実は米国人の雇用保護には効果なし?
トランプ政権が意気込むH-1Bビザ審査見直し、IT企業の外国人採用はどうなる?(2/2 ページ)
自動化とH-1B
Forrester Researchの主席アナリストでアナログ手動工程のデジタル化が専門のクレイグ・ルクレア氏によると、顧客企業のコスト削減のために外国人労働者を雇用してきたインド系ITサービスプロバイダー大手の間では、自動化への動きが既に始まっているという。アウトソーシングプロバイダー各社はこれまで安価な国外労働力に頼ってきた低レベル作業をロボット化することで国内回帰し始めており、ビジネスモデルの変更に拍車をかけている。
ルクレア氏は「そうした企業はこれまでアップスケールを続けてきた」という。大手アウトソーシング会社は、AIやロボット化、ロボティックプロセスオートメーションといった次世代技術を得意とする人材を集めて自動化プロセスの構築を進めている。それはある意味「従来の自社サービスとの競合」にもなるのだが、「それが彼らの未来図だ」と同氏は話す。
こうした動きは今回の大統領令で影響を受けるのだろうか。米国内では自動化やAIの高度なスキルを持つ人材が圧倒的に不足している。もしも制度改革の目的が米国民から職を奪うような低賃金外国人にビザを発給しないことだとしたら、高度な専門技能を持つ外国人を雇用するアウトソーシング会社は、今後もH-1Bビザを利用できるだろうとルクレア氏はいう。
「『コールセンターで働く米国民から仕事を奪う人材を輸入するアウトソーシング企業はビザを取得できなくなる』というなら、それも悪くはないだろう。とはいえ、短期的な影響は極めて限定的なのではないか」(ルクレア氏)
ソーシングコンサルティング会社Pace Harmonのエグゼクティブマネージングディレクターを務めるデービッド・ラチック氏は、インド系プロバイダーは米国における人材育成にも投資していると指摘する。例えば、TCSは最近、全米10都市の学区でコンピューターサイエンスをカリキュラムに導入する「Ignite My Future in School」というプログラムを立ち上げた。
「このような投資を進めても、H-1Bビザ制度が変わればインド系プロバイダーは必要な人材を十分に確保できなくなり、新たな対策が必要になる」とラチック氏は電子メールで述べた。「顧客へのサービスを維持するためには、IT自動化の拡大や海外拠点への依存度増加などの対策がなされるだろう」
前出のNemertesのジョンソン氏は、政府はなぜH-1Bを市民権取得の出発点にしないのかと疑問を呈した。「結局は『H-1B制度は何を解決するためのものなのか、そしてそれを適切に解決しているか』という問題に戻ってくる。十分な専門技能を持つ米国民が足りないということを解決したいのであれば、H-1B制度を使ってそのような米国民を増やせばいいのではないか」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
5
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
8
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
-
9
AI完全自律化はわずか9% 日本は「進化に追い付けない経営陣」が足かせに
-
10
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー