買収で市場縮小の可能性
機能てんこ盛りの「EMM製品」は便利? それとも不要?(2/2 ページ)
クラウドへの移行: EMMのサービス化
主な傾向の1つとして、オンプレミスのEMM製品からクラウドベースの「EMM as a Service」、つまりEMMサービスへの移行が挙げられる。EMM市場の主要なプレイヤーはサービス化を進めており、今後は新規導入の8~9割がEMMサービスになるという見方もある。既存のオンプレミスのEMM製品を所有する企業が、一気にEMMサービスへリプレースするとは考えにくいものの、今後数年のうちに徐々に移行する可能性が高い。
基本的なEMMサービスならば、エンドユーザー1人当たり月額5ドル以下と、非常に安価で利用できる。ただしワークスペース機能といった周辺機能をフルに使えるプレミアサービスに加入すると、エンドユーザー1人当たりの月額料金は50ドル以上になる。
ワークスペース
EMMツールのほとんどに、かつてはEMMとは無関係だった機能が追加されるようになった。顧客に提供する価値を高めるために、大手ベンダーがEMMベンダーを吸収した結果だ。例えばBlackBerryの「BlackBerry Workspaces」(旧「WatchDox」)やCitrixの「ShareFile」といった企業向けのファイル同期/共有サービス機能は、その代表例として挙げられる。
「デジタルワークスペース」という製品は、EMMツールに仮想デスクトップインフラ(VDI)の機能を組み合わせていることが一般的である。デスクトップPCの使用を前提に作成された情報にも、モバイルデバイスからアクセスできるようにするためだ。例えばVMwareのデジタルワークスペースツール群「VMware Workspace ONE」は、EMMツールのAirWatchと、VDI製品の「VMware Horizon」を組み合わせている。
Webブラウザやメール、ドキュメント編集などのデスクトップアプリケーションについて、EMMツールはコンテナ化と保護が施されたセキュア版を用意している。いずれも今日の企業に必須の生産性向上ツールだ。
EMMツール多機能化の傾向は、しばらく続くと予想される。ただし企業がこうしたフル機能のEMMツールを採用する動きは鈍いだろう。むしろ、より自由度の高い形で、必要に応じたアプローチで必要な機能を実装することを選択する可能性が高い。
段階的な変化
EMMツールの複雑化の傾向が、企業の多くにとって望ましいものかどうかは不明だ。今なおEMMツールに対して、統合的なデジタルワークスペースの提供やセキュリティ機能の実装を望むよりも、単純にモバイルワーカーやデバイスを管理するためのものだと考える企業が少なくない。
新世代のEMMツールには、モバイルデバイスだけで業務をこなす従業員向けの機能が含まれている。働き方改革のニーズの高まりを反映した動きだ。ただし企業が、こうした機能を存分に活用するには、まず社内の価値観を転換させなければならないだろう。新世代のEMMツールへの移行は、今後2~3年で徐々に進むと予測する。その結果、従業員は各自の裁量で、より適切な機能を持つツールを使えるようになる。企業は現状よりも、はるかに安全なマネージドワークスペースを構築し、従業員に提供できる。これならWin-Winの状況となる。
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