Nutanixとの取引で見えてきた
Googleのハイブリッドクラウド戦略、これからの課題は?
Googleのハイブリッドクラウド戦略は、同社のパブリッククラウドとNutanixのハイパーコンバージドインフラとの間でワークロードを移動できるようにすることによって、その形を現し始めた。
GoogleはNutanixとのパートナーシップにより、最先端の大手パブリッククラウドプロバイダーとしてハイブリッドクラウドの導入に参入する。
2018年には、GoogleとNutanixの顧客はGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)とNutanixのハイパーコンバージドインフラとの間で単一のユーザーインタフェースを使って、ワークロード(アプリケーション)を導入、管理できるようになる。こうした取り組みは、2016年に発表されたVMwareとAmazon Web Services(AWS)とのパートナーシップ提携と実によく似ている。大手パブリッククラウドベンダーの間ではこうした取り組みがトレンドになっている。ターゲットとするのは、ワークロードの大部分をオンプレミスで管理する企業だ。
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ハイブリッドクラウドの課題
両社によると、ユーザーは単一のNutanixコントロールプレーンを使用してアプリケーションの構築と管理が可能になるという。これにより、パブリッククラウドとプライベートクラウドの間でワークロードをシームレスに移動できるようになる。ユーザーは自社独自のデータセンターの拡張機能としてGCPを使用し、既存のワークロードでデータ分析基盤サービス「Google BigQuery」などのGoogleサービスを利用することもできる。
Nutanixのハイパーコンバージドインフラ「Nutanix Enterprise Cloud Platform」は、オープンソースの「Kubernetes」、Googleの「Google Container Engine(GKE)」、Nutanixの「Acropolis Container Services(ACS)」といったコンテナ管理ツールを組み合わせてコンテナを利用可能にする予定だ。顧客はNutanix製品をエッジデバイスとして使用してデータを処理し、Googleの機械学習ライブラリ「TensorFlow」を使ってGCPに構築したIoTアプリケーションへデータを中継できるようになる。
パブリッククラウドの競合として注目を集めるハイブリッドクラウド
企業のハイブリッドクラウド戦略は、多くのワークロードがパブリッククラウドに移るにつれて、理論から現実へと進化している。初期のパブリッククラウド市場では多くの「born-in-the-cloud」企業(クラウド生まれの企業)が中心になっていた。だがコンプライアンスやアーキテクチャ上の理由から、企業はオンプレミスに残さなくてはならないローカルアプリケーションと、こうした新しいクラウドアプリケーションとのバランスを取ることが必要になっている。
Microsoftは2015年、ハイブリッドクラウド市場に初めて大きな話題を提供した。パブリッククラウド「Microsoft Azure」のパッケージバージョンをユーザーのデータセンター内に持ち込む「Azure Stack」がそれだ。OracleとIBMもこのモデルを踏襲している。
AWSはこうしたレガシーインフラに対する懸念がない。そのためMicrosoftとは正反対のアプローチを取った。同社はVMwareとの提携により「VMware Cloud on AWS」を開発しており、IT部門が自社オンプレミスのワークロードをAWSデータセンター内の専用空間に移動できるようにする。IT部門はその空間から、AWSで利用可能な幾つかのクラウドネイティブのツールを利用できるようになる。
GoogleはNutanixとの取引により同じ道を歩もうとしている。両ベンダーともパブリッククラウドを重視する姿勢を取っている。そのため、両社の目標はプライベートデータセンターからパブリッククラウドにできる限り容易に移動できるようにすることだと、Forrester Researchでアナリストを務めるデイブ・バルトレッティ氏は語る。
こうした動きは、VMwareやNutanixに多く投資する顧客の期待に応えているという。顧客は現状のシステムにパブリッククラウドを追加することを望んでいるのであって、全く新しい管理スタックへの切り替えは望んでいない。
「最初の手順としてパブリッククラウドを自社のデータセンターに接続するときに、多くのデータセンターチームが魅力を感じるだろう」とバルトレッティ氏は言う。「2つ目の手順では、変更を加えることなく移動できるものを考える。3つ目の手順では、パブリッククラウドに移動後にクラウドネイティブのサービスを利用して最新の機能を使いこなすことを検討することになる」(同氏)
Nutanixはハイパーコンバージドインフラ市場でVMwareと真っ向から競合するソフトウェアスタックを提供している。だが同市場ではVMwareが優位に立っており、同社のインストールベースははるかに大きい。
GoogleとVMwareとのクラウドパートナーシップは限定的だったため、大きな進歩がみられず、失敗に終わった。報道によると、GoogleはVMwareの共同創業者であるダイアン・グリーン氏がGCPを引き継いだ後、AWSと交わした同様の取引にも失敗しているという。
ボストンを拠点とするコンサルティング会社Cloud Technology Partnersで上級副社長を務めるデイビッド・リンティカム氏は、「Googleは同社がハイブリッドクラウド戦略に欠けている点と、企業を自社のクラウドに移行する能力を認識している。そのため、今回のNutanixとの取引は好ましい動きだ」と語る。
だがリンティカム氏は、このような種類の提携には常に慎重な姿勢を取っている。それは、一時的な高まりはあっても、多くが失敗に終わるためだ。提携した両社は、提携のインパクトを何らかの形で持続させるために、最低でも100社の顧客との契約を迅速に結ぶ必要がある。
Googleは、AWSに追随する必要性を把握しているが、これがどの程度適切かは不明確だ。Gartnerでアナリストを務めるミンディ・カンシラ氏は「ワークロードの大部分が仮想化され、クラウドワークロードの大部分がAWSにあるVMwareは、人々が何かをしようとするときに使用するサーバ仮想化製品『VMware ESX』で大きな足跡を残した。だがNutanixでは話が違う」と語る。
もちろん、AWS、Microsoft、Googleのハイブリッドクラウド戦略にはそれぞれ多くの疑問がある。Azure StackとVMware Cloud on AWSはどちらも、長期にわたる非公開試験を経て、2017年度下半期に利用できるようになると予測される。NutanixとGCPの連携は、2018年度第一四半期に利用可能になる見込みだ。
こうしたサービス全てに伴うのは、コスト、相互運用性のレベル、複数環境間の一貫性に関する疑問だ。GoogleとNutanixの取引の場合、最も新しいオンプレミスのワークロードはハイパーコンバージドインフラで使用される。そのため、両社がこうした問題に対処する方法によっては魅力的に使用できる可能性がある。「ユースケースと連携の仕組みを把握することが必要になる。仮想化の上に仮想化を重ねるだけならば、それほど多くの価値を提供しないだろう」とカンシラ氏は言う。
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