NVIDIA、AMD、Intelが三つどもえの戦い
今更聞けない「GPU仮想化」の真実、なぜ価格破壊が止まらないのか?(1/2 ページ)
複雑なグラフィック処理が必要な仮想デスクトップユーザーに役立つ「GPU仮想化」。ベンダー間の競争激化を背景に、その導入のハードルが急速に下がりつつある。
仮想デスクトップを利用する企業は、複数の仮想デスクトップでGPUを共有する「GPU仮想化」の本格導入を視野に入れた方がよさそうだ。
Citrix Systemsが2016年5月開催のイベント「Citrix Synergy 2016」で発表したことの中で、あまり報道されなかったが注目すべきことがある。同社のサーバ仮想化ソフトウェア「XenServer 7」がIntelのCPU内蔵型GPU「Intel Iris Pro Graphics」を利用し、高解像度の仮想デスクトップを実現可能にしたことだ。もっともCitrixの競争優位は長続きしない。VMwareも2016年8月下旬に開催するイベント「VMworld 2016」の前後で、Intel Iris Pro Graphicsのサポートを打ち出すと予想されるからだ。
Citrixのニュースは、価格が手ごろになり広く入手できるようになったGPUの活用の進展という、大きな流れを示す最新の事例だ。IT部門はこうしたGPUを仮想GPU(vGPU)として分割し、高負荷なワークロード(アプリケーション)を実行するエンドユーザーに割り当てることができる。
2016年上半期「サーバ&ストレージ」記事ランキング(2016年1月1日~2016年6月20日)
2位 値下がり続くSSD、“ハズレ”をつかまないためのコツは?
3位 「高速HDDは消滅」 専門家が語る、SSDに注目が集まるこれだけの理由
“高根の花”だったvGPU
数年前まではNVIDIAのGPU仮想化技術「NVIDIA GRID vGPU」が、仮想デスクトップで3次元(3D)画像を扱えるようにするための唯一ともいえる技術だった。NVIDIAはこの強みを生かし、ハイエンドの仮想デスクトップインフラ(VDI)の実現に費用を惜しまない大企業顧客を引き付けた。だが1vGPU当たりの費用は比較的高く、ローエンドからミッドレンジのユーザーはGPU仮想化とは無縁だった。
やがてIT部門は、多くのアプリケーション、さらにはOSの「Windows」自体が、GPUの利用によって高速化することを理解するようになった。今ではオフィススイートの「Microsoft Office」やWebブラウザの「Internet Explorer」のようなアプリケーションであっても、仮想デスクトップで標準的なルック&フィールを提供するには、ある程度のレベルのGPUが必要だ。こうしたグラフィック機能を利用できる環境にない従業員からは、通常のクライアントPCと比べた仮想デスクトップの使用感の違いについて不満が出ている。こうした不満は仮想デスクトップについて、IT部門がずっと聞いてきたことだ。
NVIDIAはこの問題に対処するとともに、自社の売り上げを伸ばすべく、GPUボード「NVIDIA GRID」について、vGPUリソースの使用可能量の区分に応じたソフトウェアライセンス体系を導入した。ハイエンドユーザー向けのライセンスは企業にとって高くつくが、使用できるリソースが多くなる。ナレッジワーカーやタスクワーカー向けのライセンス料金は安いが、vGPUを十分に使用することで、仮想デスクトップのパフォーマンスを少しは改善できる。
問題はほとんどの企業にとって、NVIDIA GRIDを全従業員向けに使用するには高価過ぎるということだ。そのため非常に多くのエンドユーザーでGPUを共有することしかできない。ハードウェアコストが法外に高ければ、安いソフトウェアライセンス料金が用意されていても意味がない。
誤解しないでいただきたいのだが、筆者は「企業は仮想デスクトップでGPU仮想化を利用すべきではない」と考えたことは一度もない、ということだ。だがIT予算が当初見込みを上回る場合、まず何を削ればよいだろうか。ストレージではない。ネットワーキングでもシンクライアントでもない。真っ先に予算からカットすべきは「絶対に必要」ではないものだ。こうした理由から、GPU仮想化の導入に二の足を踏む企業は少なくない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
4
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
BMWも導入 78兆円市場に化ける「フィジカルAI」の衝撃
-
9
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
10
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー