パスワード依存は時代遅れ?
「パスワードのいらない時代」が本当にくるかも、新認証技術「FIDO」が本格普及へ(1/3 ページ)
新たな認証標準「FIDO」の普及により、煩雑なパスワード管理が不要になる可能性がある。FIDOとはそもそも何か。あらためて確認しておこう。
多くのオンラインサービスは、エンドユーザーのパスワードをサイバー犯罪から保護することができていないのが実情だ。一般的な認証方法であるパスワードが内包する脆弱(ぜいじゃく)性が少なからず影響している。政府とIT業界はこの状況を受けて、長く使用できる代替の認証方法を確立しようとしている。
米国サイバーセキュリティ強化委員会(Commission on Enhancing National Cybersecurity)は、特にパスワードの使用が主な攻撃ベクトル(攻撃経路)となる大規模な侵害が2021年までになくなることを期待している。同委員会の目標は野心的だ。Verizonが公開した2016年の情報漏えいに関する調査報告書「2016 Data Breach Investigations Report」によると、情報漏えいの原因の63%はパスワード強度の不十分さにあるという。
状況を打破するには、認証技術の発展と幅広い導入が必要になるだろう。最近まで、IT業界はその実現に苦戦していた。だが「Fast IDentity Online」(FIDO)という新たな認証標準の登場により、状況は変わりつつある。
FIDOとは何か
これほどまでに長くパスワード認証が利用されてきた理由は、その使いやすさと導入のしやすさにある。しかし、これまでよりも長くて複雑なパスワードの使用をエンドユーザーに求めるのは現実的ではない。英国の与信管理ベンダーExperianによる調査では、2012年当時、平均的な英国人は25個より多くのオンラインサービスのアカウントを持ち、25~34歳の年齢層に限っては、その数が40個を超えることが明らかになった。
高性能な認証製品は以前から存在する。だがコストに関する懸念や相互運用性の欠如、ベンダーロックイン、使いづらさが普及を妨げてきた。パスワードの入力ではなく画像の識別を用いる画像認証もあるが、パスワード認証に対するセキュリティ上の優位性は微々たるものだ。一方、虹彩認証のようにセキュリティ上のメリットが非常に大きい技術は、導入コストが高額だったり、使い勝手に難があったりすることが多かった。
強力な認証技術に不足している相互運用性を確保するべく、PayPal、Lenovo、Nok Nok Labsといったベンダーが、2012年7月にFIDO Allianceを発足させた。FIDO Allianceの目的は、使いやすさ、プライバシー、相互運用性、セキュリティのバランスが取れた多要素認証の仕組みに関する、オープンな標準と仕様を定義することだ。
2013年にはGoogleやYubico、NXP Semiconductorsにより、強力な認証要素である端末に関するオープンな標準への取り組みがFIDO Allianceに取り込まれ、2014年末にはFIDOのバージョン1.0を公開した。FIDOは端末を中心とする認証標準だが、特定の種類の認証テクノロジー向けに設計されたものではない。FIDOは、認証サーバと特定の認証手段を分離する。つまりアプリケーションに影響を与えずに、認証手段を変えることが可能になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ファインディ株式会社] AI利用率だけでは説明できない成果 開発組織の競争力を生む「開発資本」とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI活用を成功へ導く、シンプルで費用対効果に優れたクラウド基盤とは? -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] マネージドKubernetesには限界も――メリットをフル活用する新たな選択肢とは? -
技術文書・技術解説
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 決断の日が迫る「vSphere 8」サポート終了問題 考慮すべきリスクと選択肢は? -
製品資料
[サイバーソリューションズ株式会社] メール誤送信対策のルールが肥大化 苦しむ情シスはどうすれば救われるのか?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
「アップグレードできないJava」をどう守る IBMとRed HatがAIで400件超修正
-
3
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
4
Copilot導入で陥る“目的化”の落とし穴 定着の鍵は「作り込まない」こと
-
5
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
6
「企業におけるAI導入検討度とIT投資優先度」に関するアンケート
-
7
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
-
8
祝10周年! 創業者も予想できなかったRaspberry Pi活用例
-
9
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
10
「IoT通信環境の構築・運用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
4
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
5
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
6
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
7
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
10
マンガで学ぶXDR/MDRのメリット、中小企業のセキュリティ強化になぜ有効か?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー