ファイル、ブロック、オブジェクト
いまさら聞けない「SAN」と「NAS」 アーキテクチャで読み解く、その違いとは(1/3 ページ)
なじみ深いSANとNASだがその違いを明確に理解できているだろうか。本稿では扱うデータの種類やアーキテクチャの観点から違いを読み解いてみる。新たに台頭するさまざまなストレージたちについても紹介するので参考にしてほしい。
SAN(ストレージエリアネットワーク)とは、一般的にスイッチを経由させて接続するストレージを指す。複数の異なるサーバからアクセスできるストレージで、データにブロック単位でアクセスできる。
NAS(ネットワーク接続ストレージ)はリモートでファイルを扱えるストレージだ。ファイルシステム上でソフトウェアを使うのではなく、ファイルアクセスの入出力情報を別のデバイスに転送する方式となる。転送にはSMBやNFSなどのファイルに関わるプロトコルを使用する。転送先のデバイスは独自のファイルシステムを備えたサーバとして動作し、ファイル共有を実現する。
SANとNASのどちらにするか保存するデータの種類に依存する。ブロックアクセスならSAN、ファイルアクセスならNASといった具合だ。ただNASにファイルアクセスしても、ブロックアクセス型のストレージデバイスに接続されていれば、最終的にはブロックアクセスに変換される。SANとNASを比較する場合はその点にも注意が必要だ。
併せて読みたいお薦め記事
SANとNASはどこへ向かっている?
バックエンド側のストレージとして注目されるオブジェクトストレージ
SANは、例えばRDB(リレーショナルデータベース)内に存在するデータなどの「構造化データ」に適している。NASは「非構造化データ」に使用する。非構造化データはファイルや電子メール、画像、動画、通信などリレーショナルデータベースでは扱われないタイプのデータを表す。
ベンダーはストレージニーズに対応するため、ブロックやファイルといった単位からオブジェクトへと移行している。だが、それでもユーザーは使い慣れた方法でデータにアクセスしたいと考えている。つまり、ブロックストレージにはSANを、ファイルストレージにはNASを利用したいということだ。ベンダーはフロントエンドではNASやSANの操作性を提供しながら、バックエンドではオブジェクトストレージをベースにするという動きになっている。
ファイル、ブロック、オブジェクトの違い
ファイルストレージのデータ読み書きは、階層構造を使用し、ファイルはフォルダ内に収容する。フォルダは別のフォルダの内部に入れ子にできる。NASでは一般的にこの方式が用いられ、次のようなメリットがある。
- ユーザーはローカルドライブや外付けドライブと同じようにファイルやフォルダを扱える
- 管理が簡単なため、IT部門の負担が少ない
ブロックストレージは、各ファイルやフォルダが小さなデータのブロックとして扱われ、各ブロックの複数のコピーがSAN内のさまざまなドライブやデバイスに分散される。この方式には、次のようなメリットがある。
- 1つのドライブで障害が発生しても、引き続きデータにアクセスできるためデータの信頼性が向上する
- ユーザーがフォルダ階層を操作しなくても、素早く目的のファイルにアクセスできる。
オブジェクトストレージは各ファイルを1つのオブジェクトとして扱う。この点はファイルストレージと同じだ。オブジェクトストレージは、入れ子になったフォルダ階層を持たない。この点はブロックストレージと同じだ。オブジェクトストレージでは、全てのファイルとオブジェクトを1つの巨大なデータプールまたはデータベースに格納する。ファイルは、ファイルに関連付けられている構成情報(メタデータ)またはオブジェクトストレージのOSが追加したメタデータを基に検出する。
オブジェクトストレージは3つの方法の中で最も低速なストレージだ。主にクラウドのファイルストレージとして使用される。メタデータへのアクセス方法に関する進歩と高速フラッシュドライブの使用増加により、オブジェクトストレージ、ファイルストレージ、ブロックストレージの間に見られた速度の差は縮まっている。
ユーザー視点でのNASとSAN
SANとNASの主な違いは「ユーザーからどう見えるか」という点だ。
NASはイーサネットを使ってネットワークに接続する。ユーザーからは他のネットワーク接続型デバイスと同じように見える。NASのファイルにアクセスする場合は、ユーザーはまずNASに接続し、その後NAS上のファイルにアクセスするという流れになる。NASデバイスは専用OSを備え、ユーザーのPCから送信されるデータの書き込みと読み取りに関する要求を管理している。
SANはローカルドライブとして機能する。ユーザーのPCにインストールされているOSが、データの読み取りと書き込みの要求を管理する。その結果、ユーザーはSANデバイスを他のローカルドライブと同じように操作できる。そのため例えばSANにソフトウェアをインストールすることも可能だ。
SAN接続とNAS接続の違い
NASは一般的にイーサネットケーブルとスイッチを利用してネットワークに接続する。SANはiSCSIやファイバーチャネル(FC)などのファブリックを使ってドライブやデバイス、サーバなどに接続する。
イーサネットとファブリックは長い間、互いに高速化を競ってきた。現在はイーサネット接続のTCP/IP処理を必要とせずに直接接続できる点で、ファブリックが優位を保っている状態だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
4
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
5
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
6
多品種小ロットの「手書き・配合ミス」を克服 キャニオンスパイスの食品工場DX
-
7
AIインフラの理想形? 「5層のケーキ」を垂直統合するための近道とは
-
8
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
9
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
-
10
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー