場合によっては「第3の選択肢」も
DaaSかVDIか、どちらかを選ぶ時の決め手になる5つの質問
DaaSとVDIのどちらかを選ぶ場合、IT管理者は、目的、ユースケース、ユーザーとデータの場所を把握しなければならない。コストも重要な要素だ。
仮想デスクトップに移行する場合、オンプレミスとクラウドのいずれを選ぶかは大きな決断になる。
仮想デスクトップインフラ(VDI)とDesktops as a Service(DaaS)のどちらを選ぶかで、コスト、従業員の生産性、デスクトップのユーザーエクスペリエンス(UX)に大きく影響する可能性がある。場合によっては、どちらも最善とはいえないこともある。
「Gartner Catalyst Conference」の参加者は、VDIとDaaSを評価する際のヒントを幾つか学んだ。Gartnerのリサーチ部門でディレクターを務めるマーク・ロックウッド氏が、参加者に向けて、評価の過程でITプロフェッショナルが問うべき5つの質問を披露した。
目的は何か
導入と管理に掛かる事前のコストを減らすことが主な目的なら、DaaSが有利だ。「サブスクリプションベースの料金と引き換えに、クラウドプロバイダーが構成とメンテナンスを担当するためだ」とロックウッド氏は話す。IT担当者が労働力を柔軟にサポートする必要がある場合も、DaaSのほうが優れている。だが、ユーザーがデスクトップにアクセスする速度を上げ、IT担当者がより多くを制御できるようにすることが目的なら、VDIを選ぶべきだというのが同氏の意見だ。
VDIでもDaaSでも目的を満たさないのであれば、物理デスクトップという選択肢があることも忘れてはならない。
「VDIやDaaSが物理デスクトップよりも優れている理由を見つけられないのであれば、多額の費用を掛けてユーザーを失う事態は避けるべきだ」(ロックウッド氏)
ユースケースは何か
VDIとDaaSを比較する場合、IT担当者はユースケースを詳しく調べる必要がある。オフラインで使用するユースケースには、物理デスクトップが最適だ。オフラインでのアクセスを可能にするVDIソフトウェアにはVMwareの「VMware Horizon FLEX」があるがそれだけだ。DaaSが機能するにはネットワーク接続が不可欠だ。そのため「DaaSは本質的にオフラインでの使用には適さない」とロックウッド氏は指摘する。
また、全てのDaaSプロバイダーが高度なグラフィック処理能力を必要とするアプリをサポートするわけではない。その点を考慮すると、グラフィック処理の多いユースケースにも、クラウドは最良の選択肢ではないと同氏は述べる。
「GPUサポートを提供するプロバイダーは増えているが、まだ全てとはいえない」(ロックウッド氏)
DaaSは、短期間の使用に最適だ。「特定用途向けに数台のデスクトップを稼働することや、合併や買収の最中だけ新たな利用者をサポートすることが可能だ」と同氏は話す。
ユーザーはどこにいるか
複数のデータセンターを運営するDaaSプロバイダーを利用すれば、ユーザーは最も近くの場所にあるクラウドに接続できる。そのため、ユーザーが遠隔地に分散している場合はVDIよりもDaaSが優れているとロックウッド氏は言う。
「ユーザーの所在地に関係なく、全てのユーザーを同一に扱えば、華々しく失敗するだろう。シカゴ在住のユーザーは、シカゴにあるホームデータセンターにアクセスするのが普通だ」(ロックウッド氏)
ビジネス情報と分析サービスプロバイダーのRelx Groupは、海外の在宅開発者向けにVDIを利用している。データセンターから遠く離れた場所にいるユーザーが、負荷の高いSQLデータベースへのアクセスを必要とするため、同社はパフォーマンスの問題に悩まされている。そう語るのは、Relx Groupでエンドユーザーコンピューティングイノベーション事業のディレクターを務めるクリス・ハーカー氏だ。
「SQLには多くの処理能力を必要とするため、VDIは多くの課題をもたらす。VDIはSQLに向いていなかった」(ハーカー氏)
ハーカー氏によると、米国オハイオ州マイアミズバーグにあるRelx Groupのオフィスは、Amazon Web Services(AWS)によるDaaS「Amazon WorkSpaces」を導入し、同クラウドベンダーが有する世界中のデータセンターでデスクトップをホストできるようにすることで、ユーザーと仮想デスクトップとの距離を縮めてパフォーマンスを改善できるという。
データはどこにあるか
自社の全てのデータがオンプレミスにある企業は、オンプレミスの物理デスクトップや仮想デスクトップが功を奏する。だが「多くのデータがクラウドに存在する企業は、DaaSを選択するのが妥当だ」とロックウッド氏は話す。
「データはクラウドに移行し続けており、この傾向は今後も続くだろう。特定のユースケースで接続する予定の全てのデータがオンラインストレージの『Microsoft OneDrive』にあるのなら、VDIは最適な選択肢にはならない。DaaSを選ぶほうが適している」(ロックウッド氏)
コストは何か
一般にDaaSとVDIはどちらも、物理デスクトップよりもコストを抑えることにはならない。
「追加コストを上回る追加のメリットを得られる場合にのみ、VDIを実装すべきだ。VDIやDaaSの導入によってコストを節約できる非常にまれなユースケースもあるが、コストの節約を移行の主な目的にしてはならない」(ロックウッド氏)
むしろ、DaaSやVDIの主なメリットは、デスクトップのUXを向上することにある。「DaaSプロバイダーを選んでも、コストを削減するインフラをオンプレミスに構築しても、生産性が向上しなければ、その移行プロジェクトは失敗だ」とロックウッド氏は話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[テクバン株式会社] 1画面でITサービスデスク業務が完結 太陽ホールディングスに学ぶデバイス管理 -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] ライセンス無料 Drupalベースの「多言語ECサイト開発用パッケージ」の実力は? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 日本発グローバル企業用Drupal「Risley(リズリー)」の実力とは? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] Drupalサイト運用のリスク解消 潜在的なセキュリティ問題を迅速に発見する方法 -
製品資料
[株式会社ソースポッド] SCS評価制度への対応で工数が増大? 取得後の管理・運用をどう進めるべきか
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
世界PC出荷数が20%急減 情シスを直撃するPC先行調達の反動と価格高騰
-
5
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の運用管理と統制機能を徹底比較
-
6
326のIPアドレスで1200超のアクセス AIエージェント関与が疑われる攻撃の中身
-
7
セキュリティは「情シス任せ」が過半数 漏えい発生時やSCS評価制度の課題は?
-
8
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
9
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
10
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
2
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
3
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
6
プログラミング不要で誰でも実現できる、ネットワーク運用管理の自動化とは
-
7
東大教授と考える、AI時代の「データ主権」「信頼性」「ガバナンス」の在り方
-
8
Linux初心者でも知らないとまずい「RHEL」「SLES」の違いとは?
-
9
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
10
生成AIの活用を阻む「5つの壁」とは? AIネイティブ組織へ変革を遂げる方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー