「ThinkPad」と「Yoga」双方の良さを兼備
徹底レビュー:新「ThinkPad X1 Yoga」はThinkPadファン納得の出来、ネックは高価格?(3/3 ページ)
パフォーマンス
レビューに使用したThinkPad X1 Yogaには、OSに「Windows 10 Pro」、プロセッサにIntelの第7世代「Intel Core i5-7300U」、グラフィック機能にIntelの「Intel HD Graphics 620」、8GBのRAM、256GBのSSDを搭載しており、価格は1969ドル(価格は全て原稿執筆時点の米国向け公式オンラインストア税込価格)。RAMやメモリの拡張、Intelの「Intel Core i7」シリーズへのプロセッサの交換など、アップグレードオプションも多数用意している。ただし性能を極限まで引き上げると、価格も相当な額になる。例えば最も高性能のIntel「Intel Core i7-7600U」プロセッサ、16GBのRAM、1TBのSSD、14型WQHD(2560×1440ピクセル)解像度OLEDディスプレイを搭載したモデル(OSはWindows 10 Pro)は2819ドルにもなる。
Lenovoの公式オンラインストアでは、さまざまな要素をカスタマイズして比較できるようになっている。気になるパーツを取捨選択し、ニーズに合った構成とパフォーマンスレベルを探ってみるのもよいだろう。いずれにせよ、LenovoはこのThinkPad X1 Yogaで、価格とパフォーマンスの見事なバランスを実現していると感じられる。
今回テストに使用した構成は優れたパフォーマンスを発揮したが、それでも価格は、最低額と比べて高過ぎるほどではない。残念なのは、特に専用GPU(画像処理プロセッサ)のオプションがないことだ。つまり可能な限り最高のスペックを選んでも、一部のパフォーマンスに大きな制限が掛かる可能性がある。そのことを踏まえると、このノートPCへの2000ドル以上の出費をお勧めするのは、いささか難しい。
総合的なパフォーマンスで見れば、ThinkPad X1 Yogaは大成功の部類である。基本的なコンピューティング作業、生産性アプリケーション、さらに相当量のマルチタスクであっても、軽快な動作が可能だ。テストでは、GoogleのWebブラウザ「Google Chrome」でタブを14個開き、バックグラウンドで2つのHD(1280×720ピクセル)解像度の動画をストリーミング再生し、さらに音楽配信サービス「Spotify」の音楽を流したが、パフォーマンスに顕著な低下はなかった。高速転送や低レイテンシを実現した接続規格「NVM Express」(NVMe)を採用したSSDによる高速な読み書きのおかげで、プログラムやファイルを数秒以内に読み込むなど、パフォーマンスも非常に安定している。
パフォーマンス最大のボトルネックは、間違いなくIntelのHD Graphics 620だろう。実際にはそこまで悪い内蔵グラフィックス機能でもないのだが、他の要素が圧倒的に優秀なせいで、足を引っ張る状態になっている。ThinkPad X1 Yogaでは、標準HD動画の編集や再生、Riot Gamesの「League of Legends」やBlizzard Entertainmentの「Hearthstone」など負荷の低いゲームのプレイは可能だ。ただし3次元(3D)モデリングやグラフィック重視のゲームのような、負荷の高いタスクは厳しいだろう。
本稿のレビューに使用したThinkPad X1 Yogaのスペックを以下に示す。
- OS: Windows 10 Pro
- ディスプレイ:14型FHD解像度(2160×1440ピクセル)IPSディスプレイ
- プロセッサ: Intel Core i5-7300U
- 内蔵グラフィック機能: Intel HD Graphics 620
- メモリ: 8GB
- SSD: 256GB
- 無線LAN: IEEE 802.11 a/b/g/n/ac
- Bluetooth: Bluetooth 4.1
- サイズ:333×229×17ミリ(幅×奥行き×高さ):
- 重量:約1.45キロ
ベンチマーク
Futuremarkのベンチマークテストツール「PCMark8」による、ベンチマークテストの結果は以下の通りだ。
ベンチマークテストツール「CrystalDiskMark」によるストレージドライブのパフォーマンステスト結果を以下に示す。
バッテリー持続時間
バッテリー持続時間のテストには、Futuremarkのベンチマークテストツール「Powermark」を「バランス重視」モードで使用した。テストは、自動Webサーフィン、ワープロ処理、ゲームプレイ、動画再生の各ワークロードの組み合わせで構成している。こうしたテストでは代表的なWebサーフィンだけよりも負荷を掛けることができるため、さまざまなシナリオの条件下で、負荷の高い使用状況をより適切にシミュレーションできる。テストの負荷が非常に高いため、結果のスコアは当然低く出る。そのためソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「Facebook」をチェックしたり、動画配信サービス「Netflix」の動画を視聴したりするだけならば、もっと長いバッテリー持続時間を期待できる。
テストに使用したThinkPad X1 Yogaは、シャットダウンをするまで8時間12分実行を続けた。8時間を超える持続時間は2-in-1デバイスとしては驚くべき数字だ。テスト負荷が通常使用時よりも高いことを考慮すると、1回の充電で12時間バッテリーが持続すると期待できる。ThinkPad X1 Yogaは、1回の充電で丸一日使い続けることができることになる。
結論
ThinkPad X1 Yogaは、市場でも最高峰の2-in-1デバイスで、ビジネス向けノートPCとしても屈指の製品だ。LenovoはThinkPadとYogaという2つのブランドを1つのデバイスに見事に落とし込んでいる。
セキュリティオプションを組み込んだ頑丈なデザイン、カスタマイズ可能なスペック、種類と数が豊富な端子、世界レベルのキーボードに支えられたThinkPad X1 Yogaは、ThinkPadブランドに対するユーザーの信頼に応えている。ただし、このノートPCはそれだけにとどまらず、Yogaブランドの特徴である携帯性、柔軟なデザイン、鮮やかなディスプレイも備えている。付属のスタイラスペン、驚異的なバッテリー持続時間、高音質スピーカーまで加味すれば、ThinkPad X1 Yogaは現在最も優秀なデバイスの1つといえる。
率直に言って、このデバイスで唯一の難点は価格だ。最低価格でさえ1869ドルと強気の価格設定になっている。優秀な機能の数々が備わっているものの、コンピューティングのニーズによっては、全ての機能が必要ではない可能性もある。柔軟に使えるデバイスを探してはいても、最高レベルのパフォーマンスまでは必要ないのであれば、リーズナブルな選択肢は他にもある。携行性やフォームファクター(形状や仕様)にこだわらずに作業用PCを探している場合にも同じことがいえる。ただし万能のオールラウンダーを探しているのなら、LenovoのThinkPad X1 Yogaは本稿執筆時点で最有力のデバイスである。
長所
- 非の打ち所がないキーボード
- 高品質のスピーカー
- 鮮やかなディスプレイ
- 持続時間の長いバッテリー
短所
- 光を反射しやすいディスプレイパネル
- 高額
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー