モバイル生体認証の進歩とリスク
複製した指紋でなりすまし可能? 「生体認証は絶対安全」とは言い切れない理由(1/2 ページ)
Appleの「Touch ID」登場以降、モバイルデバイスで急速に普及が進む生体認証。その手軽さと安全性を評価する声は多いが、考慮すべき課題もある。
ジェームズ・ボンドが主人公の映画『007 スカイフォール』では、ボンドが持つピストルは、ボンドが持たない限り発砲しない。ボンドの生体情報を検知するからだ。ボンドに向けてボンドのピストルを使うことは、ボンド以外の何者にもできない。
こうした生体認証機能を備えた武器は、まだ市場には出ていない。一方でモバイルデバイスでは、Appleの指紋認証機能「Touch ID」の登場をきっかけに、生体認証はおなじみの認証手段となった。モバイル生体認証は、指紋や虹彩、顔、音声を認識するソフトウェアを使用して、モバイルデバイスユーザーを危険から保護する。
モバイル生体認証が、自社の環境に適合するかどうかを知ることは重要だ。認証の強化によってデータを適切に保護することは、個人情報漏えいの原因になり得る、より大きなセキュリティの問題の発生を防ぐことにも役立つ。本稿ではモバイル生体認証がビジネスに与える影響、生体認証の使用にまつわる論争、認証の未来について解説する。
併せて読みたいお薦め記事
“パスワードがない世界”は本当に実現できるのか
- “パスワードがない世界”が目前でも「パスワード使い回し」が大問題になる理由
- ID/パスワード認証は本当になくなる? 「パスワード限界論」の真実
- Windows 10も搭載、“パスワードのない世界”を作る「FIDO」とは?
「モバイル生体認証」についてもっと詳しく
モバイル生体認証が重要な理由
生体認証では、エンドユーザーの一意な身体的特徴を使用して、データベースに保存されている生体情報と比較することで認証する。第三者が生体情報を複製するのは困難だという特性を生かし、従来のID/パスワード認証を補う手段として活用が進む。
モバイル生体認証の手段は、指紋認証、虹彩認証、顔認証、音声認証という4つのグループに分けることができる。指紋認証では、モバイルデバイス内に保存したスキャン済みの指紋データを使用して、デバイスのロックを解除する。2015~2017年にかけて、仕組みに軽微な違いはあるものの、スマートフォンへの指紋認証の採用が進んだ。
虹彩認証機能を搭載するスマートフォンもあるが、事前の登録に時間がかかり、指紋認証ほど魅力的ではない可能性がある。Androidでは顔認証を使用する試みもあったが、顔認証は人の写真を使用して簡単にパスできてしまうケースがあった。一方で音声認証は、スマートフォンのアプリケーションレベルで使用されることが多い。
モバイル生体認証は企業のセキュリティにどのような変化をもたらしているのか
モバイル生体認証は、モバイルセキュリティの強化や効率化に役立つ。PINコード入力による認証と比べて、生体認証の方が素早い認証が可能で、従業員の貴重な時間を奪わずに済む。単純に保護の層が増えることも、セキュリティの観点では重要だ。
クラウドサービスの企業利用が広がるにつれて、企業と個人のデータを保護するために、従来のID/パスワード認証を補う認証手段の必要性が高まっている。従業員がリモートから社内リソースへアクセスする機会が増えているものの、本当に従業員がアクセスしているのかどうかを対人で確認するのは難しい。モバイルとクラウドによって従業員の自由度が高まるにつれて、企業は今までにない方法で従業員の身元を証明せざるを得なくなってきたのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー