「旧OSからの移行に影響」との意見も
Windows XPにも「WannaCry」対策パッチ提供、Microsoftの英断は吉か凶か(2/2 ページ)
その他のWannaCry対策
WannaCryの脅威を軽減する対策は、SMB 1.0の脆弱性に対する修正プログラムだけではない。感染を食い止めるためにセキュリティ研究者が調査を進めている。MalwareTechというハンドル名の英研究者は、WannaCryを分析してコマンド&コントロール(C&C)サーバのドメインがハードコーディング(ソースコードの中に記述)されていることを発見し、標準的手順に従ってそのドメインを登録した。これがWannaCryを停止する“キルスイッチ”の役割を果たし、C&Cサーバへの接続を遮断できたという。
Microsoftの表彰制度「Microsoft Most Valuable Professional」(Microsoft MVP)を受賞し、セキュリティベンダーComae Technologiesの創業者であるマット・スイーシュ氏は、別のドメインを使っているWannaCryの亜種を見つけ、このドメインを登録して感染を遅らせることに成功した。
ただしキルスイッチとなるドメインを登録する方法は、一時的な措置にしかならないとスイーシュ氏は指摘する。攻撃者がドメインを変更する可能性があり、またC&CサーバのドメインをハードコーディングしていないWannaCryの亜種も登場しているという。
専門家はWannaCryの感染拡大を防ぐため、SMBに関するセキュリティのベストプラクティスを示した2017年1月のUS-CERT(米国土安全保障省のセキュリティ組織)勧告に従って、可能なかぎりSMB 1.0を無効化することや、SMB 1.0が利用する445番ポートを遮断することを推奨する。
データセキュリティベンダーVaronis Systemsのテクニカルエバンジェリスト、ブライアン・ベッチ氏は「入手可能な修正プログラムがあるなら適用すべきだ」と語る。システムの脆弱性を悪用する攻撃はこれからも続く問題であり、管理者は多重に防御する必要がある。修正プログラムの適用は対策の1つだが、対策はそれだけではない。SMB 1.0の無効化や関連ポートの遮断も、この攻撃に対する戦術的防御になる。「修正プログラムを適用したり、古いプロトコルの使用をやめたりする基本的なセキュリティ対策を実施していれば、今回の攻撃による被害をかなり防げたはずだ」(ベッチ氏)
ITオートメーション/インテグレーションベンダーIvantiの主席エンジニア兼セキュリティエバンジェリスト、ダンカン・マッカレン氏は「最も明快な手段はSMB 1.0の無効化だ」と言う。ただしレジストリを変更するだけでは十分でない。情報セキュリティを重視する組織なら、このような攻撃を回避するために別の対策も講じるだろう。そうした多層防御に加える対策としてマッカレン氏は、アプリケーションのホワイトリスト化、デバイス制御、次世代ファイアウォール、侵害発生後の脅威検出などを挙げる。
クラウドセキュリティベンダーAvePointの最高コンプライアンス/リスク責任者、デーナ・シンバーコフ氏は、WannaCryのような攻撃を防ぐ最善のセキュリティ対策は「従業員の継続的な教育」だと話す。シンバーコフ氏は「そうした教育は、年に1度のトレーニングコースなどではなく企業文化に広く浸透させるものでなければならない」と協調する。
「セキュリティ教育をしなければ、セキュリティについて誤った判断に陥りやすくなる。だからこそシステムは安全な使い方の方が簡単で、危険な使い方の方が難しくあるべきだろう」とシンバーコフ氏は語る。セキュリティとデータ保護の教育プログラムでは、OSに修正プログラムを適用することの重要性と、未適用システムが脆弱性に直結することを教える必要があると訴える。
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