事例や課題を整理
コマツやAmazon、Googleも注目 「ドローン」はビジネスにどう生きるのか?
コンシューマーの間で利用が広がりつつある小型無人飛行機「ドローン」。そのビジネス活用を模索する動きが現れつつある。ドローン活用の現状と、その課題を整理する。
小型無人飛行機「ドローン」をビジネスに利用する機運が高まっている。備え付けの小型カメラを使い、上空からの映像を手軽に撮影できることから、コンシューマーの利用が広がりつつあるドローン。その可能性に注目し、米Amazon.comや米Googleといった海外企業だけでなく、コマツをはじめとする国内企業がドローンの活用を相次ぎ表明している。
ドローンへの注目が集まっている理由とは何か。ビジネス活用を進める上での課題とは。2015年3月開催のセミナー「ドローンの可能性を探訪しよう」で講演した、ドローンのビジネス活用に詳しい玉川大学 小酒井 正和准教授の講演内容を基に解説する。
国内外でビジネス利用広がるドローン
ドローンの業務利用は既に始まっている。コマツは、建設現場の現状把握にドローンを活用する。3Dレーザースキャナや建設機械の運転席に搭載したステレオカメラも組み合わせて、現場の3次元データを作成。短時間で現況を正確に把握できるようにする。同社が2015年2月1日に開始した、ITの活用で建設現場の課題を解消する「スマートコンストラクション」の一環だ。
2014年10月には綜合警備保障が、最大出力1Mワットの大規模太陽光発電(メガソーラー)施設を対象とした施設空撮/パネル点検サービスのプレサービスを開始した。ドローンが撮影した画像を基に3次元地形データを生成して建設用地の評価に生かす他、パネルの劣化症状の一種である「ホットスポット」が発生している可能性がある箇所を報告する。2015年4月にも本格的にサービスを開始する。
この他、セコムが2012年12月に不審者を追跡して監視するドローンの開発を表明するなど、ドローンの活用に向けた研究開発を進める国内企業は少なくない。海外でも、Amazon.comがドローンを使った商品の自動配達サービス「Amazon Prime Air」の実験を進めていたり、Googleが同様の取り組みである「Project Wing」を推進すべく、太陽光で長時間稼働するドローンを開発する米Titan Aerospaceを買収するなど、業種を問わず活用の動きがある。
技術進化がドローン採用を後押し
ここに来て、ドローンの活用が相次いで明るみに出ているのはなぜか。小酒井准教授は、その理由として以下の4点を挙げる
- モノのインターネット(IoT)におけるセンシング端末としての活用範囲の拡大
- GPS、高度センサーなど各種センシング技術、モーター制御システムの精度向上
- 小型デジタルカメラの画質向上で撮影画像/映像が鮮明化
- 制御用のスマートデバイス向けアプリケーション開発が容易に
特にビジネス利用の肝となると小酒井准教授が強調するのが、IoTにおけるセンシング端末としての利用だ。ドローンはカメラに加え、高度センサーなど各種センサーが備わり、無線LANなどを使ってデータを送受信できる。ドローン単体のデータを使って農薬散布や工事進捗の確認などに活用できるだけでなく、他のシステムと連係させれば、在庫管理の自動化などにも生かせる可能性がある。「ドローンを単なる空撮や輸送のための機械だと考えていては、本質を見誤る」(小酒井准教授)
ドローン活用の課題
ビジネス活用やその検討が進むドローンだが、課題も多い。中でも大きなハードルとなりそうなのが法制度だ。前述の通り、ビジネス活用は進んではいるものの、ドローンに関する法制度の整備は遅れており、「実際のところ、『この法律をあてがったらこうした解釈ができる』といったように、明確な法律がないのが現状だ」と小酒井准教授は話す。
関連する法制度の代表例は、航空法だ。ドローンに関して、航空法では明確な規定はないものの、人が乗り込まない無人飛行物体であることから「模型航空機」または「無操縦者航空機」に該当する可能性があるという。一般的な大きさのドローンが該当する可能性が高い模型航空機は、航空法では航空機の運航に危険を及ぼす空域での飛行を禁止している。具体的には、空港やその周辺(半径約9メートル以内)、航空路内では高度150メートル以上、航空路外では高度250メートル以上の飛行ができない。
ドローンを道路の付近で飛行させる場合、道路交通法で規定する禁止行為に該当する可能性がある。道路交通法76条4項4号では、「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」を禁止行為に指定している。ドローンが道路上の人や車両などに落下して衝突する可能性を考えると、ドローンの飛行は、この禁止行為に該当する恐れがあるという見方がある。
主に配送用にドローンを活用する際にハードルとなる可能性があるのは、民有地上空の飛行に関する制限だ。民法第207条では、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定している。民有地の上空(建造物の高さ+300メートル以内)が土地所有権の範囲に含まれることになり、その空間にドローンを飛行させるには土地所有者の承諾が必要になる。承諾の必要がないのは、公道や河川の上空といった一部に限られる。
ドローンが備えるカメラの存在により、盗撮と同様に迷惑防止条例の違反に該当する可能性もある。さらに、対象人物が特定できる画像を撮影し、ソーシャルメディアなど拡散可能性が高いところに投稿すると、肖像権の侵害となる恐れもある。その他、ドローンが画像データの送受信に使う電波の周波数帯によっては電波法に抵触する可能性があるなど、考慮すべき法律上の課題は少なくない。
その他、ドローンが墜落した場合の人的、物的損害に対処する安全措置も重要だ。また、現状のコンシューマー向けドローンでは数十分程度といわれる飛行時間の改善も課題となる。安全措置については、パラシュートの装着など落下時の危険性を軽減する装置を搭載するなどの動きもある。また飛行時間については、上述したGoogleの取り組みなどで改善する可能性もあり、今後の技術開発に注目が集まる。
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