クラウド、IoTの他は?
乗り遅れると致命的、2017年の企業ITを左右する5つの主要技術を示す
クラウドコンピューティングはここ数年で大いに進化した。ただし先はまだ長い。今後はビッグデータやコンテナ、IoTといった技術が大きな役割を担うことになる。
2017年はどのような技術が目玉となるのだろうか。2017年のITトレンドとして私たちが注目しているのは、クラウドのハイブリッド導入、ビッグデータアプリケーション、コンテナなど、いずれも既によく知られた技術だ。その他に注目すべきは、不揮発性のストレージクラスメモリ(SCM)が普及期を迎え、これまで30年間使われてきた従来型の構造化されたデータセンターインフラに取って代わり始めるかもしれないという点だ。さらにIT担当者は皆、大注目のIoT(モノのインターネット)への対応を迫られることになるだろう。
こうした技術はそれぞれが相互に関連している。実際、IoTのデータを処理する新しいアプリケーションを管理する必要性から、今後これら5つの分野全てに一気に取り組まなければならない企業が増えたとしても少しも意外ではない。各分野の概要を確認しておこう。
注目の5分野
クラウド導入
クラウド導入が“従来”の導入モデルとみなされるようになる時期について、私のこれまでの予想は外れた。だが今回こそは本当だ。VMwareは2017年、マルチクラウド管理サービス「Cross-Cloud Services」の提供を開始する。Microsoftもこの好機を捉え、大小さまざまな規模の企業に「Office 365」などのSaaS(Software as a Service)や「Microsoft Azure」などのIaaS(Infrastructure as a Service)/PaaS(Platform as a Service)への移行を促している。なお、クラウド層を構築することでオンプレミスストレージのニーズが縮小するわけではない。データ量が増加するのに加え、クラウド処理とオンプレミス処理のバランスを取りながら双方の「いいとこどり」をするハイブリッド技術が登場しているからだ。主要なストレージベンダーは皆、この点に気付きつつある。
ビッグデータ
オープンソースの分散処理ソフトウェア「Apache Hadoop」の登場から10年。「Apache Spark」のような最新のプラットフォームのおかげで、最近はビッグデータをインタラクティブに分析し、SQLライクなビジネス分析やリアルタイムオペレーション、機械学習、さらにはグラフベースのアプリケーションなどに活用することが以前よりも容易になっている。今こそ、この流れに乗るべきだ。前にも述べたように、あらゆる種類のデータがビッグデータになり得る。実際、企業の間ではビッグデータに対する警戒感が薄れ、ビッグデータを最大限に活用しようという傾向が広がりつつある。将来的には、企業が処理するデータの多寡が新しい重要業績評価指標(KPI)となるのではないだろうか。
コンテナ
私はコンテナが2016年に急成長すると予想した。この点については少し胸を張りたいところだ。コンテナはまだどこででも稼働しているわけではないが、成長したのは本当だ。確かにDevOpsではない通常のIT部門にとっては、まだ幾つか解決すべき大きな問題が残っている。メインフレームアプリケーションや仮想マシン(VM)ベースのアプライアンスがこの先何十年もなくならないのと同様に、多くのアプリケーションは決してコンテナに移行しないだろう。だが最新のアプリケーションやアプライアンス、クラウド、SDI(Software-Defined Infrastructure)が実はコンテナを採用しているという可能性は高い。実際、本稿で取り上げた2017年注目のエンタープライズITの大半――とりわけクラウドとビッグデータ――はコンテナベースの開発と導入に支えられている。
ストレージクラスメモリ
メモリ並みの速度で手頃な価格の永続的ストレージは不可避だ。2017年はついにストレージクラスメモリの年になるのだろうか。それよりも可能性が高いのは、2017年末までにかなりの量が出回るようになることだ。少なくとも、「次のベストなインフラ設計はどのようなものか」「永続的メモリを最大限に活用するためにはアプリケーションはどう進化すべきか」といった破壊的(ディスラプティブ)な議論が始まるのは必至だ。全く新しいコンピューティングパラダイムが生まれるかどうかの議論も始まるかもしれない。
IoT
IoTは既に私の自宅に入り込んでいる。失した物を探すためのタグ「Tile」やその他のコネクテッドデバイスの形でだ。私は最近、IoTがデータセンターにもたらす影響について記事を書いた。スマートフォンをIoTガジェットと捉え、自動車をコネクテッドデバイス、電気鍋をネットワーク対応デバイスと捉えれば、2017年はIoTのさまざまな懸念に関する議論が、平均的なITデータセンターアーキテクトの時間の大半を占めるようになるであろうことは容易に想像がつく。セキュリティ、データ保護、データ入手、データ使用ルール、分散処理、スケーラブルな指揮管理、ビッグデータフローなど、IoTに関する懸念は多岐にわたる。
Hadoopの登場から10年がたった今、ビッグデータ分析を活用することで一部の難しい問題をどう解決できるか。どうすれば競争力を高めるための洞察を得ることができるか。クラウドコンピューティングの将来に新たなチャンスをどう提示できるか。こうしたことをまだじっくりと考えたことがない企業は、恐らくチャンスを逃すことになるだろう。最新技術の成熟曲線や導入曲線が緩やかであり、どこか途中で参加してもまだメリットを享受できていた時代には、「先導者に従う」のが定石だった。だが今日、その曲線はかなり短くなっている。社会から中産階級が消滅しつつあるのと同様、今後はアーリーアダプターとなってメリットを享受するか、乗り遅れて何もメリットを享受できないかのどちらかしかなくなるのでないだろうか。
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