これらの予想自体が間違っていたわけではない。FiveThirtyEightのモデルが算出したこの数字でいえば、シミュレーションでは10回のうち3回の割合でドナルド・トランプ氏が勝ったということでもある。Huffington Postのモデルも、クリントン氏の方が圧倒的に勝算が高いと予想したが、トランプ氏勝利の可能性を完全に排除していたわけではない。
公正を期すためにいうと、ネイト・シルバー氏は11月8日午後6時(米国東部標準時)直後に、「1人の候補が勝つ確率が99%もある選挙ではなさそうだ」とツイートしている。また選挙前の数週間に、投票と予想の不確実性にしばしば言及していた。
だが、予想者による多くの予想の提示の仕方や、人々によるその解釈の仕方は、そうしたものではなかった。詳細な予想を提供することで、予想者は人々に、予想結果は確実だという印象を与えてしまった。
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