企業の注目は「IoTがもたらすビジネス価値」
IoTブームが去り「コネクテッド」へ、CES 2017に見るトレンドの行方
1月に開催された「CES 2017」では、多くの新旧企業がIoTに関する展示をしていた。その展示から見えたトレンドを紹介する。
1月5日から8日まで開催されていたコンシューマーエレクトロニクスの展示会「CES 2017」を振り返り、展示から見えたトレンドを検証したいと思う。枠を超えてイノベーションをもたらす数々の分野の製品や技術が展示され、早足で会場を巡るだけでも多くの刺激を受けた。モノのインターネット(IoT)に関連する傾向も見えてきた。
IoTブームは終わったか
IoTブームは終わったわけではない。IoT分野はますます活発で、コネクテッド製品と関連企業は増え続けている。ただ、「IoT」という言い方は減り、代わりに「コネクテッド製品」と呼ぶことが増えてきている。実際、CES 2017ではIoTという表現をCES 2016ほど見かけなかった。IoTが成熟し、何のためにコネクテッド製品を作るかということへ意識が移ってきているようだ。企業は、「IoT企業」になることが目標ではなくなり、顧客のニーズをより満たすには、従来製品をどのようにコネクテッド製品に進化させればいいかを考えるようになってきた。これはいい傾向だ。コネクテッド製品のきらびやかさより、それがもたらすビジネス価値の方に企業の目が向き始めている表れだからだ。
ベビー用品関連企業のPhilips Aventの新製品もその一例だ。同社が発表したデジタル育児プラットフォームは、これまでのベビーモニターを飛躍的に進化させたものだ。コネクテッド製品の心拍数モニターや加湿器、デジタル体温計を備え、これまでより詳細でパーソナライズされた情報を保護者や医療従事者に提供する。Aventはテクノロジー企業Philipsの傘下にあるが、コネクテッド製品企業になろうとしているわけではない。同社の目標は、コネクテッドであろうとなかろうと、育児を少しでも楽にする製品を作ることにある。
持続可能なビジネスモデルがなければ生き残れない
2017年ともなれば、消費者も今やコネクテッド製品というだけで喜んではくれない。技術が急速に進歩し、消費者体験がますます重視される現在、単なるコネクテッドの域を越える持続可能なビジネスモデルがなければ生き残ることはできない。
持続可能なビジネスモデルの好例がHeatworksだ。同社は2014年、コネクテッドのタンクレス給湯システムを発売した。タンクレス給湯システム自体は同社が初めてではなかったが、消費者には歓迎された。その理由は、コネクティビティによって付加価値をもたらす新しいビジネスモデルを展開したからだ。同社の製品を利用すると、家庭のさまざまな設備の水温を管理できる。例えば、シンクとシャワーにはやけどしない程度の水温に設定したり、食器洗浄機にはもっと高い水温を設定したりできる。
簡単に使えること
先に述べた通り、2017年は多くのコネクテッド製品が登場しており、それはCES 2017の会場にも表れていた。多数のコネクテッド製品メーカーが出展していたが、どこが生き残り、どこが消えることになるのか。
ますます活況を呈するこの市場では、コネクティビティだけにとどまらない核心的価値を提供する製品が勝ち残ることになるだろう。機能が豊富なのはいいことだが、重要なのはそれを毎日使うかどうかだ。2017年に発売された新しいコネクテッド製品の1つ、GeniCanのスマートゴミ箱「Genican」はシンプルなところがいい。ごみ箱に取り付け、何か捨てるときに、それでバーコードをスキャンすれば、その商品が自動的に買い物リストに追加される。派手な機能も多彩な機能もないが、多くの人が喜んで使いそうだ。結局のところ、ただIoTを銘打っただけの製品より、消費者の日常生活を楽にし、簡単に使えて効果的なコネクテッド製品が成功するだろう。
CES 2017は大盛況でIoTにとって重要なイベントとなった。コネクテッド製品が増え続ける中、ますます多くの企業が他社との差別化を図り、自社製品のビジネス価値を高めようと模索しているのは喜ばしい。多くの新旧企業がIoTイノベーションを展示していたことは刺激的だった。これらの企業がどんな製品を開発し、2018年にラスベガスで発表するのか、今から待ち遠しい。
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