WatsonとSiriの連携も実現?
AppleとIBMが人工知能(AI)で協業拡大、iOS向けAIアプリの開発が加速か
IBMとAppleは、AppleのiOS向けAIサービスやアプリ開発を促進するため、エンタープライズモビリティーパートナーシップを拡張した。
IBMとAppleの両社は、IBMの「IBM Watson」ベースの人工知能(AI)サービスを開発者が構築できるよう、これまでツールに関して提携してきたエンタープライズモビリティーパートナーシップを拡張した。
IBMとAppleが最初にパートナーシップを結んだのは2014年のことだ。当初の目的は、「IBM Cloud」で運用されるAppleデバイス向けのアプリを開発者が構築するのをサポートすることだった。現在、両社は、開発者がAppleデバイス向けにAIアプリを構築できるようにするだけでなく、そのAIアプリが時間をかけて学習やトレーニングを続けられるように機械学習機能を提供することも考えるようになった。
併せて読みたいお薦め記事
IBMとAppleのこれまでの協業
開発が進むAI関連技術
2つのAIサービス
ラスベガスで開催された「IBM Think 2018」カンファレンスで、IBMは「IBM Watson Services for Core ML」と「IBM Cloud Developer Console for Apple」という2つのサービスを公開した。
IBMで開発者支援および開発者向けテクノロジー部門のバイスプレジデントを務めるエンジェル・ディアス氏によると、IBM Watson Services for Core MLの目的は、開発者がエンタープライズクラスのAIサービスやAIアプリを構築できるようにすることだという。こうしたAIサービスやAIアプリによって、リアルタイムに洞察を提供し、ユーザーのクエリに対応できるようになる。そして、そのサービスやアプリはユーザーとの新たな対話に向けて知識を蓄える。
Appleは、同社の「Core ML」を、「Siri」「QuickType」「カメラ」などのApple製品全体で利用できる基本機械学習フレームワークとして位置付けている。このCore MLは、メモリの使用量や消費電力を最小限に抑えるために、デバイスのパフォーマンスに対して最適化される。
Core MLをWatsonのクラウドベースのサービスと組み合わせることで、開発者は企業データに接続するAIサービスやAIアプリをセキュリティが確保される状態で構築できるようになる。
IBMは「Visual Recognition」などのWatsonサービスを用意して、開発者がCore MLモデルを導入し、それをIBMクラウドで運用できるようにする。
「最初のユースケースは、画像認識やフィールドフォースオートメーションのような分野になるだろう」とディアス氏は話す。例えば、現場の技術者が見慣れない機械部品を写真に撮り、この機能を組み込んだアプリにその部品を識別させることができる。
セントルイスを拠点とするCloudPulse Strategiesでプリンシパル・アナリストを務めるサム・チャリントン氏は次のように述べる。「Appleは、買収、Worldwide Developers Conference(WWDC)でのプレゼンテーション、その他の告知を通じて、機械学習とAIに対応していることを実証してきた。だが、問題は、同社がクラウドに弱いことだ。機械学習とAIにとって、クラウドサービスは非常に重要な提供モデルになる。IBMとのパートナーシップを拡張してWatsonサービスを取り入れることが、この大きなギャップを埋めるのに役立つ。これはAppleの『Swift』とCore MLを使用する開発者にとってメリットになる」
もう1つのサービス、IBM Cloud Developer Console for Appleは、開発者の開発環境の自動構成、DevOpsツールチェーンとの統合、AIサービスやAIアプリへの簡単なアクセスを可能にする。
Swiftの開発者はこの開発者コンソールを利用してIBM Cloudと簡単にリンクし、アプリを構築できる。また、このコンソールは、さまざまな開発経験を持つ開発者向けにステップ・バイ・ステップガイダンスを提供し、Swiftプログラミング言語向けに最適化されたAI、データ、モバイルサービスも統合する。
コンソールには「IBM Cloud Hyper Protect Starter Kits」も付属し、「IBM Cloud Hyper Protect」サービスを使用するAppleの「iOS」開発者が資格情報、サービス、データを保護できるようになっている。
Appleが機械学習とAIの高度な機能を提供するためにIBMのクラウドベースのWatson機能を利用しなければならないという事実は、WatsonのAI機能がAppleの製品ラインにある大きなギャップを埋めていることを認めている。こう語るのは、分析コンサルティング企業Cognilyticaでシニアアナリストを務めるロナルド・シュメルツァー氏だ。
「同様に、IBMがAppleと提携を拡張し、AppleのiOSモバイルアプリ開発者がWatsonのクラウド機能を利用できるようにしたという事実は、IBMが自社のプラットフォームを利用する開発者が増えることを求めており、すぐにWatsonプラットフォームを利用できる非常に多くのアプリ開発者をAppleが擁している事実を証明している」(シュメルツァー氏)
FfDLの習得
IBM Cloudを導入するAppleの開発者は、やがてIBMのサービス「Watson Studio」も利用するようになるかもしれない。これは、機械学習ワークフローを構築して機械学習モデルを大規模にトレーニング/導入するサービスだ。
Watson Studioは、IBMがオープンソース化した「Fabric for Deep Learning」(FfDL、「フィドル」と発音)テクノロジーに基づく新たな「Deep Learning as a Service」機能を提供する。
Linux Foundationのエグゼクティブディレクターを務めるジム・ゼムリン氏は次の声明を行っている。「Linux Foundationが、Cloud Native Computing Foundationを利用して『Kubernetes』のオープンガバナンスコミュニティーを設立するためにIBM、Google、Red Hatなどと連携したように、IBMにとってのFfDLのリリースはオープンソースコミュニティーに働き掛けることで関連オープンソースプロジェクトと連携し、深層学習へのアクセスの容易さをさらに一歩進めるチャンスになる。FfDLが本来IBM製品であることを考えると、このオープンソース化は開発者と企業のエンドユーザーの興味を引くだろう」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー