恐れているだけではいけない
脆弱な「IoTデバイス」が大規模DDoS攻撃の原因に その対策とは?(2/2 ページ)
IoTセキュリティの起爆剤
答えは、IoTセキュリティを導入しやすいものにして、導入を促すことだ。
説明のために、少しばかりPCの歴史をさかのぼってみよう。かつて、アプリケーション開発者全員が独自にプリンタドライバーを記述しなければならない時代があった。つまり、全てのプリンタがサポートされているわけではなく、それぞれの実装は少しずつ異なっていた。1980年代後半に入り、周辺機器などのデバイスの操作を標準化する役割をOSが担うようになって、こうした状況は終わりを告げた。
同じようなことが組み込みシステムとIoTセキュリティにも当てはまる。
例えば暗号ハードウェアを考えてみる。シリコンベンダー各社が用意する実装は、表面的には少しずつ違いがある。市場での差別化を図るため、または消費電力やストレージの制約などのハードウェア面をサポートするためだ。その結果、デバイスメーカーとアプリケーション開発者の負担は増加することになる。1つの特定のハードウェア要素を実装するために、アプリケーション開発者は大量のデータシートと仕様書を精査しなければならない。だが、このような労力を掛けても、実装は1回限りであり、管理も更新も難しい。そう考えると、セキュリティのコスト的な意味合いが大きくなってくる。
このようなアプローチが主流になっていることは、各種デバイス間でセキュリティ対策を標準化する取り組みを妨げる一因となっている。このようなアプローチでは、セキュリティは相変わらずチェック項目の1つにすぎず、それ自体が戦略になってはいない。しかし、シリコンベンダーがハードウェア製品を差別化しつつ、こうした負担を減らせるとしたらどうだろう。
IoTセキュリティの導入をIoTデバイスメーカーに促すための答えの1つが、事実上の基盤となるセキュリティソリューションを用意することだ。つまり、仕様上セキュリティが確保されたチップとプラットフォームを用意する。IoT製品に使用されているチップの大半はARMの設計に基づいているが、そのARMが最近、新しいセキュリティ設計「TrustZone ARMv8-M」の提供を始めた。これは安全で省電力のマイクロコントローラーベースの製品を作り出すための設計だ。この新しいセキュリティ拡張機能は、新たにリリースされたARMの「Cortex-M23」および「Cortex-M33」チップアーキテクチャに組み込まれる。ただし、ARMv8-Mはソリューションの部品にすぎず、セキュリティを実装するために必要な時間や労力には対処しない。解決策は、多くの開発者の作業を簡素化する優れたツールやソリューションの開発にある。
多くのソフトウェアベンダーが、セキュリティが確保された機能を作成および利用する作業を本質的に簡素化する製品の開発に取り組んでいる。こうした取り組みでは大抵、暗号、通知、認証、キー管理などのセキュリティ機能にアクセスするための、すぐに使える高度なAPIとサービスを提供する。
チップメーカーとソフトウェアベンダーが連携した結果として、幾つかのソリューションも利用できるようになっている。具体的には、Sequitur Labsが「CoreLockr-TZ」を提供している他、NXP、ルネサスエレクトロニクス、Microchip Technology、IAR、さらにはExpress LogicなどのさまざまなRTOSベンダーも協力している。こうした共同作業が行われているのは、コンポーネント指向の販売が、ソリューション指向のアプローチに変わる大きな流れの前兆だ。それが優れたセキュリティを搭載したデバイスにつながるのだからユーザーにとってはありがたい。結局のところ、セキュリティは「部品」ではなく、それ自体が戦略だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
「Microsoft 365のセキュリティ運用」に関するアンケート
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
5
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
6
「Salesforceのテスト自動化ツール」に関するアンケート
-
7
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
8
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー