国内と海外の動向を整理
「小学校プログラミング教育必須化」の正体とは? 有識者会議の委員が明かす(2/3 ページ)
日本のプログラミング教育必須化、その背景と目的
前述の通り、日本は2020年度を目標に小学校においてプログラミング教育を必須化する。必須化の背景には「テクノロジーの進化による社会や産業の変化がある」と上野氏は語る。
農業や漁業、サービス業などあらゆる業種でIT化が進み、今や身のまわりの多くのものがコンピュータで制御されている。今後は人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)、自動運転、ドローンなどの新しい技術がさらに普及するだろう。国や産業が成長し続けるためにはテクノロジーの活用が必須だ。当然ながら、こうした世界で活躍する人材には、テクノロジーに関する一定の素養が求められることになる。
「将来は今の職業の約半分がなくなる」――。University of Oxford(オックスフォード大学)のマイケル・A・オズボーン准教授は、こう予測する。ロボットによって人間の仕事が自動化され、人工知能が人間の知能を超える「シンギュラリティ」(技術的特異点)が起これば、その予想は現実のものになるかもしれない。そんな時代の一歩手前に、今の子どもは置かれているのだ(図1)。
「今後はテクノロジーが代替、淘汰(とうた)できない人材の育成が重要になる」と上野氏は強調する。社会に出てから「自分のやりたかった仕事が既にロボットの仕事になっていた」というような状況に陥らないよう、コンピュータを便利に使うばかりでなく、自らコンピュータを使って新しい価値を生み出す“作り手”の側に立てるように学習者を支援していくことが、今後の教育機関に求められる。そのための具体的な手段の1つとして、プログラミング教育に白羽の矢が立ったわけだ。
「プログラミング教育=プログラマー育成」ではない
だからといって「国を挙げてプログラマーを育成しようとしているわけではない」と上野氏は念を押す。特に小学校の段階においては「プログラミング学習を通じて未来の生き方を考えたり、コンピュータの可能性に気づいたり、コンピュータが課題解決に有効だと理解したりすることを重要視すべきだ」と同氏は強調。小学校でのプログラミング教育必須化の目的もそこにあると説明する。
学習者が将来どんな仕事に就こうと、どんな生活を送ろうと、ITが深く関わることは変わらない。「誰もがプログラミングを学んでおくことが重要だ」と上野氏は強調する。
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