有力ベンダー各社の動きは?
急成長の「セルフサービスBI」、大流行には理由がある
米Gartnerが2015年版のBIと分析プラットフォームに関する「Magic Quadrant」リポートを発表した。事業部門が簡単に利用できるセルフサービス型のBI/分析ツールに注目が集まっている。
米調査会社のGartnerが発行した2015年版のビジネスインテリジェンス(BI)とアナリティクス(分析)プラットフォームに関する「Magic Quadrant」リポートでは、ベンダーの立ち位置が前年からどのように推移しているかだけでなく、セルフサービス型やデータ探索型と呼ばれるツールへとBI市場が拡大していることなどを取り上げている。リポートによると、こうしたトレンドはビジネスユーザーとIT部門/BIチームとの間に主導権争いを引き起こしているという。ビジネスユーザーはより柔軟性の高い分析機能を求めている一方で、IT部門/BIチームは効率的な管理プロセスを実装しようとしている。
現在、大半の企業では柔軟性に対する意識が高まっているが、この状況はビジネスに悪影響を及ぼす恐れがある、とGartnerは警告する。リポートによると、2016年までは、セルフサービスBIの取り組みのうち全体の10%未満しか、分析結果の不備や誤った意思決定を招きかねないデータの不整合を防ぐために十分な管理体制が整備されないという。
同リポートの主執筆者でアナリストを務めるリタ・サラム氏は、BI市場におけるこうした変化は5年前から本格的に始まったとインタビューで語った。「企業はこれまで、主にIT部門を中心としたエンタープライズBIおよび分析システムに投資してきた。その目的は、分析の取り組みを標準プラットフォームに統合して、多数のユーザーが利用する大規模なリポーティング機能を導入することだった」
このようなプラットフォームでは、データを集中管理してガバナンスを効かせた状態にあり、“単一のデータソース”を理想的な形で実現していた。「しかしながら、こうしたプラットフォームは主に、ビジネスユーザーに対して“何が起こったのか”を後からデータで示すものだった。そのため、BIツールを使って探索的に分析しようとしていたユーザーは“ないがしろに”されていた」(サラム氏)
そうした課題を解決するため、より対話性の高いクエリや分析、より高度な分析機能といった多くの新しいユーザーニーズが生まれた。そして、セルフサービス型ツールを提供する新しいBIベンダーが台頭した。例えば、米Tableau Software、米Qlik Technologies、米TIBCO SoftwareのSpotfire部門などだ。セルフサービス型ツールの人気が上昇することで、米IBM、米Microsoft、米Oracle、独SAPといったBIプラットフォームのトップベンダーが、セルフサービス機能やデータ探索機能を自社のソフトウェアスイートに追加するようになった。
バランスの問題を引き起こしているBIのトレンド
新たなテクノロジーの出現は、メリットをもたらすだけでなく、問題も引き起こしているとサラム氏は指摘する。ビジネスユーザーが自分でデータを操作し、クエリを記述することで、よりタイムリーな洞察を得られるようになった。だが、エンドユーザーの制御と堅牢なガバナンスの間でバランスを取ることは容易ではない。「より柔軟性の高い環境をユーザーに提供すれば、データの整合性を失うことになる。こうしたツールの人気が高まるにつれ、分散したデータ探索ツールを統制し、管理することがますます重要になる」(サラム氏)
データ探索型の製品を導入する際に企業が行うべきことは妥協点を設けることだ、とサラム氏は話す。その妥協点とは、ユーザーを縛り付けるようなものではなく、また分析の過程においてデータのエラーが混入しないようにすることだ。その妥協点を見つけなければ、誤った分析結果がまん延するだけだと同氏は忠告する。
Gartnerでは、こうした課題は、BIベンダーとユーザー企業の両者で幅広く認知されているとしている。BI市場の幅広いベンダーが、セルフサービス機能と管理メカニズムの両方を提供しようとしている、とサラム氏は指摘する。Magic Quadrantリポートではさらに、多数のユーザー企業は3年以内に、2つの方式のIT戦略を採り入れることになると予測している。具体的には、集約型のBIおよび分析アーキテクチャと、それを補強する分散型のデータ分析システムおよびプロセスである。
その一方で、一部のBIベンダーはあらゆるユーザーニーズに応え、顧客満足度を高めようと努力している。「一般的に言って、大規模なベンダーであるほど、顧客が関心を寄せているカスタマーエクスペリエンスの評価基準のスコアが低い」とサラム氏は話す。その評価基準には、カスタマーサポートや製品品質などの要素がある。また、ベンダーがどれほど適切にエンドユーザーのトレーニングをサポートして、オンラインの動画や製品デモへのアクセスを提供しているかという観点で評価したユーザーエクスペリエンスも含まれる。
BIベンダーの位置付けに変化
Magic Quadrantにおけるベンダーの位置付けに大きな変化が見られた。2014年版で「リーダー」に位置付けられていたTIBCO Softwareは、2015年版では「概念先行型」に位置付けられた。その理由として、販売推進力の喪失、顧客満足度の低下などを引き合いに出し、「TIBCOはリーダーの地位を維持するための評価基準を満たしていない」とサラム氏は指摘した。同社は米投資会社によって2014年末に買収されており、それに対して顧客の懸念が高まっていることも要因の1つとなった。
2014年版のリポートでリーダーに格付けされたその他の企業は、2015年版でもリーダ―の地位を維持している。だが、リーダーのポジションの中では、各ベンダーの位置が一部変更されている。IBM、Microsoft、Oracle、Qlik Technologies、SAP、Tableau Softwareの他には、米Information Builders、米MicroStrategy、米SAS Instituteがリーダーとして名を連ねている。2015年版のリポートでは、リーダーに新しい企業は追加されなかった。
現在進行している市場の変化は、高度な分析プラットフォームに関するMagic Quadrantリポートにも表れている。この新たなリポートによると、企業おいて高度な分析アプリケーションのニーズが高まっており、データ専門家の数が不足している。そうした状況により、さらに高度な自動化の仕組みが必要になり、セルフサービス型のツールやデータサイエンティストを支援するツールに対する需要が拡大している。
いずれのリポートにしても、データ分析の経験が乏しいユーザーのために、ベンダーはBIと分析ソフトウェアをより使いやすくする方法を模索する必要があることを示唆している。「スキルがなくても容易に使えるプラットフォームが求められるようになっている。使いやすさに注力しているベンダーに勢いがあり、購買が集中している」(サラム氏)
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