1カートリッジで32TB格納
テープ新規格「LTO-8」は速度、テープ送り、耐久性、容量の全てが進化 その適用範囲は?
次世代テープ規格「LTO-8テープ」は、これまでにないほど膨大な量のデータを格納して保護したいと考えているあらゆる規模の企業にとっての好機となる。
2017年夏、世界各地は数々の気象災害に見舞われた。この事態を受けて、ビジネスを継続するためには堅実な戦略が必要であるという注意喚起が促された。可用性の高いアーキテクチャが古き良き災害復旧計画の代替になるという無意味な考えに甘んじていた企業は、窮地に追い込まれている。自社から数キロしか離れておらず、同じ災害に見舞われる運命にあるホスティング企業で管理されるクラウドベースの災害復旧サービスを使用している企業も同様だ。
ただし朗報もある。手ごろな方法で信頼できるデータのコピーを作成して、遠く離れたオフサイトのストレージにデータを保管するテクノロジーは存在する。それがテープ規格の「LTO」だ。LTOはメーカーに関係なく、ほぼ全てのライブラリと互換性がある。そして、速度、テープ送り、耐久性、有効期間、容量が進化している。
まだ「LTO-7」が現役であるにもかかわらず、一部のベンダーは、既に次世代「LTO-8」に取り組んでいる。ただしLTO-8テープドライブの大量生産は始まっていない。LTO-8は、大企業と産業用クラウドというニッチ市場を対象にしているという意見もある。LTO-7の価格は、6TBのカートリッジ(圧縮時15TB)当たり100ドルだ。そのため、LTO-7は中堅・中小企業を対象にする最後の世代になる可能性がある。
併せて読みたいお薦め記事
「LTO-8」の関連記事
新技術で再注目のテープストレージ
LTO-8はニッチ市場にあらず
LTO-8テープドライブの容量は、非圧縮時12.8TB(圧縮時32TB)、データのスループットは非圧縮時472Mbps(圧縮時1180Mbps)にそれぞれ増加している。
まず現在、数TB規模のデータストレージを使用している企業はないだろう。中堅・中小企業でも数百TBからP(ペタ)B規模のストレージを使用している。そして以前、数十PB規模のストレージに不満を持っていた大企業に至っては、E(エクサ)B規模のリポジトリを使用しているのが現状だ。IDCなどの調査会社によると、膨大な量のデータを生成して保持している企業は、数十Z(ゼタ)Bを超えるサイズのリポジトリを使用しているという。そして2025年までには1年に163ZBの新しいデータを生成するようになるとアナリストは予想している。
つまり、32TBというLTO-8の容量は、テープテクノロジーを活用する可能性の高い企業がまさに必要としているものであるようだ。具体的には、ヘルスケア、監視機関、調査機関、石油、ガスなど、クラウドや多くのデータを利用する業界だ。このような企業は、セカンダリーストレージとしてテープを再び利用するようになっている。
テープが担う特別な役割
テープがアクティブなアーカイブのニーズを満たさないという話は聞いたことがあるだろう。筆者は最近『Storage Magazine』で、このトピックに関するコラムを執筆した。そして「満たすかもしれないし、満たさないかもしれない」というのが、これに対する筆者の回答だ。ただし今日、私たちが生成する圧倒的多数のデータは、ビッグデータ分析の類に含まれないのが実情だ。クラウドプロバイダーは、インターネット上の大きなストレージリポジトリを販売したいと考えている。その目的は、ユーザーがスマートフォンに搭載された100メガピクセルのカメラで撮影し、めったにアクセスされないか二度と変更されないデータをホストすることである。テープは、このような全てのサービスが頼れるテクノロジーだ。
大量のデータをクラウドへ移行するには、高額な通信回線と光ファイバーケーブル以外にも必要なものはある。だがテープは、WANやMAN(メトロポリタンエリアネットワーク)を伴わない優れたデータ転送メカニズムだ。
少なくともLTO-8は、ZB規模のデータの格納にかかるコストを削減することに役立ちそうだ。数ZB規模という大きなテープリポジトリは、電気代だけを取ってみても、ディスクやフラッシュをベースとした同じ容量のリポジトリを維持するのにかかるコストより安価に収まるだろう。LTO-8のリリースが、データストレージの容量とコストに新たな転機をもたらすのは間違いない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] 過去にRPA導入をあきらめた企業こそ知っておきたい 失敗しない自動化導入術 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 京セラコミュニケーションシステムに学ぶ、製造業の現場でAIを定着させる方法 -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] 元ヤンマーCIOの矢島氏が語るDXの本質:日本企業が陥った4つの落とし穴と解決策 -
事例
[アルテリックス・ジャパン合同会社] 管理会計の変革で大幅な業務削減も? 大日本印刷の事例に学ぶ脱Excelの実践術
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
年収が増えても幸せになれない 給与増でエンジニアが直面する「幸福度の壁」
-
4
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
5
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
6
便利機能が「裏口」に コンテナの安全を脅かす“監視の穴”とは
-
7
「法人向けPCおよび周辺機器の利用状況」に関するアンケート
-
8
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
9
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
10
NECの「BluStellar」に必要なデータ保護と活用のための技術とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
8
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー