“脱Excel”か“活Excel”か
なぜ“Excel職人”は、マクロに「ユーザーフォーム」を実装したがるのか?(2/2 ページ)
問題は「Excel使いは重宝されるが認められない」こと
このような状況にもかかわらず、Excelマクロを使える人がユーザーフォームに手を出してしまう背景には、社内で便利屋として重宝されている割には、そのスキルを認めてもらえないといった状況があります。そもそもExcelというソフトウェアが、本来は「シートやセルを操作する表計算ソフトウェア」であっても、マクロが使える人にとってのExcelは「プログラムを組むためのツール」であるにもかかわらずです。
Excelのツール作成を依頼する立場の人は、マクロを使える人(Excelツール作成者)に対して、「他の人よりExcelに詳しい人」という程度の認識しかされないことが往々にしてあります。マクロで複雑な処理をプログラミングしていたとしても、ユーザーインタフェース(UI)ではシートの各種操作が自動的に行われているだけであり、依頼する立場の人にとっては、特別な処理が走っているとは理解しにくいわけです。Excelツール作成者が、こうした認識を悔しく感じ見返そうと思ったとき、UI的な変化を披露できるユーザーフォームはうってつけの手段となってしまいます。
なぜならITシステムの導入判断の最も重要な要素はその機能であるにもかかわらず、UIのデザインが導入時の判断に多大な影響を与えるように、Excelのユーザーフォームを組み込むと、従来のマクロから見た目が大きく変わるために、組織におけるスキルに対する評価が上がりやすいのです。スキルが評価されるとExcelツール作成者は満足するかもしれませんが、より高い評価を得るために、機能とはさほど関係のないユーザーフォームの見栄えなどの調整に時間をかけるようになっていき、実際の開発効率は悪化することになる事態に陥ってしまいます。
“Excel職人”化させないための対策とは
前述のような状況に陥らないために、企業はどのような対策をすべきでしょうか。ユーザーフォームを使用させないという対策も考えられますが、Excelマクロを作る人が自身のスキルを「評価されていない」と感じていることが、そもそもの問題です。
従業員のスキルを評価する立場の人は、Excelのスキルに詳しいとは限らないため、必ずしも正しい評価を下せるわけではありません。そこで、Excelのスキル自体を評価するのではなく、「出来上がったマクロを利用することで、どれぐらい業務が効率化されたか」という成果を定量的に測定し、評価の対象とするとよいでしょう。そうすることで、マクロ作成者は、自分の作成したマクロがどのぐらい会社に貢献しているか、数値で理解することが可能になり、モチベーション向上にもつながります。従業員のスキルを評価する立場の人にとっても評価方法が明確になり、マクロに関する知識がなくても評価をすることが容易になります。さらにいえば業務の効率化を目標に設定すると、マクロ作成者が効率化の効果の高い依頼を優先的に対応するようになることも期待できます。Excelマクロが使える人を単なる「便利屋」として扱うのではなく、そのツールが企業にもたらす成果を評価することが、“Excel職人”を生み出さないために重要といえるでしょう。
村山 聡(むらやま・さとし)
1971年愛知県生まれ、名古屋大学経済学部卒、中小企業診断士。
IT企業在職中に、単一業種においてキャリアを積んでいくことに疑問を感じ、どんな業界、職種でも通用する知識を得るべく中小企業診断士を取得。複数社を経て、現在の勤め先にて、コンサルタントとして、データを活用した業務効率改善に取り組む。
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“脱Excel”か“活Excel”か
ほとんどの企業が使っている表計算ソフト「Microsoft Excel」(以下、Excel)。便利なツールですが、本来の目的を超えて“使いこなし過ぎる”ことが、かえって業務効率を低下させてしまったり、業務の属人化につながってしまったりする場面があるのではないでしょうか。 このコラムでは、日常業務でよく見掛けるExcelの活用例を紹介しながら「こんな場面は脱Excelを考えた方がよい」「こういうExcelの活用法はお薦め」といった知見を紹介していきます。
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