「トランプ米大統領はいつツイートするのか」も予測可能
ゴールドマン・サックスが利用する市場分析サービス「Kensho」の“すごい答え”
ゴールドマン・サックスは、顧客に高度なサービスを提供するため多くのIT企業と連携をしている。その1社であるKensho Technologiesと連携することでどのようなサービスを提供しているのだろうか。
世界屈指の投資銀行であるGoldman Sachs Groupは、どのようにして自信を持ってデジタル市場に参入しているのだろうか。ニューヨークに拠点を置くGoldman Sachs Groupの最高情報責任者(CIO)と副最高財務責任者を兼務するマーティン・チャベス氏によると、同行は同行の中でデジタル帝国を構築するのではなく、「デジタルエコシステム」を育むことでデジタル化を進めている。同行は負担を要するデジタル化を自力で進めるのではなく、スタートアップ企業と連携し、時にはそうした企業に投資をすることで、自行のデジタルプラットフォームになかった新機能を追加しているという。
「当行は、エコシステム構築に素早く移行している。全てを自分たちでする必要はない」とハーバード大学で2017年1月に開催されたイベント「Data, Dollars and Algorithms(データとお金とアルゴリズム)」でチャベス氏は語っている。
Goldman Sachs Groupが連携して投資しているうちの1社が、マサチューセッツ州ケンブリッジに拠点を置くKensho Technologiesだ。同社は、ビッグデータ分析と機械学習を駆使して市場予測をしている。Kensho Technologiesは、気象データ、政治ニュース、収益報告書など、市場を変動させる可能性がある要因をWebで検索する。
「顧客はシステムのテキストボックスに『OPEC(石油輸出国機構)はいつ減産を公表するのか』や『トランプ米大統領はいつツイートするのか』『どの株価が上昇して、どの株価が下落するのか』などの質問を入力できる」とチャベス氏は語る。すると、Kensho Technologiesの市場分析サービス「Kensho」から数分で分析結果が提供される。2015年、KenshoはForbes.comで“The financial answer machine”(金融について何でも答えてくれるサービス)と称された。
Kensho Technologiesと連携することで、Goldman Sachs Groupは同行のデジタルプラットフォームで顧客に高度なサービスを提供することが可能になった。「当行が非常に得意としている業務は幾つかある。だがその他の多くのことについては他の企業と連携する方が良いと考えている」とチャベス氏は語る。
デジタルエコシステムを理解する
Goldman Sachs Groupの戦略は、GartnerがCIO向けに発信した忠告と合致している。Gartnerの年次報告書「The 2017 CIO Agenda: Seize the Digital Ecosystem」(2017年のCIOアジェンダ:デジタルエコシステムを理解する)で、Gartnerのコンサルタントは、デジタルエコシステムがデジタル化への次のステップだと論じている。Gartnerは、デジタルエコシステムを「相互にとって有益な目的を達成するために標準化されたデジタルプラットフォームを共有する関係者(企業、人、もの)による相互依存のグループ」と定義している。
CIOを対象とした年次調査のデータと導入事例の調査で集めた情報から、同社の年次報告書には「デジタルエコシステムのメンバーは、デジタルの成熟に伴って増加する」と明記されている。Gartnerは、デジタルエコシステムに参加している可能性の高い一流企業が、平均的な企業や劣勢企業に勝っている3つの領域を特定している。その3つの領域を以下に解説する。
相互運用性
一流企業は、クラウドサービスやセキュリティなど、エコシステムをつなぎあわせるのに最適なテクノロジーを優先している。驚くべきことではないが、一流企業は、平均的な企業や劣勢企業と比較して、多くの“つなぎあわせる”テクノロジーを自社で構築していることが判明している。
スキルとビジネス価値
この報告書では、一流企業や平均的な企業、劣勢企業の全てが、特に分析とデータサイエンス、BI(ビジネスインテリジェンス)において、スキル不足に悩んでいることが示されている。Gartnerは、新しい職員の雇用と既存社員のトレーニングの両方をすることによって、スキル不足を軽減することをCIOに推奨している。また一流企業は、バイモダールの(2つの流儀を持つ)戦略を採用する傾向が強いことが明らかになっている。この戦略により、高い業務水準を維持しながら、IT部門がビジネス部門の要求により素早く繰り返し対応することが可能になる。
相互依存性の習得
平均的な企業や劣勢企業と比較して、一流企業は、優先事項についてIT部門とビジネス部門の足並みがそろっていることが多い。Gartnerによると、IT部門とビジネス部門の密接な協力関係は、CIOが経営幹部(特にCEO)と連携できていることの表れだという。ほとんどのデジタル戦略、デジタルエコシステムにおいては、同僚との関わりが成功する上で重要な要素となる。最高財務責任者(CFO)はデジタル戦略への関わりが少なく、デジタル戦略も支持していないため、CIOが注意しなければならない可能性の高い関係者だとGartnerは強調している。
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