攻撃者が狙う顔認証システムの抜け穴とは
「顔認証」をユーザーの「VRモデル」でパス? なりすましをどう防ぐか
3次元の仮想現実(VR)モデルを使うことで、顔認証システムをすり抜けられることが明らかになった。どのような仕組みなのか。防ぐにはどうすべきなのか。
研究者の調査によると、ソーシャルメディアにある攻撃対象ユーザーの写真から作成した3次元(3D)モデルを使えば、顔認証システムをすり抜けることができることが分かった。顔認証システムをはじめ、各種の生体データを利用する認証システムが増えているが、企業で使うのに十分セキュアなのだろうか。前述のような、なりすまし攻撃を防ぐ方法はあるのだろうか。
一般的には、企業の認証システムといえばパスワードによる認証システムだと考えられている。だが多くの企業は、認証をパスワードだけに頼っているわけではない。顔などの生体情報は、2要素認証における2つ目の認証要素としてよく知られている。
生体認証システムは一般的にセキュリティに優れていると考えられており、主として機密性の高いプロセスで使われてきた。だが生体認証システムは、権限のないエンドユーザーがシステムにアクセスできたり、許可されたエンドユーザーがアクセスできなかったりするなどの問題が起きる可能性をはらむ。
プライバシーのリスクも伴う。エンドユーザーはパスワードを変更したり、新しい認証要素を取得したりすることはできる。だが生体情報を変更することは困難、あるいは不可能だ。生体認証システムの導入に際して、企業は生体情報センサーと認証システムを確実に接続しなければならない。
生体認証システムは確実に設計、実装すれば、パスワード認証システムよりもはるかにセキュアで便利だ。だが生体認証システムは、指や顔などの人工モデルを使った攻撃に弱い。
顔認証突破の仕組み
University of North Carolina at Chapel Hill(ノースカロライナ大学チャペルヒル校)で顔認証技術を研究する研究者らは、認証済みユーザーの顔の静止画像から合成した3Dの仮想現実(VR)モデルを使い、認証に成功した。これは人工指による指紋リーダー攻撃と同様の手法だ。その後、ベンダー各社はこうした攻撃手法がセンサーをすり抜けるのを防ぐために、読み取った生体情報が本当に生体かどうかを検知する機能を追加する必要に迫られた。
全ての顔認証システムは、ある程度の生体検知機能を備えている。そのため人工モデルを使った不正アクセスはできないと考えられていた。だが研究者らは、VRモデルを使うことでほとんどの顔認証システムをすり抜けた。
研究者らは顔認証システムのベンダーに対して、脈拍を検知したり、皮膚を透過しやすい赤外線を感知したりする機能を追加するようアドバイスする。リスクが高い環境で顔認証システムを利用している企業は、監視カメラで認証プロセスを撮影するなど、他のセキュリティ管理策を併用する必要がありそうだ。録画した映像を見れば、攻撃者が不正に認証を試行したかどうか、どんな手段を用いたのかを確認できる。
新しい認証システムを導入する企業は、一般的なセキュリティ問題が起きる可能性がないかどうかを調べるとともに、外部機関による検証や評価を利用して、その認証システムが十分にセキュアかどうかを確認する必要がある。セキュリティを維持するためにシステムのアップグレードは可能かどうか、その方法はどうなのか、といったことも検討が必要だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
「電子帳簿保存法対応」実践術:タイムスタンプ付与などの要件の手軽な実現方法 -
事例
「大企業のデジタル化」成功事例集【コクヨ、九州電力、ヨネックスなど21社】 -
製品資料
“顧客管理の課題”を簡単に解決する方法とは? -
製品資料
契約管理の“あるある課題”をノーコード開発で解決するためのポイント -
製品資料
揺らぐ境界防御 いま企業が特に警戒すべき「3つのセキュリティ課題」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「技術屋」で終わらないために 情シスが今取るべき認定資格5選
-
2
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
継続利用は4割どまり M365 Copilotが「効く業務」と期待外れの境界
-
6
「即戦力」は幻想? 中途の3割が消えるAI時代のエンジニア生存戦略
-
7
画面をティッシュで拭くのはNG Dellが推奨するPCの正しいお手入れ方法
-
8
メインフレームは死なず AI活用で20年来の高収益をたたき出す基幹システムの底力
-
9
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
10
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
4
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
「結局、一部の人しか使わない」 AI活用が業務に定着しない根本的な理由
-
8
AIエージェントで成果は出る? 調査結果に見る費用対効果の実態
-
9
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
10
ゼロトラストにおける「IDaaSの課題」と補完すべき重要機能とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー