運用システムの開発は必須
「ドローン宅配便」が普及する2025年までに起きる“常識外の出来事”とは
ドローン市場規模は、2016年に80億ドルに達した。オンデマンドサービス市場が拡大する今日、配送用ドローンの導入と実用化は、いよいよ現実的になってきている。
Amazonによるドローン配送タワー計画から、パラシュートによる商品配送まで、近い将来に物流は全面的な変革期を迎える。商業用ドローン業界の成長に合わせて、こうした未来像も少しずつ変わっていくだろう。一方で、運用上の効率性など、AmazonやUberを悩ませる複数の課題がある。サプライチェーン変革の壁ともいえる、その課題とは何か。
ドローン配送実用化までの主なスケジュール
ご存じの読者も多いと思うが、ドローンによる物品の配送は、既に始まっている。ただし、市民の間に広く普及した姿を見るには、2025年まで待たなければならないだろう。今後7年間で、配送用ドローンの利用は全般的に増えていくと予想される。主な試験運用や実用化は、安全性に関するリスクが低く、物流の管理も容易な地方を舞台に進むだろう。都市を飛び回るドローンを想像する人も多いようだが、人や建物の密集した大都市圏での運用には、交通車両との折り合いやプライバシーの保護、電線や高層ビルへの衝突回避、突風対策や人混みでの安全策など、多くの課題やリスクがつきものだ。
少なくとも、配送用ドローンの初期運用は、都市部のスマートシティー(環境配慮型都市)よりも、地方のスマートエリア(スマートシティーの地方版)に重点を置いて実行すべきだろう。実際、忙しい市街地よりも、遠隔地の住宅やオフィスへ向けた食料品や医薬品などの商品配送にドローン利用が進む可能性の方が高い。地方に住む患者が、街の薬局まで片道1時間以上車を運転する代わりに、ドローン配送で処方薬を受け取ることができるのだ。自動運転車とドローンを組み合わせて商品配送を効率化することは可能で、むしろそうすべきだといえる。UPSやMercedes-Benzといった企業は、既に自動運転型バンとドローンを組み合わせ、地方向け配送に最適化した試験運用を実施している。都市部では、「欲しいものを、好きな時に」受け取れる物流に向けて、歩道などを走り、事故のリスクも少ない「小型宅配ロボ」導入が重要になっていくだろう。
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ドローン導入上の課題
こうしたサービスを実用化するには、導入に伴う課題にも取り組む必要がある。中でも、早急に解決すべき課題は、ドローン配備に向けた安全性の確保だ。例えば、「ドローン1機を安全に飛行させ、あらゆる障害物を避け、無事に商品を届ける」ことは、確実に超えるべき課題だろう。筆者がさらに深い懸念を抱くのは、複数のドローンによる“ドローン隊”の運用だ。その実用化には、飛行区域を混雑させずに複数のドローンを運用することが可能か見極めるための運用試験が不可欠だ。ドローン技術が社会に提供し得る利点を打ち消しかねないような、潜在的なリスクを引き出す環境で、安全に飛行できるか確認するのだ。
ドローン配送の実用化を正しく進めるには、企業同士の垣根を越えて、ドローン同士の接続が可能なネットワークの構想を検討すべきだろう。どのように個々のドローンが配備、管理され、人々に役立つべきかについて、注意深く話し合えばこそ、個々の消費者だけでなく社会全体がドローン導入の恩恵を受けられる。新たな技術を日常生活に取り入れられるたび、人々は、それを実用化したサービスを社会のどの部分に導入するのが最善かについて、膨大な戦略や思考を必要とするものだ。
ドローン導入のメリットとは
ドローン配送のメリットの1つは、トラックや飛行機など従来の輸送手段とは対照的に、配送体制を整えるための細かい費用が掛からないことだ。大規模な配送モデルを例に取ると、首尾よく配送するためには、運転手やトラック、各種設備を収納するためのスペースに加え、各地域の倉庫など、大規模な資本投資が必要だ。この事実は、小規模企業の物流市場参入を阻む障壁になっている。たとえ大手配送業者に比べて効率的なビジネスモデルを実現しても、同様の資本投資が必要だからだ。一方、ドローンは、大型車両よりも低価格で購入や保管、維持運用が可能だ。ドローン配送市場が出現すれば、多くの小規模企業が参入するだろう。ドローン技術の高い適応性は、大規模企業と小規模企業の両者に、市場で成功するチャンスを与えるだろう。ただし、その結果として、無数のドローンが同じ飛行区域を無秩序に飛行するという、二次的なリスクを生むだろう。非効率性とリスクが増大しかねないということだ。
FedExやUPSのような配送企業も、競争力を保つためにドローン配送に参入しようとしている。進化したドローン技術がさまざまな形で実用化されれば、従来、トラックやバンが活躍してきた「ラストワンマイル」と呼ばれる配送終端部分の一部は、ドローンへ徐々に移行することになりそうだ。物流全般の効率化も進むだろう。例を挙げて考えてみたい。ある運転手の配送ルート上で、ある配送先と次の配送先が3マイル(約4.8キロ)離れているとする。ドローンでも輸送可能な商品をトラックで配送して戻ってくる場合、往復6マイル(9.6キロ)を走ることになる。この時間は、運転手の労働時間のロスであり、企業リソースの無駄遣いだ。将来的には、配送用バンは、一度限りの商品配送をドローンに任せ、物流業界は配送ルートの最適化や運用コストの削減を進めるだろう。大規模な配送ネットワークとインフラが既に整っているFedExやUPSは、これからドローン市場に参入しようとしている潜在的な競合企業に対して非常に大きな優位性を持つ。
幅広い将来を見据えて
Amazonが常識を打ち破るサービスを発表し続ける未来は、多くの人に予想できるだろう。ただし、Walmartのような企業が突然驚くべきサービスを発表しても、ショックを受けないでもらいたい。同社の資金力は豊富だ。適切な目標とパートナーを見つければ、今挙げたような未来は、同社にとって十分実現可能だろう。全く新しい配送会社が台頭し、市場を支配しようとするが、最終的にはAmazonとの競争力を維持するために、大手輸送会社のFedExやUPSなどに買収されるといった未来も、筆者は予想している。
こうした未来を実現し、消費者とサービスプロバイダーの両者へ利益をもたらすために必要な技術は2つある。1つ目は、安全で効率的、かつ手頃な価格でサービス化可能なドローン配送技術。2つ目は、効率的なドローン隊の配備を可能にし、他のリソースと統合して、ネットワークレベルで多様な配送スケジュールを組めるソフトウェアである。
ドローン配送の対象は、物理的な商品に限らない。ドローンは、データ送信にも利用可能だからだ。例えば、自動車事故や住宅火災が発生した場合、保険会社は現場へドローンを飛ばして複数方向から写真を撮影し、ほぼリアルタイムで精度の高いデータ収集を実現できる。同様に、警察や消防などとドローンが連携して、現場から迅速に情報を発信し、救急処置の質や被害者の生存率を上げることも可能だろう。
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