安定性をとるか、性能をとるか
Microsoft、Citrix、VMware 仮想デスクトップの画面転送プロトコルに違いは?(2/2 ページ)
Citrix HDX
HDXの目的は、帯域幅が狭く、待機時間が長い状態で仮想デスクトップの使いやすさを強化することだ。この点はRemoteFXと似ている。
HDXは3つの技術的な理念を基盤とする。1つはインテリジェントリダイレクションだ。画面の動作、アプリケーションコマンド、エンドポイントデバイス、ネットワーク、サーバ機能を調査して、アプリケーションやデスクトップの操作をレンダリング(再描画)する方法と場所を瞬時に判断する。この処理はローカルクライアントか、デバイスで発生することがある。
クライアントのリダイレトは、サーバからタスクをオフロード(負荷分散)してクライアントに配置する。デバイスと周辺機器のリダイレクトでは、Webカメラ、プリンタ、スキャナーをローカルで終端処理することで、ユーザーが本来のUSBの速度でこれらのデバイスとやりとりできるようにする。
2つ目は適応圧縮だ。
これはネットワークの状態に基づいてプロトコルが使用するコーデックを設定する。また、CPUリソースとGPUリソースの効率的な使用方法を判断する。
3つ目はネットワークトラフィックの重複排除だ。マルチメディアストリームの「マルチキャスティング」をサポートする。これにより、1回の転送でソースから多数のユーザーに配信する一対多通信が可能になる。「HDXキャッシング」では、ビットマップ画像、ファイル、印刷ジョブ、ストリーミングメディアなど、ユーザーがアクセスするデータの重複排除をする。
またHDXはサーバベースのGPUへの「GPUオフロード」をサポートするため「x264プロトコル」の機能強化を利用して処理を一元化する。HDXはソースでグラフィック要素を処理し、クライアントに送信する前に重複排除や圧縮をするため、エンドユーザーのエクスペリエンスが向上する。
HDXはほぼ全てのハイパーバイザーを使用できるが、ICAと同様、GPUのオフロードにはXenServerが必要になる。
Teradici PCoIP
VMwareの「Horizon View」は、TeradiciのPCoIPプロトコルと関係が長い。PCoIPがRDPやICAと最も異なる点は、データパケットの転送にユーザーデータグラムプロトコル(UDP)を使用することだ。UDPにより、PCoIPが他のプロトコルより高速になる。伝送制御プロトコル(TCP)のようにエンドポイントがパケットの受信を確認するのを待機しなくてよい。
帯域幅が広く、待機時間が短い環境では、UDPのおかげで高いレベルの仮想デスクトップ環境を提供できる。ただし、ネットワークのパフォーマンスが低いと問題が生じることがある。この問題に対処するため、適応型エンコーダーを使用し、PCoIPがネットワーク全体に渡すトラフィックの量を軽減している。
VMwareのPCoIPスタックは完全版ではなく、ソフトウェアでエミュレーションしたバージョンだ。PCoIPストリームをデコードする機能はHorizon Viewクライアントに組み込まれているため、Teradiciカードをエンドポイントにインストールしなくてもよい。ただし、カードをインストールすればパフォーマンスは向上する。
PCoIPは「VMware ESXi」のみで機能する。
VMware Blast Extreme
PCoIPがパフォーマンスの絞り込みを続けると、ユーザーがパフォーマンスの変動に気付いてしまう。この問題の解決策としてVMwareが提示したのがVMware Blast Extremeだ。
VMware Blast Extremeのベースとなるのは、「Blast」というオリジナルのHTMLアクセスプロトコルだ。Blastは機能が非常に少なく、動画や負荷の大きなグラフィックスが適切に表示されないJPG、PNGコーデックをベースにしていた。
新しいVMware Blast ExtremeプロトコルはHorizon 7で導入された。クライアントはPCoIPと同等の機能を備え、グラフィック要素の多いコンテンツに「H.264コーデック」を利用するために強化している。VMware Blast Extremeは、PCoIPと同様、ESXiハイパーバイザーを利用する。
どのプロトコルも豊富な機能を備えているため、どのプロトコルを使うか判断するためには機能よりもVDIベンダーで判断した方がよいだろう。
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