仮想環境でも高品位描画が当たり前の時代に
仮想デスクトップ管理者のための「vGPUテクノロジー入門」
グラフィックス処理の負荷が高いアプリケーションを仮想デスクトップ上で動かすユーザーが増えている。IT担当者は、NVIDIAが提供している製品など、vGPUオプションについて学んでおくべきだろう。
以前に比べて高度なグラフィックス処理を必要とするアプリケーションが増えている。それは仮想環境でも同様だ。そのため、VDIの管理者は仮想GPUテクノロジーのメリットを生かす方法を理解しておかなければならない。
仮想グラフィックスプロセッシングユニット(vGPU)は新しい概念ではない。NVIDIAのvGPUは2012年に登場している。vGPUは、グラフィックス負荷の高いアプリケーションを操作する仮想デスクトップユーザーのために、複雑なグラフィックスをレンダリングするテクノロジーだ。負荷の高いアプリケーションとしては、Autodeskの「AutoCAD」やAdobe Systemsの「Photoshop」などがある。vGPUにより、全てのグラフィックス処理はユーザーのデバイスではなく、VMホストサーバ上で実行することになる。デバイスは、サーバが配信するストリームをデコードするだけだ。
NVIDIAで上級事業開発マネジャーを務めるジェフ・スポーン氏によると、NVIDIAのvGPUが誕生したきっかけはオフィスの定義が変わったことだという。ユーザーは場所を選ばずに仕事ができるようになった。そうなると、IT担当者にとっては、グラフィックス処理の負荷が高いアプリケーションであっても、ユーザーが必要とする全ての場所に配信しなければならない。2016年11月にあった「VMware User Group UserCon」のセッションで示したNVIDIAのvGPU製品に関する詳しい情報には、ハードウェアコンポーネントやソフトウェアコンポーネントも含まれていた。
併せて読みたいお薦め記事
ビジネスでも普及が進む仮想GPU環境
- 今更聞けない「GPU仮想化」の真実、なぜ価格破壊が止まらないのか?
- 「GPU仮想化」が覆す「仮想デスクトップで画像アプリは使えない」という常識
- 仮想デスクップでCAD、3Dレンダリング 「vGPU」が欠かせない理由とは
NVIDIAがなぜ仮想GPUに注力するのか
NVIDIAのハードウェアオプション
NVIDIAはグラフィックスアクセラレータのラインアップを多数用意している。これは、グラフィックスをレンダリングするために管理者がサーバに組み込む物理チップ「GPU」を実装したハードウェア拡張モジュールだ。具体的な製品には、「Tesla M10」「Tesla M6」「Tesla M60」などがある。Tesla M10は同時実行ユーザー数に重点を置き、1基の拡張モジュールで128台のデスクトップPCをサポートする。Tesla M6はブレードサーバと互換性を持つ。Tesla M60はグラフィックス処理のパフォーマンスを最大限に引き出すことを目的としている。
このようにNVIDIAは、さまざまなモデルを用意しているが、どれを選ぶかは企業ユーザーが必要とするリソースによって変わるとスポーン氏は話す。
NVIDIAのソフトウェアオプション
ソフトウェアの観点において、NVIDIA製品には3つのオプションがある。それは、「NVIDIA GRID」仮想アプリケーション、「NVIDIA GRID」仮想PC、そして、「NVIDIA GRID」仮想ワークステーションだ。
仮想アプリケーションは設計上、Citrix Systemsの「Citrix XenApp」またはリモートデスクトップセッションホストを使って本格的なMicrosoftのWindows用アプリケーションをユーザーに配信する組織を対象にしている。仮想PCは、アプリケーション、ブラウザ、ビデオを利用するユーザーの操作性に重視する。また、仮想ワークステーションは、さまざまな場所にある多様なデバイスでグラフィックス負荷の高いアプリケーションの利用を狙いとしている。
NVIDIAは2016年8月に、上記のソフトウェアオプションに新しく監視機能を追加した。この機能を使えば、VDI管理者がvGPUの詳細な測定基準にアクセスできる。このおかげでVDI管理者は、3Dやフレームバッファのリソースなど、各ユーザーがどれだけのリソースを消費しているかを調査できる。こうした情報を利用して、実行しているアプリケーションやワークロードに応じたプロファイルをユーザーに割り当てることが可能だ。
「ユーザーからパフォーマンスの不満が上がった場合、調査方法の1つは、そのユーザーのプロファイル状況を確認することだ」(スポーン氏)
Blast Extremeのサポート
「Blast Extreme」はVMware独自のリモートディスプレイプロトコルだ。VMwareは、Teradiciの「PCoIP」の代替としてBlast Extremeを開発した。PCoIPは、グラフィックスレンダリングの大半をGPUではなくCPUで処理する。それとは異なり、Blast Extremeはレンダリング作業をGPUで処理する。そのため、NVIDIAのvGPUハードウェア製品やソフトウェア製品と連係することで、ユーザーがクリックしてからグラフィックスを画面に表示するまでの時間を51ミリ秒短縮している。また、帯域幅の使用も89%削減し、同時実行ユーザー数も18%向上しているとスポーン氏は説明している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
製品資料
[株式会社ウェーブスプリッタ・ジャパン] 100Gbps対応の光トランシーバーはどう選ぶ? 10分で分かる選定のポイント -
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発の生産性と機密性を両立、自社環境で構築する「セキュアAI」活用術 -
製品レビュー
[ServiceNow Japan合同会社] 問い合わせの約9割を自動で解決、AI主導の自律型CRMがもたらす業務変革の全貌 -
市場調査・トレンド
[ServiceNow Japan合同会社] AI活用が業務自動化で止まる理由は何か? 調査で判明した課題と変革への道筋
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
4
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
5
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
6
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
7
マンガで解説:採択率は3割台? デジタル化・AI導入補助金申請の落とし穴
-
8
AWS障害でも補償ゼロの衝撃 サイバー保険で情シスが見落とす「細則の壁」
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー