競合する2つのメッセージングツールの違いは
Facebook「WhatsApp」vs. Apple「Business Chat」、企業向けメッセージングツールの勝者は
「WhatsApp」のビジネスメッセージングが、コンタクトセンター市場に参入しようとしている。先行するAppleの「Business Chat」をはじめ、消費者が企業と直接やりとりできるメッセージングツールが次々登場している。
Facebook傘下のWhatsAppが提供する「WhatsApp」は大企業にとって、その10億人以上のユーザーとのコミュニケーションツールになる。WhatsAppは、コンタクトセンター市場への参入を狙う最新のソーシャルメッセージングチャネルだが、アナリストは、ほとんどの企業はこうしたプラットフォームを、急いで採用する必要はまだないと指摘している。
大企業は「WhatsApp Business API」を使って、WhatsAppのメッセージングチャネルをコンタクトセンターや顧客関係管理(CRM)システムに統合できる。これにより、WhatsAppプロファイルを作成し、WhatsAppで「チャットを始めるボタン」をWebサイトやモバイルアプリに追加できる。
WhatsAppは企業に対し、WhatsAppによる顧客への通知(受注確認、配送案内、搭乗券など)の送信について料金を請求する計画だ。また、企業がWhatsAppによる顧客の問い合わせに24時間以内に応答しなかった場合、その企業に制裁金を課すとしている。
WhatsAppは、WhatsApp Business APIのβ版を2018年8月にリリースした。自社の顧客と企業をつなごうとする最新の試みだ。同社は2018年1月に「WhatsApp Business」も公開しているが、こちらは小規模企業がプロファイルを作成し、顧客とメッセージをやりとりできる別のアプリだ。
併せて読みたいお薦め記事
各社コラボレーションツールの動向
- 「Workplace by Facebook」は“脱Slack”の手段ではない?
- Apple「Business Chat」がショートメッセージに取って代わる日は近い?
- Googleが次世代メッセージサービス「RCS」で“打倒Facebook”に再挑戦か
チームコラボレーションツール選びのポイント
WhatsAppとFacebookの連携
WhatsAppは、親会社のFacebookのソーシャルプラットフォームとの連携も強化している。企業は新しいAPIを使って、「WhatsAppでメッセージを送ってほしい」と顧客に呼び掛けるFacebook広告を作成できる。
「FacebookはWhatsAppのビジネスメッセージングを、エンタープライズイントラネットおよびコラボレーションプラットフォームである『Workplace by Facebook』に統合することを検討するのが賢明だろう」と、コンサルティング会社PKE Consulting社長のフィル・エドホルム氏は語る。「そうすれば、WhatsAppはよりユニークな製品になる」と、同氏は見る。
「純粋にチャネルの観点から見れば、消費者から企業へのチャネルとしてWhatsAppを利用するのは面白い。だが、それはもう別のチャネルといえる」(エドホルム氏)
WhatsAppのビジネスメッセージング vs. Appleの「Business Chat」
WhatsAppのビジネスメッセージングは、Appleの「Business Chat」と競合する。Business Chatでは、顧客と企業が「iMessage」で直接やりとりできる。一方でWhatsAppはAndroidユーザーの間で特に人気が高い。
「WhatsAppの製品は、Apple製品ほど機能が豊富ではないようであり、WhatsAppには、Appleほど明確なビジョンもなさそうだ」と、コンサルティング会社dBrn Associates社長のマイケル・フィネラン氏は指摘する。
アプリストアからダウンロードしなければならないWhatsAppとは異なり、AppleのBusiness Chatは、全てのiOSユーザーがネイティブに利用でき、顧客は匿名のまま企業と連絡が取れる。さらに、iMessageのインタフェースの方が、WhatsAppのビジネスメッセージングよりも生産的でインタラクティブな機能を備えている。商品やサービスを注文できる機能がその一例だ。
それでも「企業にとって、どちらかのプラットフォームの導入が必要になるのは、しばらく先だ」と、フィネラン氏は予想する。実際、これまでのところ、AppleのBusiness Chatに対応している企業は、一握りの有名な銀行、小売業者、ホテル、インターネット企業に限られる。
「デジタルにおけるエンゲージメントがビジネスの重要な要素でない限り、企業はApple Business Chatの導入を急がなくてもいい。WhatsAppも同様だ」(フィネラン氏)
だが、ソーシャルメッセージングチャネルの追加導入を決めたら、企業はCPaaS(Communications Platform as a Service:サービスとしてのコミュニケーションプラットフォーム)ベンダー、例えばTwilio、Nexmo、Smoochなどを利用すべきだと、独立系アナリストのツァヒ・レベンレビ氏はアドバイスする。
企業は、自社で運用するコミュニケーションチャネルが多くなりすぎないようにする必要がある。「その主な理由は、こうしたプラットフォームの多くが提供するAPIは新しく、そのために変わる可能性があるためだ」と、レベンレビ氏は説明する。
「1つのチャネルに依存してはならない。APIが変わる可能性があり、顧客とやりとりする方法を変更せざるを得なくなる可能性があるからだ。そのためにオムニチャネルアプローチが必要になるが、大企業でも、自社だけで全てをまかなうことはできない」(レベンレビ氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー