Facebook、Twitter、LinkedInでも活用
ソーシャルメディアに使われるAI技術 マーケティングから密猟防止まで
企業はソーシャルメディアマーケティングにAI技術を利用することで、マーケティングオートメーションを進めている。ソーシャルメディアとAI技術を組み合わせた、意外な分野のユースケースも登場し始めた。
このところ、ソーシャルメディアやAI(人工知能)技術のニュースがメディアをにぎわせている。TwitterとFacebookの経営幹部が米国連邦議会の招請に応じて、botや悪意あるエンドユーザーが与える自社のネットワークへの影響について証言した。カリフォルニア州議会は最近、botによるテレマーケティングや選挙関連の電話の発信を禁止する法案を可決した。人々は、botのソーシャルメディアネットワークへの浸透とネットワークの悪用をますます懸念し、困惑するようになっている。
これほど過激ではないものの、機械学習をはじめとするAI技術はさまざまな方法で、既にソーシャルメディアに適用されている。そうした仕組みの多くは有用であり、エンドユーザー、顧客、技術パートナーにとってのソーシャルメディアの価値を高めている。
AIによるコンテンツの最適化とモデレーション
ソーシャルメディアにはテキスト、画像、動画、音声といったコンテンツがあふれており、その大部分は構造化されていない。データベースやスプレッドシートの行、列に収まらない、大量のコンテンツが日々投稿されている。ビジネスインテリジェンス(BI)ベンダーのDomoによると、ソーシャルメディアで毎日生成されているデータは、250京(10の18乗)バイト以上に上る。Twitterの同名の短文投稿サービスでは、1分当たり45万6000件以上のツイート(つぶやき)が投稿されている。Facebookの同名ソーシャルメディアでは、1日当たり14億7000万回以上のログインがなされ、1分当たり数百万件の新しい投稿が作成される。これらのソーシャルメディアはすさまじい量のコンテンツの管理、拡張、接続、モデレーション(投稿監視)をしている。その支援のために機械学習が用いられている。
機械学習は、Facebook、Twitter、LinkedIn、Googleなどの主要ソーシャルメディアで積極的に使われている。フィードに表示したり、エンドユーザーにレコメンドしたりすべきコンテンツは何か、といった情報を提供するためだ。
機械学習のアプローチは、コンテンツレコメンデーションをしたり、各ソーシャルメディアの日々数百万件の投稿に対するエンドユーザーのフィルタリングを支援したりする目的でも利用されている。機械学習ベースのシステムは、エンドユーザーが最も高く評価するコンテンツのパターンの判断や、エンドユーザーにとって最も興味深い広告、投稿、画像、その他のコンテンツを推進することもできる。
AI技術は音声、画像、動画、テキストデータに付加価値を付けるために使われることがある。機械学習で画像内の顔を識別し、顔認識技術を使って人々をタグ付けできる。機械学習ベースの自動要約技術を使えば、画像にキャプションなどの情報を自動的に付加できる。この技術は動画に用いることも可能だ。動画内の物体と人を特定し、自然言語処理技術を使って、自動的にテキストキャプションを付ける。
ソーシャルメディアは自然言語処理技術で、音声ファイル、メッセージ、ボイスメールを自動的に文字起こしすることもできる。各社は機械学習を使った高度な機械翻訳で、エンドユーザーが普段使わない言語の投稿を理解できるようにしている。ソーシャルメディアは、機械学習による幅広い機能を使って、多様な種類の非構造化データを処理している。
ほとんどのソーシャルメディアは、機械学習ベースのコンテンツフィルタリングやモデレーションを実行し、利用規約などのガイドラインに違反するコンテンツがサービス内で共有されないようにしている。
世界のほとんどの地域では、モデレーションは一般に受け入れられないコンテンツのみ排除することを主な目的としている。しかし中国ではモデレーションが、検閲ガイドラインに抵触するコンテンツに自動適用されている。このようにモデレーションにおいては、極めて強権的な力が働く場合がある。
マーケティングオートメーションの改善
ユーザー企業や広告主も、ソーシャルメディアで利用されるAI技術の恩恵を受ける。多くのマーケティングオートメーションは、商品広告の理想的な視聴者となり得るエンドユーザーを的確に特定し、プロファイリング(行動特性解析)をするために、AIシステムを搭載している。AIシステムは、ブランドや商品、候補者への好感を持つエンドユーザー間の関係性を見いだすことを得意とする。その関係性は、広告のターゲティングの改善にも利用できる。
AIシステムは、広告などのコンテンツの作成やスケジューリングにも使われている。高度なマーケティングオートメーションは、コンテンツを投稿する最適な場所とタイミングを自動的に特定でき、コンテンツの提案もできる。一部のツールは、ソーシャルメディアに転用するために、ブログ記事などのソースからテキスト、画像、動画コンテンツを自動的に生成できる。
顧客や顧客サイトへの訪問者の追加的な情報を収集することにも、こうしたツールは使用されている。AIツールはソーシャルメディアやWebブラウザから提供される情報を利用するだけでなく、機械学習を使って、ソーシャルメディアのデータや顧客データから洞察を引き出すことで、データをより充実させる。
マーケティングオートメーションには、エンドユーザーによる他のソーシャルメディアへの投稿の発見、同じソーシャルメディアでの類似コンテンツの特定、ソーシャルメディアのデータとサードパーティー製ツールで得た情報の結合機能もある。
ソーシャルメディアは、会社のブランドに最も直接的な影響を与えるインフルエンサーを見つけるのにも使われている。マーケティングオートメーションで、こうしたインフルエンサーへのターゲティングと重点的なアピールが効果的にできる。
ソーシャルメディアとAIの組み合わせによる社会貢献
ソーシャルメディアとAI技術の組み合わせがビジネスに活用されているだけでなく、これらの技術を使って大きな社会問題の解決を目指す試みも進められている。
ヘルシンキ大学(University of Helsinki)はソーシャルメディアとAI技術を使って密猟者を発見し、違法な野生動物取引の横行に歯止めをかけようとしている。研究者は、野生動物のディーラーがソーシャルメディアの利用に積極的で、顧客向けに商品の写真や情報を投稿していることに気付いた。同大学は、コンピュータビジョンと自然言語処理技術を使って、ソーシャルメディア投稿を自動的にチェックし、違法な野生動物取引に関連する画像、テキスト、動画などのコンテンツを特定するシステムを設計した。
このシステムの画像検出機能は、象牙やサイの角のような特定商品を発見できる。音声検出機能は、絶滅の危機にある鳥の鳴き声をキャッチできる。自然言語処理機能を使い、密漁対象の動物に加えて、密漁される可能性がある場所を特定することが可能だ。
社会に貢献するユースケースのもう一つの例として、Facebookの取り組みが挙げられる。同社は自然言語処理技術と機械言語理解技術を利用したシステムにより、エンドユーザーが自殺を考えているときに、それを察知しようとしている。2017年に追加されたこのシステムは、自殺を考えていることを示す表現を含む投稿を自動的に特定し、それにフラグを立てる。
以前Facebookは、疑わしい投稿にフラグを立てることをエンドユーザーに任せていた。今では自動化されたシステムが、自殺を考えている人が書いた可能性がある投稿を発見している。発見件数は、人間が通報していた当時と比べて、少なくとも20倍以上に上る。これらの投稿はFacebookの専門チームのレビュアーによって分析される。この取り組みを開始して1カ月で、システムがフラグを立てたことで実施されたエンドユーザーの健康分析は100回以上に上った。
ソーシャルメディアでAI技術の利用が進む中、ユーザー企業がソーシャルメディアでの活動の強化に向けて、AI技術の活用に力を入れるのは明らかだ。ソーシャルメディアとAI技術の組み合わせが今後、より高度に進化することは間違いない。
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