契約条項の大幅な見直しが必要か
世界で激変する個人情報保護ルール、2017年の法規制で影響を受けるのは?(2/2 ページ)
データアナリティクス
2017年のIT業界のトレンドとして、個人情報とは少し違った方向で話題を集めているのがデータアナリティクスだ。データアナリティクスに関する契約の締結は、2017年に急増するだろうとMayer Brownのパートナーであるブラッド・ピーターソン氏は語る。企業が扱うデータの量は飛躍的に増大しているおり、「今日の最大のチャンスはデータアナリティクスにある」と信じている企業は多いと、同氏は明かす。
企業は、アナリティクスに特化したテクノロジープロバイダーだけでなく、「Microsoft Azure」や「IBM Watson」のような「統合テクノロジースタック」を重視するようになると、ピーターソン氏は予測する。そうしたプロバイダーが一定種類のデータにアクセスすると想定して、「データアナリティクス関連の条項が、さまざまな契約の基本的な条文の中に組み込まれるようになると、われわれは予想している」と同氏は付け加える。「データアナリティクス関連の条項を、今後企業が締結する契約の条文に盛り込む準備を始めた方がいい」(ピーターソン氏)
ブロックチェーン
規制当局は現在、ブロックチェーンをベースとするテクノロジーを監督下に置く方法を策定する試みを重ねている。ブロックチェーンは、一般の人々の取引の記録を維持していくデジタル台帳であると、Mayer Brownのパートナーであるポール・ロイ氏は説明する。規制当局は、この最先端テクノロジーの進化を抑制したり妨げたりすることを望んでいるわけではない。ただし同時に「規制当局がテクノロジーに対する明確な態度を示さないこと自体が、このテクノロジーを利用したアプリケーションの開発を計画している企業に対して課題を突き付けていることになっているとも認識している」のだという。
国際機関および米国の規制当局は、ブロックチェーンに対する規制の枠組みを策定すると、ロイ氏は予測する。英国のFCA(金融行為規制機構)が取り組むイノベーションを促進する取り組みである「Regulatory sandbox」の環境で規則を試行する企業も現れるだろうが、米国の規制当局は恐らくその方策は選択しない。
「いずれにせよ、2017年中に安全保障や財務の行政機関から大きな発表があると思っていい」とロイ氏は話す。
アジャイルによるソフトウェア開発
アジャイルは目新しいものではないと、Mayer Brownの弁護士、ダン・マスール氏は指摘する。確かにコラボレーションを重視する、このソフトウェア開発手法が「アジャイルソフトウェア開発宣言」にまとめられ、制定されたのは2001年のことだった。しかしここへ来て、アジャイルを支持する人々が急増している。これは、ソフトウェア開発者がアジャイルの手法に関して、「コーディングが効率よく効果的に進められ、ビジネスの高速化に対応できることが肝心だ」と考えるようになったからだ。
契約の草案を作成する法務部門の担当者は、アジャイルの導入を好まない場合が多い。「事前に仕様を決定する手順を省き、もっぱら開発者とクライアントとのコラボレーションに重きを置く手法だからだ」とマスール氏は説明する。法務部門の担当者は、従来のウオーターフォール型アプローチに基づく方式なら、契約の条文がまとめやすいと感じている。しかし開発者の多くは、ウオーターフォール型を「非常に直線的」なために遅くて非効率的な手法だと感じるようになった。一方直線的だからこそ、その内容を契約条項にまとめるのは容易だった。
「契約作成の面で課題が多いとはいえ、アジャイルへの移行は加速するだろう」とマスール氏は語る。「クライアント側に不確実性を低減してもらいながら、コラボレーションの割合が高いこの手法の効果をさらに拡大できるように、契約条文に工夫する手法が幾つかある」(マスール氏)
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