国内と海外の動向を整理
「小学校プログラミング教育必須化」の正体とは? 有識者会議の委員が明かす(1/3 ページ)
2020年を目標に小学校における必須化の方針が示されたプログラミング教育。今後はどのような展開をみせるのか。現状と課題について、プログラミング教育有識者会議の委員に聞く。
政府は2016年4月に開いた産業競争力会議の中で、2020年度を目標に小学校におけるプログラミング教育必須化(注)の方針を発表した。これを機に教育関係者や関連企業などを中心に、同分野への関心は高まりを見せ、さまざまなメディアでプログラミング教育の話題が登場する機会が増えた。
※注:現状ではプログラミングを学ぶ新たな必修教科を設けるわけではなく、既存教科の中にプログラミング教育を盛り込む方針なので、区別のため「必修化」ではなく「必須化」と記載。
「本当に小学生にプログラミング教育が必要なのか」「教員にプログラミングが教えられるのか」など、プログラミング教育の導入については依然として議論があり、課題も山積みだ。一方で過渡期ともいえるプログラミング教育の将来に可能性を感じ、新規参入を目指す関係者の動きも広がっている。
プログラミング教育は現在、どのような状況にあるのか。今後の課題は何か。あらためて動向を整理しておこう。
世界で広がる小学校のプログラミング教育
小学校にプログラミング教育を導入する動きは、何も日本に限った話ではない。文部科学省が2015年に公表した「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究報告書」によると、既に英国(イングランド)やロシア、ハンガリーが必修化済みだ。特にハンガリーは、10年以上前の2003年度から必修にしている。文部科学省のプログラミング教育に関する有識者会議の委員を務めるCA Tech Kids代表取締役社長の上野朝大氏は、フィンランドやエストニアをはじめとする北欧・東欧諸国においても、小学校をはじめとする初等中等教育におけるプログラミング教育への関心は高いと説明する。「人口や資源が少ない国でも、ITが国を支える新たな産業になっている」(上野氏)
プログラミング教育で注目度が高いのが、英国の取り組みだ。同国は2014年、5歳以上を対象にプログラミング教育を必修化した(英国は5歳児が小学校1年生になる)。具体的には「コンピューティング」という新しい科目をカリキュラムに導入し、高等学校2年生までにコンピュータサイエンスを体系的に学ぶ。「高校生のころには、何らかのコードが書けるようなカリキュラムを組んでいる」(上野氏)という。
オバマ大統領がプログラミング教育の旗振り役に
MicrosoftやAppleなどの巨大IT企業を生んだ「IT先進国」の米国は、民間企業がプログラミング教育をリードするとともに、バラク・オバマ大統領自身が積極的にプログラミング教育の啓発活動に参加している。米国では教育方針を決定するのは連邦政府ではなく、各州に権限が委ねられている。それでも大統領の言動は、州の方針に大きな影響を与える。
プログラミング教育に対するオバマ氏の姿勢を明確に示す動画がある。プログラミング教育の普及を訴えたその動画では、オバマ氏自らが「国の発展のため、もっとコンピュータに興味を持ってほしい」「自分でアプリを作るようになってほしい」と子どもにメッセージを投げかけている。
オバマ氏は2016年、K-12(幼稚園から高等学校までの教育期間)を対象としたコンピュータサイエンス教育の推進に40億ドル(約4000億円)を拠出すると表明した。日本でも総務省が2017年度概算要求で「若年層に対するプログラミング教育の推進」に4億円を計上するといった動きはあるものの、その規模の差は歴然としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー