関東第一高等学校・横山北斗教諭の挑戦【前編】
東京大学にIT活用で合格した現役教員 受験に活用したアプリとは?(1/2 ページ)
教育分野のIT活用が広がらない要因の一つに、「受験にITが有効かどうか分からない」といった意見がある。本当にそうなのか。ITを活用した受験勉強に挑んだ、ある現役教員に話を聞いた。
教育分野におけるIT活用が広がる中、学習者が学力向上のために個別学習や家庭学習に利用できるIT製品/サービスが急速に充実している。講義動画を配信する「オンライン動画学習サービス」、習熟度に応じて教材を提示する「アダプティブラーニング」を具現化したサービス、学習者同士の意見共有や情報交換を活発にする教育用ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など、ITを活用した学びの選択肢が広がっている。
こうしたIT製品/サービスは、本当に学力向上につながるのか。受験に役立つのか――。こうした疑問への答えを探るべく、学習者用のIT製品/サービスを自ら活用しながら受験勉強に取り組んだ教員がいる。関東第一高等学校(東京都江戸川区)で数学を教える横山北斗教諭が、その人だ。同教諭は、受け持ちの生徒が受験勉強をする傍ら、ITを活用した受験勉強に挑戦。2018年に見事、東京大学に合格した(画像1)。
横山教諭はどのようなIT製品/サービスを使って、どのように学習したのか。同教諭にインタビューした内容をレポートする。
現役教員が東大受験に挑戦した、その目的とは
本題に入る前に、まずは横山教諭が在籍する関東第一高校から紹介しよう(画像2)。同校は、硬式野球部やサッカー部などが全国屈指の強豪校として知られており、「スポーツコース」を設けるなど部活動が盛んな学校だ。もちろん学業にも力を入れており、「特別進学コース」「進学Aコース」「進学Gコース」と、習熟度別のコースを3種類設けている。全校生徒数は1800人を超え、下町気質に包まれた明るい校風の中で、国際社会で活躍し生涯学び続ける人材育成を目指している。
そんな関東第一高校は、2014年から特別進学コースを対象に、学校共有の「iPad」を整備している(画像3)。2018年度には、国公立大学や難関私立大学を目指す特別進学コースの1年生を対象として、ASUSTeK Computerの「ASUS Chromebook Flip C213NA」を73台導入した。今後は生徒にレポート形式の宿題をテキストデータで作成してもらい、メールやオンラインストレージを介して提出してもらうなど、IT活用をさらに進めていく考えだ。
横山教諭も当初からIT導入に携わり、授業におけるIT活用を積極的に進めてきた。具体的には、数学の解説動画を自作して反転授業(授業と予習の役割を一部逆転させた授業)をしたり、インターネットの教材を活用して探究学習に取り組んだりと、試行錯誤を続けている。
東京大学合格を目指す生徒の存在が受験勉強のきっかけに
2016年、横山教諭は高校2年生の特別進学コースで担任を受け持った。その中に、東京大学合格を目指す生徒が5人いたことから、同教諭は一緒に受験勉強することを決意したという。「『教員だから勉強しない』という態度を取るのではなく、『受験勉強ってこうやるんだよ』と、一緒に勉強をしながらアドバイスをしたかった」。同教諭は受験勉強に挑んだ動機をこう語る。
横山教諭は長年にわたって授業でITを活用する中で、「『ITを使えば、自分が受験生のときに履修したことがない教科でも、自力で学ぶことができる』という手応えを得た」と語る。IT活用の可能性を試しつつ、受け持つ生徒には自力で勉強できることを示したかったという。
受験勉強は2年間 未履修の文系科目で受験
横山教諭が受験勉強に取り組んだ期間は、2016年4月から2018年2月までの約2年。当時担任していた高校2年生の生徒が卒業するまでのことになる。横山教諭は生徒が受験するのと同じように、2018年1月の大学入試センター試験を受け、同年2月の二次試験で東京大学文科一類を受験。その結果、見事合格を果たした。
文科一類を受験した理由とは何か。東京大学を目指す5人の生徒の中で、1人だけが文科志望だったので「自分が一緒に勉強することで、励ますことができればと考えた」と、横山教諭は説明する。同教諭は数学と理科を教えており「やったことがない文系科目にチャレンジしたい」という考えもあった。
東京大学の入学試験は、大学入試センター試験と二次試験からなる。文科各類の場合、二次試験では地理歴史について、日本史B、世界史B、地理Bの3科目から2科目を選択する必要があり、横山教諭は日本史Bと地理Bを選んだ。これについても、文科を目指す生徒と同じ科目を選択したという。結果として二次試験は、国語(国語総合、国語表現、現代文B、古典B)、英語、数学II・B、日本史B、地理Bで挑んだ(画像4)。
生徒が高校2年生のときには、まだ地理歴史のどの科目を選択するかを決めていないことが一般的だ。そのため横山教諭は、世界史B、日本史B、地理B、倫理、政治・経済などの全科目を勉強したという。生徒がどの科目を選択しても、実感を持ってアドバイスできるようにという徹底ぶりだ。
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関東第一高等学校・横山北斗教諭の挑戦
学校の授業にITは役立つのか。もし役立つとすれば、ITは授業や教員にどのような影響をもたらすのか。ITを活用した受験勉強で東京大学に合格した現役教員の話から、ITの可能性と、IT時代の授業の在り方を考える。
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