仮想知的労働者とは何か
「ロボティックプロセスオートメーション」(RPA)についてCIOが知るべきこと(2/2 ページ)
――仮想知的労働者によって企業はどのように変わるのでしょうか。
ジョーンズ氏 実際に企業内でレベル1とレベル2の仮想知的労働者を採用した例について紹介しよう。これらのレベルの仮想知的労働者を採用したことで、既存の従業員の生産性が高まっている。従業員は以前よりも短時間でより多くの作業を完了できるようになっている。長期的に見ると、この状況はさまざまな影響を及ぼす。生産性が向上すれば、将来的には、現在ほど多くの従業員を雇う必要がなくなる。ただし、現時点では、仮想知的労働者によって仕事が奪われているとは考えていない。それどころか、複数のユースケースでは社内の士気が高まっている。その理由は、仮想知的労働者が多くの低レベルな反復作業に対応することで、従業員はもっと魅力的な業務に集中できるようになっていることにある。
機械学習システムでは多数の実験が行われている。だが、実際に実装されているものは少ない。その一因としては、機械学習テクノロジーが非常に新しく、機械学習テクノロジーを構築するためのリソースが大幅に不足していることが挙げられる。
――仮想知的労働者のメリットとリスクは何ですか。
ジョーンズ氏 作業は以前に比べてずっと短時間で終わるようになっており、作業の一貫性も向上している。また作業品質も改善されている。エキスパートシステムやRPAシステムでは、一連の規則が毎回同じ方法でワークロードに適用される上に、人間がやるようなミスが起きないためだ。最終的には、より多くの作業により少ない人数で対応できるようになるのでコスト削減につながる。仮想知的労働者を採用するメリットは、将来的なコストが回避されることである。
仮想知的労働者を作成するソフトウェアプラットフォームは新しい。また、そのほとんどは非常に規模が小さい。このテクノロジーを積極的に採用している企業の多くにとっては、これがリスクの1つになるだろう。企業は一部の労働力を実質的に仮想化することに多くの時間、労力、エネルギーをつぎ込んでいる。だが、ある時点で合併の波が押し寄せることを認識しておかなければならない。つまり、大手企業がこのような小規模なプラットフォームを買収し始めるということだ。そのため、投資する仮想知的労働者プラットフォームについて適切な判断を下すことが不可欠である。
個人的には、仮想知的労働者が多くの労働集約型プロバイダーを何らかの形で崩壊させることになると考えている。大手アウトソーシングプロバイダーは、労働力という点で大人数の人材を抱え込んでいる。仮想知的労働者は、そうした企業にとって既存の価値基準を破壊する存在であることが判明している。仮想知的労働者によって、予備労働力が仮想化される可能性がある。アウトソーシングプロバイダーがどれだけ多くの人数を顧客企業で働かせられるかに長年注目してきたのは、それがそのまま収益になるからだ。
――仮想知的労働者を企業に導入する場合、CIOはどのような役割を果たすことになりますか。
ジョーンズ氏 個人的には、CIOが陣頭指揮を取る必要があると考えている。仮想知的労働者を企業に導入する上で、CIOが企業内で最も重要な立ち位置にいるためだ。物理要素の仮想化をCIOよりも理解している者は社内にいない。CIOはサーバの仮想化でそうしたことを何年もやってきている。
また、CIOという役割の性質上、CIOは企業内で起こる全てのプロセスの中心にいる。企業内の全プロセスでテクノロジーが必要とされるからだ。そのため、物理的なものをデジタル化した場合の影響についてCIOは理解している。また、これらのプロセスがどのように相互に関連しているかを把握するのに最適な立場にもいる。
――仮想知的労働者を導入するCIOにアドバイスをお願いします。
ジョーンズ氏 1つ目のアドバイスは、CIOは自動化や仮想知的労働者の推進派を特定することだ。それはCIO自身の場合もあれば、直属の部下の場合もある。また、導入を前進させるために後押しできる組織外の人間という場合もある。この「推進派」は技術者に限られないが、仮想知的労働者の力を理解していて、組織変革を活発化させることができる者でなければならない。さらに、プロセスと運用モデルの観点から仮想知的労働者の導入を理解していることも重要だ。
2つ目のアドバイスは、仮想知的労働者のセンターオブエクセレンスの設置だ。実際にユースケースを用いて分析し、プロセスを再定義して、仮想知的労働者をプロセスに適用してその結果を追跡できる少人数の技術者、プロセスユーザー、アナリストで構成するのが良いだろう。
3つ目のアドバイスは、アジャイルアプローチの採用だ。仮想知的労働者を適用できる領域を特定し、そのプロセスを設計して、自動化の機能を構築して運用されたい。仮想知的労働者の導入では、この種のフェイルファーストな、最小要件を満たしたアプローチを取ることが欠かせない。もたもたし過ぎれば、機を逸してしまうことになるためだ。
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