複雑化する市場で価値を確立するために
2017年にはこのビジネスが来る? ディストリビューターが注目する3つの動向
2017年のIT市場でディストリビューターが注目しているトレンドは、トレーニングサービス、プラットフォームの統合、そしてモバイルデバイス管理だ。米国の動向を詳しく解説する。
2017年のチャネルトレンドについての発想を得るため、ディストリビューターが現在投資や雇用を進めている分野を見てみよう。例えば、ディストリビューターのIngram Microはトレーニングプログラムに時間と資金を投じている。同社は、2016年11月にCisco Systems(以下、Cisco)の認定ラーニングパートナーになった。この認定により同社は、ネットワークベンダーであるCiscoの「グローバルラーニングパートナーオーガニゼーション」の一環として「シスコ認定トレーニング」を提供できるようになる。
Ciscoによれば、「Ciscoの製品、テクノロジー、アーキテクチャおよびソリューション」に力を注ぎ、同社のパートナーエコシステム内で他のパートナーへの教育やトレーニングの実施が認められているのがラーニングパートナーだという。
Ingram Microのトレーニングへの投資は、幅広いトレンドの一部にすぎない。ディストリビューターは多様化し、製品フルフィルメントというこれまでの役割に加えて、幅広いサービスに取り組んでいる。Global Technology Distribution Council(GTDC)によれば、ディストリビューターを全体として見ると、教育やトレーニングを含め、40種類以上のサービスを提供しているという。
ディストリビューターがサービスを拡大しているのは、クラウドコンピューティングなどのトレンドを背景として、チャネルの関係が複雑さを増していることを反映している。端的に言えば、チャネルパートナーには、実際の製品を発注してクライアントの手元に直接届ける以上のことが求められている。そのため、多くのディストリビューターは、パートナーがクラウドビジネスに移行するための手助けを目指すようになっている。
プラットフォーム統合
プラットフォーム統合の目標にはプラットフォームの構築も含まれる。それは、パートナーが自社の顧客向けにクラウドサービスのプロビジョニングを容易にするためだ。最近では、Pax8の事例が代表的だ。同社は付加価値のあるクラウドを提供するディストリビューターで、同社のクラウドマーケットプレース「Command Console」をConnectWise製のサービスプロバイダー向けビジネス管理製品と統合した。
Pax8のパートナーソリューション担当シニアバイスプレジデントを務めるライアン・ウォルシュ氏はこの統合について、「2つのプラットフォーム間にリンクを作成できるようになった」と話す。これにより、サービスプロバイダーは、アカウント、クラウドサブスクリプションの詳細、支払い情報を同期できるようになる。
この統合がなければ、ConnectWiseとPax8との間でクラウドサブスクリプション情報を調整するため、一方のシステムに入力したデータを他方のシステムにも再入力するといった面倒くさい手続きが必要になるだろう。
「統合によって手間がかからなくなった」(ウォルシュ氏)
このプラットフォーム統合は、2016年11月に米国フロリダ州オーランドで開催された「IT Nation conference」で発表された。
2017年は、ディストリビューターのマーケットプレースとソリューションプロバイダーのビジネス管理プラットフォームの統合がますます求められるだろう。APIを介してリンクしていたプラットフォームは、徐々に、サプライチェーン全体での製品の物理的な動きを補完するようになり、場合によって置き換えることになるだろう。
ITチャネル:モビリティなどのトレンド
2016年11月、ディストリビューターのTech Dataが、これから市場が向かう先を示す新たな動きを見せ、モビリティマーケティングの戦略立案と実施を主導する役員を指名した。同社が製品マーケティング、クライアントおよびモバイルソリューション部門のバイスプレジデントに指名したのはリンダ・レンドルマン氏だ。レンドルマン氏は、クライアントとモバイル分野での同社の成長戦略の責任を担う。
モビリティ分野でTech Dataが提供するのは、広範なデバイスや、Microsoftの「Enterprise Mobility + Security」製品スイートといった管理ツールなどだ。このスイートには、モバイルデバイスとアプリの管理、IDとアクセスの管理、脅威分析などの機能が備わっている。
米国TechTargetが実施したチャネルの方向性に関する調査によれば、今後12カ月間でチャネルパートナーが追加を計画している取り扱い分野の中で最も高い位置を占めるのがマネージドモビリティだという。ある市場調査会社の予測では、今後5年間でこの市場は4倍になり、200億ドル近くに達するという。
2017年に向けて何が起こるだろうか。本稿では、可能性のあるトレンドを3つ挙げた。トレーニングなどのサービスへの継続的な多様化、クラウドのプロビジョニングを容易にするプラットフォーム統合、そしてモバイルデバイス管理というビジネスチャンスの拡大の3つだ。
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